は行


 「PARTY7」

2000年 日本 監督:石井克人 出演:永瀬正敏、浅野忠信、小林明美、岡田義徳、原田芳雄、堀部圭介、我修院達也

郊外にある寂れたホテルが舞台で、そこを訪れる珍妙な客達の話。
孤児でヤクザのチンピラが、ある日、組のお金二億円を持って逃走。
そして彼を追いかける人達がそのホテルに集合する。
さらに、そのホテルの出来事を一部始終を覗き穴から観察している人間が。
次になにが起こるか分からない、奇想天外なストーリー。
アスパラドリンクのCM作ってる監督だから、あんな感じの話。(どんなんだ)

あのホテルの一室で全部の事件が起こっているあたり、ちょっと舞台演劇っぽい。
永瀬と浅野さんとどっちが主役なんだろうと思っていたら、主役はいなかった。いや、両方なのかな?全く別の視点から話が進んでいくから。
OPの登場人物紹介がいきなりアニメでビックリした。でももう一度観たいかなぁ。
永瀬の超長い放尿シーンから始めるけど、これも後々大きな意味を持つことになるとは、知る由もなかった。

テーマは覗き?とあるホテルの一室を密かに覗ける部屋があるってのがこの映画の面白さなんだろうか。
浅野さんが妙にやぼったい服着ていてビックリ。格好悪いというか、恐いっていうか。演技が上手いのか。
EDがまた良かった。私も騙されたよー!え、嘘だったのか、って感じで。(笑)し、信じていたのに。
ホテルの部屋を覗いてる間、浅野さんがティッシュの箱を放さない辺りが。(笑)
堀部さんがあんなに多彩な人だとは思わなかったなぁ。TVに出てるK2の印象しかなかったですよ。しかし、堀部さんが出てくると急にコントっぽい。(笑)
あのあと彼らはどうなったんだーってのは言っちゃいけないのよね。
繰り返し言うけど、ED最高!

最初かなり眠かったけど、後半の怒涛の展開はメッチャ面白かった。映画館の椅子が眠りやすい感じだったのがね。
パンフが¥900、高いと思ったが、そのキャラの裏設定とか分かって楽しかった。
同監督の『鮫肌男と桃尻女』を観た人は、それのパクリだ(同じ監督でパクリってのも変だけど)と主張していた。
そして、前作の方が面白かったと。さて。私もそっちを先に観ていたら、こう高い評価はしなかったのだろうか?


 「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」

2003年 アメリカ 監督:ゴア・バービンスキー 出演:ジョニー・デップ ジェフリー・ラッシュ オーランド・ブルーム キーラ・ナイトレイ

あらすじ。
カリブ海の港町がバルボッサ船長率いる海賊に襲われ、総督の娘エリザベスが攫われる。
彼らの狙いは、彼女の持つ黄金のメダル。
エリザベスに想いを寄せる鍛冶屋のウィルは、バルボッサの根城の場所を知る海賊ジャックと手を組み、彼女を救おうとするが・・・・。

ジョニーの映画です。ええ。ジョニー。
とにかくジョニーです。ジョニーで始まってジョニーで終わります。ジョニーのジョニーによるジョニーのための映画です。
感想終わり。
というのはちょっと大袈裟にしても、ジョニーの魅力なしにこの映画を語れないのは事実でしょう。(笑)
友達はロード・オブ・ザ・リング(エルフの王子役)の人を目当てで観に行ったらしいが、彼はちょっと印象薄くないかい?
まぁ、ジョニーがあれだけ濃い演技をしていると、他が霞むのはしょうがないのか。
ジョニーはドンキホーテの映画がボツになっただけに、この映画には期待していたんですが、大変満足のいく内容でした。

 

(以下、おおいにネタバレ。映画未見の人は注意)

 

鍛冶屋のウィルがロード・オブ・ザ・リングの人なんだが、彼が総督の家でロウソク立てを壊しちゃったあたりから、この映画の小ネタギャグは始まった気がする。
エリザベスは、コルセットがきつくて気絶するし。実際、物凄くきつかったらしいですが(パンフを見ると)。
そして、船と海を背景にジャック船長ことジョニーが颯爽と登場!!
と思わせておいて、彼が乗っている小船、沈んでますがな。急いで浸水をくい止めようと水をくみ出している姿が格好悪い。(笑)
さて、無事上陸したジャックは警備の者を煙に巻いてさっそく新しい船を盗もうとしていたり、この辺のやり取りはなんだか面白かったです。
海軍の兵に追われたジャックが鍛冶屋に逃げ込み、ウィルと剣で対決する場面はなかなか見応えがありました。飛んだり跳ねたり。

バルボッサの乗るブラック・パール号がもとはジャックの船だったことが分かったり、バルボッサとその乗組員達は死ぬことができない呪いを解くために黄金のメダルと求めていることが分かったり、エリザベスはウィルと間違われて攫われたことが分かったりと、展開がめまぐるしい。
ブラック・パール号の船員達が月明かりの下、骨と皮だけのミイラ姿で船の仕事をしている場面は迫力あった。
戦っているときも、月の光の加減でミイラになったり生身になったり、くるくる変わる。今の
CG技術は凄いなぁ。
冒頭、少年時代のウィルの乗っていた船が海賊に襲われて火だるまになっているのも、最初からおお!っと思いましたが。

 

主人公は鍛冶屋のウィルなのか、彼に強力しつつバルボッサとブラック・パール号を追う海賊のジャックなのか、分からないですね。
物語的にはウィルなんだろうけど、ジャックの存在感が凄すぎて。
ジャックは何だか体をいつもふらふらさせてるし、メイクがきついし、いちいち行動が三枚目だし(女性に殴られたり、小猿を必死に追いかけたり)、演じる役者によって物凄く珍妙なキャラクターになると思う。
しかし、ジョニーがやると、えらい格好良く見えるんですよねぇ。不思議と。
ジョニーが楽しんで演じているのも分かるし。

溺れたエリザベスを見て、一も二もなく海に飛び込んで助けているあたり、すぐにジャックはいい人なんだなぁと思う。騒ぎを起こして海賊だってばれたら縛り首だって分かってるのに。
船で反乱起こされて無人島に置いて行かれたのも、無駄な人殺しをやらないという海賊にあるまじき主義のせいだし。
何度女に殴られても、ジャックの方からは絶対女に手をあげないところに好感が持てるし。
何を考えているかよく分からない人だが、ウィルとエリザベスを彼なりに頑張って助けようとしているのがよく分かるんですよ。
しかし今まで協力してくれたジャックを、エリザベスを助けたウィルはもう用無しとばかりに敵の根城に置き去りにして、自分達だけ船に戻っちゃうのです。

「ええー!!そりゃないぜ!」と思ったのはジャックだけではないだろう。
思わずウィル達の船を追いかけるバルボッサの船を応援してしまったよ。(笑)私のジョニー、いやいや、ジャックになんてことするんじゃ!!と思いまして。
このあたりで、主人公カップルに感情移入できなくなりました。私。(まだ序盤)
エリザベスはジャックの言うことまるで聞かないし。食料全部燃やして、船が助けにこなかったらどうしてたんだ、本当。
それに海賊相手に生意気な口をきいて、お嬢様ってば無鉄砲すぎるわ。いつ殺されてもおかしくないんだから、もうちょっと見せかけでも大人しくして頭で逃げる算段をするとかできないんだろうか。うーん。
しかし、彼女、二十歳ですよね。美人で、見掛けは好みです。美人好き。

 

何度死んだと思っても舞い戻ってくるジャックに、バルボッサが信じられないという顔をするところは何だか笑えましたね。
いや本当、彼は死なない男ですよ。三日間海に佇んで、近寄ってきた海亀を二匹ロープで縛って無人島から脱出した、という話は最初信じちゃいましたよ。(笑)
バルボッサは10年呪いに苦しんでるって言ってたし、ジャックが船から出されたのはその前だし、ジャックって何歳??船長やってたってことはそれなりの年齢だったんだよね?

小さい笑いだと、エリザベスとお父さんが船室に閉じこもってカツラを死守していたり、ミイラの手を戦っているところか。
全てが終わったあとに部屋から出てきたときのお父さんのあの喜びようが、何とも・・・。
牢屋の鍵を犬が持っているエピソードは、ディズニーランドの「カリブの海賊」だったな。

最後はアメリカ映画っぽく、ハッピーエンドで大団円。
そりゃないだろうと思いつつ、私はご都合なハッピーエンドが許せる人なので良かったですよ。
エリザベスのお父さんも婚約者も、いい人すぎてちょっと不自然だったが。
婚約者は、『タイタニック』におけるローズの婚約者くらいに性悪でも良かったかもね。(笑)
死ねないはずのウィルの父は何で死んだのかは、小さな疑問でしょうか。

 

エンドロール終わる前に席を立ってしまった人が沢山いたけど、おまけ映像があるのですよ。
深いこと考えないで楽しめる娯楽映画の大作です。海や島や船の映像も綺麗だった。子供も楽しめます。
とにかく、ジョニーを堪能してください。(笑)
となりのカップル、男性の方がジョニーを知らないらしく彼女が「『ショコラ』に出てた人だよー」と必死に説明していた。
いや、絶対その説明じゃ分からないって。役のイメージ、正反対だし。
ジョニーと堂本剛が似ているなどと言う従姉は絶対に許せん。
映画のパンフレットも凝っていて良かったですよ。背表紙まで付いて。

全然関係ないけど、私が見たポスター、ジョニー・デップの写真の上に「ジェフリー・ラッシュ」か「オーランド・ブルーム」の名前が書いてあった。
同じく、そのポスターを見た友人は「今のメイク技術は凄いなぁ。別人に見えるよ」と思ったそうな。

顔、変わりすぎだっての。ジョニーだっての。


 「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」

2005年 日本 監督:水島精二 声の出演:朴路美、釘宮理恵、豊口めぐみ、大川透

そのまんまTV版の続きです。
西暦
1923年に飛ばされてしまったエドはロケット工学の力で故郷へ帰ろうと試み、弟のアルもエドに会う方法を探して旅をしていた。
ミュンヘンでヒトラー率いるナチスが起こした武装蜂起事件(ミュンヘン一揆)と係わり、エドは元の世界に戻れるかもしれない計画を知ることになる。

以下、大いにネタばれあり。
これから映画を見る予定のある方は、絶対に読まないでください。
そして、批判が主なので、映画で「感動した!!!!!」という人は見ない方が良いかと思います。

 

 

まず良かったと思うところをあげましょう。
ジプシーの歌が良いです。あれは
CDを買ってもいいなぁと思いました。
あとは、ラースとグラトニーの戦い場面。この映画で一番迫力のあるシーンでした。
終わり!

この映画を一言で表すと、こうです。

 

世界は二人のために!!!

 

お騒がせ兄弟、エドワード・エルリック&アルフォンス・エルリックが再会するためだけに多大な犠牲を払い、沢山人が死んで建物も壊れて、二人は惨状をそのままに異世界へとんずらです。
す、凄すぎる。
TV版で異世界に飛ばされたエドワードは弟に会いたいために、必死に元の世界に戻る方法を探している。弟もしかり。
しかし、再会できて異世界でまた二人一緒にいれると分かったら、急に元の世界に戻る気はなくし、「ここで生きていく!」です。
本当に、お互いのことしか頭にないんだなぁ。

兄の姿を追い求めるあまり、昔のエドと同じ格好、髪型にしているアルは普通じゃないです。唯一の肉親とはいえ、ブラコンすぎる。
とにかくアルは兄さん、兄さん、兄さんなので、本物のエドと会えたら髪も切って赤いコートも脱ぎますよ。
「ウィンリィはどうするのさ!」
これは兄が異世界に戻ると言い出したとき、アルがエドに対して言ったものですが、アルにこそ言いたいですよ。
今までなら、たとえエドがいなくても、もう一人の幼馴染のアルがいた。
しかし、今度は本当にウィンリィが一人きりじゃないですか。
「待たせてもくれないんだ・・・・」
ウィンリィの悲しげな呟きが可哀相すぎて・・・・。

彼女があんなに頑張っていたのは、エド達のためなのに。何年もエドの手足を作り続け、技術を磨き、ずっとずっと待っていたのに。
この結果はあんまりでしょう。
これなら、あの場にエドの手足を持っていかない方が良かったじゃないですか。
TV版ではエドのために腕と足を作り続けるから、ずっとそばにいて欲しいとまで言っていたのに・・・・。(涙)
エドとウィンリィは一瞬再会しますが、別れの言葉もなくいなくなっちゃうなら、一度帰ってきたと思っただけによけいに残酷ですよ。
元の世界に戻すために父や異世界のアルが死んだのに、何故戻ったんだ、エド・・・・。む、無駄死に?
せめて、元の世界でメチャクチャに破壊した建物を直したり、いろいろと復興してからあっちに行くというのではいけなかったのか。
兄弟二人で逃げたようにしか見えなかった。

 

疑問を簡単にあげていくと、以下のとおり。

元の世界に戻るためにロケットの研究をするということが、よく分からなかった。
実際に戻れたわけですが、何でエンヴィーが必要だったんだろう、彼も死んだの?
実の父を殺して自分も死ぬなんて、あまりに救いがない・・・・。
鍵と言われた、心を読めるジプシーの少女を何でエッカルト達が探していたのか。
エドの記憶を盗む以前の彼女が、あの実験のどのあたりに役に立つんですか??
エッカルトも戦いに勝つため、武力を手に入れるためにエド達の世界に行こうとしていたようだけれど、それなら別に鎧の兵士を向かわせなくても良いのでは。
エッカルトは魔法に詳しかったようですが、それと錬金術は違うでしょう。
エド達の世界に行ったとたん、錬金術を見事に操っていた意味がよく分からない。
そして、エッカルトが人を殺しまくっている理由も不明。何か説明していたが、動機があまりに弱い。
門をくぐったエッカルト達の体は何か普通と違っていたけれど、何故エドは平気だったのか。
異世界のアル、エド用にロケット一人乗りを作っていましたが、一人乗りとはいえかなりの費用。どうやって誰にも気づかれずに用意を!??
大佐の気球、あんなに簡単に浮かぶのか。エドとアル、あの錬金術で空飛ぶ乗り物に追いついちゃっていいのか。
ラースの突然の心代わりの理由は。お母さんに会えたのはいいが、いつの間に門が死者の迎えに来る場所に。
グラトニーが『千と千尋の神隠し』の顔なしになっている・・・。
ウィンリィ、
3年成長したエドに合わせて手足を作ったって、そんなことで出来るのか。
大佐が出てくるまであの混乱の現場をまとめる人は誰もいなかったのか。
門って、異世界への扉を繋ぐためだけの道具?
エド、あの世界の門を壊すのは、あっちのアルだとは思わなかったんだろうか。死んだと知らないんだし。
ジプシー、あんなに迫害されていたのに、最後には墓場で踊っております。
結局エドの手足を元に戻すという当初の目的はどうでもよくなっているのね。
アルの体やエドの手足のための旅のはずが、映画では世界を救うためというかなり大きな話に・・・・。

 

以上。
映画を見た直後はもっといろいろあったんですが、書いてみたら少なくなってました。
せめて、あの世界のウィンリィそっくりさんがエド達と一緒にいて、元の世界のウィンリィが「二人と一緒にいる夢を見る」という展開だったら、まだ救われたのになぁ。
ウィンリィのいるところが、あの兄弟の帰る場所だとずっと思っていました。
両親のいないウィンリィはエルリック兄弟に支えられている部分が多かったけど、彼らにとってはウィンリィはそれほど大事じゃなかったってことか。兄は弟が、弟は兄がいれば、他は何もいらないらしい。
悲しいな・・・・・。
アルは分かっているんだろうか。エドを失うと分かった瞬間、あの、「兄さん!!」と叫んだときの悲痛な感覚。
あれと全く同じ、いや、その倍の喪失感をウィンリィが味わうということを。何しろ、二人分ですから。
どこかで、エドが向こうに行かずとも、アルが精神を鎧に分けてそれに破壊させればって言っている方がいましたが、本当にそうですね。


 「初恋のきた道」

2000年  中国 監督:チャン・イーモウ 出線:チャン・ツィイー スン・ホンレイ チョン・ハオ チャオ・ユエリン

原題は『我的父親母親』。私のお父さんとお母さんという意味だろうか。
ちょっと味気ないですね。この邦題はなかなか良いv
チャン・ツィイーといえば、『グリーン・デスティニー』とこの作品だけど、こっちの方が数倍可愛いような気が。
とにかく、風景が綺麗です。これで作品の評価は5割り増し。
そして、この映画の魅力の90%はチャン・ツィイーの愛らしさだと思われます。

物語的には結構単純かな。
父の死の知らせを受けて帰郷した青年が、両親のなれそめを紹介するという。
現在が白黒画像で、両親の世代がカラーと、非常に分かりやすいです。
数十年前の父母の恋物語。
父は貧しい農村にやってきた初めての教師で、村娘の母は一目惚れ。
母は何とか父と親しくなりたいと思うのだけれど、なかなか話しかけることができない。
そのもどかしさが、観客のハートを捕らえます。

 

あーもーー、チャン・ツィイー可愛いーーーー!!!!
って画像が、ギュッと詰まってます。何気にアップが多い。
先生のいる学校が観たいがためにわざわざ遠くにある井戸に水をくみに来たり、先生が遠くの家の子供を送っていくと聞いたら山道で待ち伏せしてこっそり眺めていたり、何とか先生にお弁当を食べて貰おうと頑張ったり。
可愛い可愛い可愛いvv
なかでも、子供達と帰る先生と初めて会話した場面なんて、もう、「先生大好き!!!」って顔に書いてあるよ、ってくらいチャン・ツィイーの笑顔が輝いてます。
この前半ですっかり観客はこの二人の恋を暖かく見詰めるモードに入ることでしょう。

そのあと先生は町に帰っちゃうんですけど、ここから母は本領発揮。
待ってるんですよ。雪の中。
先生が帰ってくるって言ってた日に、朝から一日中。
父と母は最終的に結婚するって分かってても辛い場面です。
あれだけ好きな人がいるっていうのは、素敵ですね。

父を乗せて去る馬車を必死に追いかける母や、父にもらった髪留めをなくしてしまって何日も山に探しに行く母とか、胸を打つシーンが盛りだくさん。
一番私がぐっと来たのは、母が割ってしまった陶器を祖母が密かに直してしておいてくれる場面でしょうか。
「使った人が娘の心を持っていってしまった」
何で壊れた陶器をいつまでもとっておくのか疑問だったのですが、父が使ったものだったからなのね。うわー。
しかし、陶器の直し屋さんなんてものが存在していたのか、とちょっとびっくりだった。あの直し方も。
そうか、アロンアルファーなんて無いんだもんな。

さわやかな感動を味わえる作品でした。
息を飲む美しさの風景画像と相まって、癒される。

 


 「バッファロー ’66」

1998年 アメリカ 監督、脚本、音楽、主演:ヴィンセント・ギャロ 出演:クリスティーナ・リッチ

主人公のビリーは無実の罪で入った刑務所を出て、5年ぶりに街に戻ってくる。
ビリーは久々にかけた両親への電話で、音沙汰がなかったのは政府の仕事で外国に行っていたからだと見栄を張ってしまう。
さらに、妻を連れて家に帰ると約束までかわす。
結婚していないビリーはたまたま近くにいた女性、レイラを誘拐して、自分の嫁の役を演じてもらうことにしたのだが・・・。

 

これ、ミニシアター系の映画の中で、めちゃめちゃ評判が良かった。
一度は観なければならないなぁと思っていたのだけど、TUTAYAがレンタル¥100で丁度良いと思って借りた。
眠いときに目をこすって観たので、変な映画だなぁという感想。
それといって事件は起こらないですよねぇ。何だかまったりとしていたような。

映像的には面白かったです。
回想シーンに入るときの変わった画面とか、ビリーの両親の家でみんなで座って会話をするときのカメラの位置とか。
映画を観ている人も家族の一人になった風に感じられるのだろうか。
突然お父さんが歌い出したり、レイラがタップを踊り出したりして驚いたけど。

主人公が変な人。というか、嫌な人。
突然キレて怒り出すし、臆病だし、繊細だし。こんな人、近くにいたら嫌だなぁと本当に思う。
私ならしょっちゅう怒鳴られてますよ。
しかし、これは両親がいけなかったのだなぁと、彼の家に行って分かる。
怖いお父さん。すぐ怒るのは彼の影響なのだと思う。母親は息子よりもフットボールチームを大事にしてるし。
ビリーの幼児期の回想が不憫だ。両親はけして悪い人達ではないけれど、息子をそれほど大切にしていないように見える。
5年ぶりに会うっていうのに、あんまり感動していないし。

 

ビリーについてかなり丁寧に描かれている。
刑務所に入ることになった経緯とか、初恋の相手とか、ボーリングは上手いとか。
冒頭の、トイレを探す場面とか(男なんだからその辺でやればいいのに)、電話の後のベッドメイキングとか、誘拐した女性に「言うとおりにしないと口をきいてやらない」と豪語したりとか、彼は何だか変だなぁってのが伝わってくる。
でも、レイラの心情には全く触れていないので、彼女がビリーに惚れたのが唐突に感じた。
好きになる理由が私にはよく分からない。同情だったのかな??

最期、ビリーが復讐のために人を殺す場面。
すんごい意表をつく画像で、凄いです。とにかく。あんなの初めて観た。あれはありなのか??
あと、ビリーの死後の世界とか、妙にリアル。あの両親ってば、最期まで・・・。
ハッピーエンド好きーの私としては、満足のラストでした。
あんな風に無条件に自分を許して愛してくれる人がいたらいいですね。
レイラの気持ちを受け入れたビリーが急にハッピーな気分になってしまうあたりとか、良かったです。

レイラ役、クリスティーナ・リッチがふくよかだなってのが印象に残った。
あの童顔で体はボインボインなんだから、ギャップが面白い。
日本でいうと、安達祐実系か?顔が幼いんだもの。
あれで「28歳よ」なんて大嘘付いてるんだから、笑っちゃう。
ビリーとレイラが二人で写真を撮る場面も、可笑しかった。

 

結局、面白かったかそうでないのか訊かれたら、微妙なんだな。
普通の映画。
あのゆったりした雰囲気を楽しむのだろうか。


 「バニラ・スカイ」

2001年 アメリカ 監督:キャメロン・クロウ 出演:トム・クルーズ ペネロペ・クルス キャメロン・ディアス

亡き両親の遺産で会社の社長の座につき、自慢のマスクで女性にもてもて、何不自由のない生活を送るデビッド。
彼の人生は、嫉妬に狂った恋人、ジュリーの暴走により一変することとなる。
デビッドがソフィアという女性に心を奪われたことを知り、彼を道連れに自殺を図ったジュリー。
だが、自動車事故のすえ、彼女は死に、デビッドは生き残る。
しかしデビッドに残されたのは、後遺症の残る身体と、醜く歪んだ顔だった。

えーと、以下激しくネタバレでございます。ご注意のほどを。

 

悪夢を見たデビッドが、恋人ジュリーの「オープン ユア アイズ」の呼び声で目覚めるところから始まるこの映画。
デビッドが見ていた夢というのがですね、かなり雰囲気出てて怖かったです。
どこまでいっても、自分一人な世界。
誰も、いないんですよ。
タイムズスクエアを一人疾走する場面、曲調が不安をさらに煽り、これはなかなか引き込まれる始まりでした。最初はね。

80%の人が「分からなかった」と答えるであろう映画。
本当に難解です。デビッドは夢と現実と過去の間を何度も行き来するので、この映画を一番に表す言葉は「どこから夢?どこまで夢?」というものでしょう。
私はてっきり、デビッドが冒頭に友人と車に乗っていて、別の車と接触しそうになったとき、あのときからデビッドの夢が始まった物と勘ぐって見てました。
しっかし、物語はもっともっと複雑だったようです。

とにかく、トム・クルーズの映画でした。トムだらけ。トム好きは大変満足できると思います。
いや、逆の意見もあった。事故のあって以後のトムが可哀相で観ていられないと。
トムはこの映画でマドンナのソフィアを演じるペネロペにぞっこんなんだなぁというのがよく伝わってきます。(笑)めろめろ。
事故後、身から出た錆とはいえ、デビッドが哀れでしたね。
顔はぼろぼろ、それまで自分をもてはやしてくれた取り巻きはどこかに消え、足を引きずりながら町に出れば皆の冷たい視線。
後遺症の頭痛に悩まされ、それを理由に、重役達から社長の座を解雇される。

そんな彼の人生が、事故に遭う前に一度だけ会ったことのある女性、ソフィアとの交際が始まったことにより、好転する。
画期的な手術方法により、身体も顔も全て治り、美しい恋人との幸せな日々。
しかし、そのあたりから、彼は奇妙な夢を見始める。
死んだはずのジュリーと最愛の女性ソフィアの存在が、入れ替わっているという夢を。
その夢は段々と現実の世界と交錯していく。
はたして、事故で死んだのはジュリーなのか、ソフィアなのか??

以下は、映画を観た人、オチだけ知りたい人しか、読まないように。

 

えーと、オチ的には、実はデビッドは事故にあって以後、ずっと冷凍睡眠の状態で夢を見ていたのだという事実が明かされます。
病気で残り少ない人生の人等が望んで、その人が望んだ夢を見させてくれるという会社があるのですよ。
その会社に依頼して、デビッドは幸せな夢を見ていた、ということなのだそうです。
で、その会社の代理人みたいな人がデビッドの前に現れて、事情を全部説明してくれるのです。

アクシデントでデビッドの夢は途中で悪夢に変わってしまったわけだけど、それは簡単に修正することができる。
その人は、デビッドに決断をせまります。
このまま、また幸福な眠りにつくか、辛い現実の世界にもどるか。

現実の世界では、デビッドは事故にあったままの身体だし、150年後の世界だし、知ってる人は誰もいないし、親の財産もとうになくなっている。
身体を治す医療技術はあっても、無一文で何も持っていないデビッド。
私なら、このまま夢を見ていたいよ、と思うのだけど、デビッドは目覚めることを望む。
まぁ、物語の展開上、そっちの方が見ていてすっきりするのか。
それで、「オープン ユア アイズ」という呼び声に応え、デビッドが瞳をあける場面で、ラスト。

私は、あの案内人みたいな人の話をそのまま鵜呑みにして、ああ、150年後の世界でデビッドが苦労する、というラストなんだーと思っていたんですが、違ったみたいです。
よく聞けば、ラストの「オープン ユア アイズ」の声は、冒頭の場面と一緒。
つまり、あそこから全て夢。映画内で描かれた出来事は、夢。
ソフィアと出会う誕生日パーティーも、事故も、全部夢、ということみたいです。
もっと深読みすると、デビッドが親の財産で不自由なく暮らしている生活そのものも、夢なのかもしれない。

 

その人の解釈しだいで、何通りも考えられる作品だったみたいです。なるほどねぇ。
こうくどくどと解説してるとこの映画、面白かったのか、と思われるかもしれませんが、私には合わなかったみたいです。(^_^;)
この話、本当に分かりにくいんだもの。
元のスペイン映画の方がすんなりと飲み込める、らしいですよ。
タイトルが何故『バニラ・スカイ』なのかもよく分からないわ。


 「ファインディング・ニモ」

2003年 アメリカ 監督:アンドリュー・スタントン 

魚の親子の子供の方が人間に連れ去られ、お父さんが助けに行く。
おおまかすぎるあらすじ。(笑)しかし、これだけの話をあれだけ長編にしてしまうのだから、凄いね。しかも、最後まで飽きさせないし。

以下、ネタバレ有り。

海での描写はもう完璧でしたねぇ。光の加減とか、魚達の細かい表情とか。
外洋をあれほど恐れていた父マーリンが、一人息子ニモのために旅に出る。しかも、行く手には鮫がいたりクラゲがいたり、海流に乗ったり鯨に食べられたり。うーん、波瀾万丈。
ニモの方も、歯医者さんの水槽に入れられて、新たな出会いがあったり、海に戻るためにいろいろなチャレンジをしていたり。成長しています。

マーリンの一人旅だったら深刻な話になりすぎるのだろうけれど(息子を助ける旅だし)、彼の相棒となるドリーという魚がユーモラスなのですよ。
とにかく物忘れが激しい。何でもすぐ忘れちゃう。でも、本人にもどうしようもない。
しかし、このドリーがいなければ、マーリンはニモのもとへたどり着けなかったのですよね。
人間の文字が読めて、くらげの足に触らなければ大丈夫と教えてくれて(?)、くじらの言葉が分かって(?)、ほとんど完璧だ。
くじらの中でがっくりとするマーリンと、楽しげに歌を歌っちゃってるドリーのコントラストがまた絶妙で。楽しい。
・・・しかし、このドリーってうちの姉に似ている。全体的に。

この映画の一番の笑いどころは、歯医者にやってくる魚の天敵の女の子でしょう。彼女が登場するとかかる曲が何だか、笑う。
で、この歯医者の診察室ですったもんだの大騒ぎがあり、その様子を怯えながら見ている待合室の男の子の描写が絶妙でした。
あと、かもめの「えさ?」のあたりとか。
ニモと一緒に水槽に入っていた魚達はどうなるんだろうなぁと思っていたら、ちゃんとそこまでフォローされていました。さすが。
EDまで楽しいですよ。
しかし、こういう映画があると、魚を飼うことは罪なのかなぁと思ったり・・・。動物園とか、ペット全般か?


 「ブリジット・ジョーンズの日記」

2001年 監督:シャロン・マグワイア 出演:レニー・ゼルウィガー コリン・ファース ヒュー・グラント

ロンドンの出版社勤務の32歳独身女性、ブリジット・ジョーンズが主役。
原作の元はコラムに連載された、ブリジットの架空の日記らしいです。
よって、映画も彼女の一人称的な展開。
見かけも人並みで性格も普通の女性なのに、何故か結婚できないブリジット。
しかし、結婚の夢を捨てきれない彼女は何とか素敵な彼氏をGETすべく、努力を重ねるのですよ。
そして、上司であるハンサム男性といい雰囲気に!!
ついに彼女は結婚への一歩を踏み出したのか!!!
ってな話。うーん。不親切なあらすじですね。
しかし、これは本作をきちんと観た方が良いです。あの絶妙なニュアンスが私には書けない。
できれば、劇場で観た方が良い。周りの人と一緒に爆笑するのが一番。

大酒のみでヘビースモーカーでちょっと太めで思ったことがすぐに顔に出てしまうブリジット。何かと失敗ばかりを繰り返す。
あまり利口そうには見えないのですが、どうも憎めない雰囲気があるんですよ。頑張れ!って感じで。(笑)
やっぱり女の人の方が、心情を理解できるかな。
パーティーの席で、少しでもスタイルをよく見せたいがためにデカパンをはいていたり、彼氏のためにセクシー下着に着替えたり。(^▽^;)
レニーさんはこの役をやるために6kg太ったらしいですね。根性。
とにかく、主役のブリジットが次に何をやらかしてくれるのか、次の展開が楽しみで楽しみで仕方がなかったです。全然飽きない。
笑いのツボを上手くついてくれます!!場面場面が、絶妙。
ヒューはやはり二枚目と思わせておいて、三枚目という役が似合うなぁと思いました。(笑)

ブリジットの親友がまたいい味だしてます。あんなに思ってくれてる友人達がいるなら、彼氏なんていなくてもいいよ!と思ってしまう。
特に、ゲイの男性が可笑しい。
「ケンカだ!」とわざわざ近くの店に知らせに行くシーンとか、笑いました。
ヒューが出ているせいか、『ノッティングヒルの恋人』を思い出した。あれも主人公の親友がいい役どころだった。あの映画の笑えるシーンを、ブリジットはさらにエスカレートさせた感じかな。
仮装パーティーのシーン、間違いだと分かったならすぐに着替えに行けばいいのにと思ったんですけど。
あの格好、ものすごく恥ずかしくないですか?(^_^;)

ところで、32歳にしては老けているような。外人さんってああなのかしら。


 「ベッカムに恋して」

2002年 イギリス 監督:グリンダ・チャーダ 出演:パーミンダ・ナーグラ、キーラ・ナイトレイ、ジョナサン・リス=メイヤース

主人公のジェスはインド系イギリス人の女の子。
ベッカムとサッカーが大好きだけれど、両親はインドの慣習を大事にする人達。娘が手足をさらしてサッカーをすることを当然許していない。
奔放な姉と違い、両親の言葉に従いながらも、ジェスはサッカーを諦めきれない。
やがて地元サッカーチームに所属するジュールズと知り合ったジェスは、家族に内緒でチームの練習に参加することになる。
才能を開花させていくジェスだが、彼女の活躍は両親の知るところとなり・・・・・・。

 

イギリスやアメリカではかなりヒットした映画のようですね。
私、途中から時間を忘れて見入ってしまいましたよ。(笑)えらいご都合なハッピーエンドだけれど、見終わったあと物凄くほんわかした気持ちになったので、満足です。
ジュールズ、どこかで見た顔だなぁと思っていたら、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のヒロインじゃないの。ボーイッシュな感じだから分からなかったですよ。可愛いなぁv
全体的に少女漫画な世界。昔の
大好きなサッカーに打ち込むジェス。頼れる親友のジュールズ。ジェスがほのかな恋心を抱く監督のジョー。結婚間近で仲良しの姉ピンキー。同じインド系の男の子でジェスのことを好きらしいトニー。
ジェスとジュールズの両親もそれぞれ個性的。とくに、ジュールズのお母さん。超勘違いの早とちりお母さんなのだけれど、ジュールズを大事に思っているのは本当なのでどうも憎めない。
嫌いなキャラクターがいないのですよね。珍しい。

ジェスとジョーの関係は、何となく『エースをねらえ!』を思い出しました。ジェスがひろみで、ジョーが藤堂先輩。
かっちょいーのですよ、このジョーが。あんな風に優しくされたら、絶対惚れるっての。(笑)普段は変な役ばかりやってる俳優さんらしいが、ここでは爽やかな好青年。
ジョーは昔サッカーをやっていたけれど、足の故障で引退。今はジェスの所属する女子サッカーチームの監督をしている。
この彼がジェスのサッカーの才能を見込み、ジュールズと同じくらいジェスを心配してくれるのですよ。
足の火傷を気にして短パンを嫌がるジェスを、優しく諭すジョーにぐらりときました。いい人だ!
ちなみにトニーもジェスの火傷をからかう男子を諫めていて、いい人だった。途中明かされる彼の秘密には驚きました。

私、監督のジョーがなぜあんなに若い俳優か分からなかったのです。もっと年輩で頼れる感じの穏和なおっさんの方が良かったと思っていた。
でも、少女漫画な展開としては、ジェスの憧れの監督は若い方がいいですよね。(笑)
最初にジョーが登場したときはジュールズと仲良しな感じで、お似合いなカップルだなぁと思っていた。そうしたらジェスがジョーを気にしだして、ジョーもまんざらじゃない感じ。あれよあれよという間に両思い。しかし、監督が特定のメンバーを贔屓するわけにいかない。
ジョーに片思いをしていたジュールズが絡み、ジェスとの友情に亀裂が。ジェスの両親は、もちろん白人であるジョーとの交際に反対。
うはーーー、楽しい!
またジェスとジュールズの両親が、二人は恋愛関係(女の子同士!)と勘違いしたりと、とにかくせわしない。
私、女の子の青春サッカー映画なだけだったら、ここまで絶賛しなかったです。やっぱり恋話もからまないとねv(笑)

しかし、綺麗な女優さん多かったなぁ。ジュールズといい、ピンキーといい。目の保養。ジェスも普段は男の子みたいだけど、サリーを纏ったら美人さんで驚きましたよ。
やはりそれぞれの民族衣装が一番似合うのだろうか。日本人は着物か。あんな格好しょっちゅうできないなぁ。
あと映画の中の音楽も良かったです。キャスティングも。

 

両親のためにも、サッカーをやめる決意をするジェス。
はからずも、サッカーの決勝戦と姉ピンキーの結婚式は同日行われることになった。
試合にはアメリカからのスカウトもジェスとジュールズの活躍を見に来る。
はたしてジェスは・・・・・・・。

ベッカムも最後にちらりと登場しますよ。(笑)
最後の最後まで幸せな展開。うまくいきすぎだろう!と思いつつも、娯楽作品はこうでないと。フィクションの中でも辛い現実なんて見たくないですよ。いいなぁ、幸せ。DVD買おう。
とにかく、久々に五つ星の映画でした!!!


 「ボーン・アイデンティティー」

2002年 アメリカ 監督:ダグ・リーマン 出演:マット・デイモン フランカ・ポテンテ クリス・クーパー クライヴ・オーウェン

タイトル、言いにくい・・・。
いや、それはいいとして。
漁船に助けられた主人公は、いっさいの記憶を失っていた。
体の中に埋め込まれたスイス銀行の口座を頼りに、自分の過去を探そうとする。
銀行に預けられていたものは、身分を証明する複数のパスポート、拳銃に金。
その後、何者かに襲われた主人公は、自分が狙われていることを知る。一体、何故?
取り敢えず、パスポートに書かれていた住所、フランスに向かう主人公だが・・・・。

以下、ネタバレ有り。

 

何か、しっくりとこない映画。というのが最初の感想。
実は、主人公、ボーンはCIAが“踏み石作戦”という名のもとに大金をかけて作り上げたエージェント。
しかし、要人暗殺の任務に失敗した彼は海に投げ出されて記憶を失ったのです。
CIAは証拠隠滅のために、ボーンを始末しようと考える。
よって、ボーンは殺し損ねた要人側とCIA、両方に狙われるはめになった。
しかし、CIAも大金をかけているわけだから、一回の失敗くらいで殺そうとしなくても・・・・。というのが第一のひっかかり。

あと、肝心のボーンが任務に失敗した理由。
ターゲットが子供と一緒にいたからひるんだのです。これがまた唐突。
逃げている途中に子供のいる家にかくまってもらうのですが、ボーンを子供が巻き込まれることを異常に恐れる。
でも、彼が子供に心を許している理由は全く明かされない。
教育されたエージェントが子供にひるんでどうするんだ。普通の人間は平気でどんどん殺しているのに。
過去に彼と子供の間に何かエピソードがあるのならともかく・・・。

何というか、“踏み石作戦”についてはラストにさらりと語られるだけなのですよ。それも、あまりメインじゃなかった人物に。
あまりにあっさりしてたから、意味不明だった。
あれほどしつこく追っていたボーンを、上の人間が交代したくらいで見逃している点もわけが分からないし。
ヒロインの女の人もね。
実は別の組織の人間とか、裏があるのかと思ってました。(笑)

 

でも、つまらない映画というわけではないです。
主人公を演じるマット・デイモン。記憶喪失の彼が不安げな表情できょろきょろしているのは、何かリアルでした。
アクションも凄いし。カーチェイスの場面も、かなり気合い入っていました。
店に入ったボーンが無意識にも駐車場の車の台数やナンバーを覚え、客の動きにも目を配っているところとか面白かった。
でも、主人公が無敵すぎて、あまりひやひやする場面がないんですよね。
割と平気で対応して敵を倒しちゃうので。


 「香港国際警察」

2004年 香港・中国合作 監督:ベニー・チャン 出演:ジャッキー・チェン ニコラツ・ツェー ダニエル・ウー チャーリー・ヤン シャーリーン・チョイ

ジャッキーの映画で同タイトルの作品がありますが、続編ではないようです。
少々ネタバレ有り。

 

主人公は、我らがジャッキー。今までどんな難事件も解決してきた香港警察の敏腕刑事。部下にも慕われ、自身に満ちあふれている。
そう、それがいつものジャッキーが演じる役柄のはず。
しかし、この映画は突然ジャッキーが飲んだくれて路地裏で吐きながら倒れ込むシーンで始まるのです。
衝撃的でした。幼い頃から憧れていたヒーローが、こんな姿に!!!ジャッキーー!!(ファンの悲鳴)
彼がそうなったのは、一年前のある事件がきっかけだった。

もう、この辺りからいつものジャッキー映画とは雰囲気が違います。大作の予感。
そして、この映画は私の期待以上の出来でした。大成功だったらしく、いろんな賞も取っている様子。それも頷けます。
今までのジャッキー映画は、ユーモアとアクションの融合。コメディ、コメディ、アクション、アクション、コメディ、という感じ。
でも、この映画ではアクション、アクション、アクション、息抜き、アクション、ドラマ、アクション、少々の笑い、アクション、アクション、アクション、という感じです。(分かり難い・・・・)
作品の雰囲気は暗いです。
遊び感覚で強盗をし、警官達を殺していく犯人グループに、部下達を殺されたジャッキーが怒りの復讐をするというのがおおまかなストーリーなので。
前半は、もう目を覆いたくなる場面の応酬。これは子供には見せたくないですね。犯人達の罠にはまり、次々仲間を殺されて泣き喚くジャッキー。犯人一味を前にして、土下座までするんですよ。
この映画のジャッキーはよく泣きます。それは見ている人の胸にも届き、どうしようもなく苦しくなるのです。
ジャッキーもこうした演技が出来るようになったかと思いましたが、パンフを見ると本当に泣いていたようで、だから鬼気迫る感じがよく出ていたんですね。

 

香港映画らしきご都合な流れがないとはいいませんが、ストーリーは完璧でした。面白い。これは100人見て100人面白いと言うと思います。アクション好きなら。
ジャッキー映画に今まで興味がなかった方にも、断然、お薦めします。
前半の暗い部分を吹き飛ばすような、ラストシーンの爽やかさ。本当に、涙が出そうです。
ジャッキー映画の代表作の一つとなるであろうこの映画ですが、今までと一番違うのは「イケメンが多い!!」ということでしょうか。
初っ端からやられてしまうジャッキーの部下達、ジャッキーの相棒となる刑事、そして悪役。みんながみんな、若々しく格好良い。
次の世代の若者を育てる、というジャッキーのコンセプトがよく分かります。
今までなら、悪役はさも悪役、悪代官みたいな雰囲気を登場時からかもしだし、「こいつが悪いんだ、何故みんな気付かないーー!!」と言いたくなる役者ばかりですが、今回はみんな爽やかなんですよ。
特に、ジャッキーの相棒となるニコラスが、素敵。どうみても『踊る大捜査線』の青島刑事です。(笑)
あの緑のコートは真似しているとしか思えないって。彼が出てくるとずっと「青島―」と思っていた。香港でも『踊る〜』は放送されていたんですかね??
だって、親しい婦人警官のササとラーメンを食べるシーンまであるんですよ。青島だよ、青島!今度からこの人は青島と呼びます。ということは、ササはすみれさんか。
ミステリアスな警官を演じている青島くんですが、すさんだジャッキーをかいがいしく世話をするあたり、信じたくなるキャラです。

「ハリウッドはジャッキーには窮屈すぎた」とチラシに書いてありましたが、これはその通りだと思う。
ハリウッド版のジャッキーは、真面目で、ユーモアもあって、頼れて、強い、たまにドジをする、という型どおりの役しかなかった。アクションも、
CG&ワイヤーに頼るものばかり。
今回の映画は、確かにワイヤー等と使っているだろうけど分からないようにしてあるし、何よりジャッキーがのびのびと動いているのがよく分かる。
やはり安全面から制約が多いんだろうなぁ、ハリウッドは。
この映画を見てしまったら、正直、今までのハリウッド版ジャッキー映画を全て抹殺したい気持ちになりました。特に『メダリオン』とか・・・『メダリオン』とか・・・・『メダリオン』とか・・・・(しつこい)。あれは最悪、極悪。
目立つアクションをあげると、超高層ビルをロープ一本で駆け下りたり(青島くんなんか、ジャッキーの真似をしたつもりが、逆さまに落ちてるよ!)、運転手を失い、暴走する二階建てバスにジャッキーが飛び乗ったりするもの(青島くん、別行動していると思ったら最後に役立った)。
時限爆弾もいつ爆発するかとはらはらして、そこにジャッキーとその婚約者とのやり取りがまた泣かせる。
コンベンションセンターを使ったクライマックスは、本当に、どうやって撮影しているのか分からないほど迫力のあるシーンになっています。必見!!
思わず「青島ーーーー!!」と叫びそうになった。絶対死んだと思ったよ。あああ、あの高さを釣られながら落ちるなんてーー。下にマット無しだぜ。自殺行為だぜ。怪我だらけだぜ。

 

強盗グループは金が目当てではなく、あくまでゲームとして警察へ挑戦している。
人の命を何とも思っていない殺し方が何とも残忍で憎々しく、胸がむかむかします。
それでも、グループのリーダーの最後には、何故か悲しい気持ちになった。許すことは出来ないけれど、悲しい。あの父親も悲しい。
泣き崩れる姿を見ると、けして息子を嫌っていたわけではなく、愛し方が分からない人だったのかもしれな。
だけれど、そうしたすれ違いが、彼のような歪んだ人間を作り出してしまった。犯人の生活もちらりと描いているから、また映画も深いものになったのだと思います。
しかし、あれだけ楽しそうに警官を殺していたのに、一般人相手だと妙に怯んでいる犯人グループがよく分からない。ギャップがありすぎ。
ジャッキーと戦ったあの人が、最後に引き金を引くことを諦めた瞬間、そんな、今まで極悪人だったのにーと思ったけれど、ジャッキー映画らしいといえば、らしい気が。
そしてエンドロール前の、青島くんの過去が分かる回想。緑のコートにも、きちんと意味があった。
これがあるから、この映画は爽やかな最後になっているのだと思います。これぞ、私達のよく知るジャッキーの姿。ヒーロー!
ちょっと優しくされただけではあそこまで長い間覚えていないし、彼のために骨を折ろうとは思わないはず。
おそらくあの後、孤児院を見付けてくれたり、いろいろ出来る限り世話をしたんだろうなぁと思う。
因果応報。
善行をすれば、巡り巡ってそれが自分の人生を好転させるものとして返ってくる。悪行もまた、不孝な結果として返ってくる。
人生とは、そういうものなのだとしみじみ思いました。

最後に、サモ・ハン・キンポーの息子がジャッキーの部下役で出ていたそうだけれど、全然分からなかったですね。
あと、書類を自分から遠く離して眺めるジャッキーの姿に、「老眼!?」と思ったり・・・・。
寄る年波には勝てず。しかし、まだまだジャッキー健在を思わせる良い映画でした。有難う、ジャッキーーー!!

 

・・・・・・あんたジャッキーの何なのさ、って感じの感想になった気が。映画観た直後だったら、この3倍の長さだったと思います。興奮で。
青島くんの役を私が普段駄文で書いているキャラに当てはめると、間違いなくナルトです。原作じゃなくて、うちのナルト。
可愛い、格好良い。天使のような役どころでした。


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