touch 2


月曜、朝の出勤時。
同じように職場に向かう人々が、まだ店の開いていない商店街の道を行き交っている。
腕時計を見たイルカが、歩く速度を速めようとしたとき。
誰かに肩を叩かれた。

「イルカ先生、カカシの女に手を出すなんてなかなかやりますね」

イルカは凍り付いたように動きを止める。
「固まってるぞ」
「・・・面白いですね」
おもむろに振り返ると、アスマとハヤテの二人がイルカの動揺振りに含み笑いをしていた。
「な、な、な」
「何で知ってるかって言いたいのか?」
頷くイルカの肩に、アスマはぽんと手を置く。
「サクラが早朝にあんたの家から出ていくところを見たから、俺がみんなに広めた」

脱力してうずくまるイルカを見ても、二人の好奇の視線は変わらない。

 

「・・・だって、サクラはこっちの気も知らないで誘うようなことばかり言うし、一緒に寝ようとか言って布団に入り込んでくるし、一つ屋根の下に二人きりな状況なわけだし」
「ああ、分かります。分かりますよ。サクラさんは魅力的な人ですから」
ハヤテは同情的な声でイルカに語りかける。
「サクラさんの髪ってさらさらしてて触るとき持ちよくて、いい匂いするんですよね」
「そうなんです」
「折れそうに華奢な手足だけど、抱きしめると意外に柔らかくて」
「そう」
「そして、サクラさんはアノとき絶対に相手の目を見るんですよね」
「・・・・」
いつしか黙り込んだイルカは、半眼でハヤテを見上げた。
「どうして知ってるんですか」

唐突に、ハヤテは激しく咳き込み出す。

「す、すみません。持病の癪が・・・。お先に失礼します」
わざとらしく言い訳をすると、ハヤテは2,3回咳をしながら退散した。
イルカは言葉も無くその後ろ姿を見送る。
「・・・みんな、健康な若者なんだな」
アスマは煙草を吹かしながら意味不明の言葉を呟いた。

 

「よく分からんな。サクラって、そんなにいいのか」
どちらかというと豊満なボディーの女性が好みのアスマは頭をかきながら言う。
「いいですよ」
さらりと答えながら、イルカはようやく立ち上がった。
「胸は小振りだけど形はいいし、肌は柔らかくて手触りいいし、感度も最高だし、何より甘えた声が可愛くていいです」
「・・・・」
珍しく饒舌に語るイルカに、アスマは静かにその目を見詰め返す。

「一度貸し・・・」
「駄目ですよ」
「イ・・」
「駄目です」
皆まで言わせず、イルカはアスマの声を遮る。
続く言葉は、聞かずとも分かった。
「サクラは貸し出しできません。ものじゃないんですから」
「・・・中忍のくせに。生意気だなー」
さして気にした様子もなく、アスマは視線を上げて嘯く。

 

「大体、あなたにはもういい人がいるじゃないですか」
言うが早いか、イルカはアスマの肩越しにその人物を視界に入れる。
イルカと目が合うと、紅は二人のいる方に向かってやってきた。
「こんなところで何してるのよ。みんな、見てるわよ」
人波に逆らって立ち話をするイルカとアスマに、通り過ぎる人はちらりと視線を投げている。
中には、紅の美貌に見惚れている男もちらほらと混じっているようだ。

「お前の話をしてたんだよ」
「あら、悪口かしら」
紅はアスマとイルカを交互に見詰め、悪戯な笑みを浮かべる。
「と、とんでもないです!」
「そーそー。お前の悪口なんて言ったら、命がいくつあっても足りないだろうよ」
「・・・・何よ」

口論を始める二人に、イルカはそっと後退りをして退散する。
アスマと紅のケンカは仲が良い証拠だ。
イルカはそのことを十分に理解していた。

 

 

「へぇ。念願かなってイルカ先生の恋人になれたんだ。良かったわねぇ」
いのは茶をすすりながら興味深げに呟く。
「えへへ。恋人っていうか、まぁ、そんな感じだけど」
サクラは湯飲みには手を出さずに恥ずかしそうに身をよじっている。
二人とも、今日の任務は午後からということもあり、朝のうちはのんびりと茶店で話しをする時間があった。
店内は朝食をとる客や、旦那を送り出したあとに井戸端会議をする主婦達が席を占領している。

「で、どんな感じだったの。イルカ先生は」
「ん、優しくしてくれたよ」
サクラは運ばれてきた団子へと手を伸ばす。
「おっきくてなかなか入らなかったんだけど、いろいろ気を配ってくれるから嬉しくて涙出て来ちゃった」
「・・・ふーん、いいわねぇ」
いのは机に肩肘をついて嘆息する。

「シカマルなんていっつも乱暴でいやになるんだから。私もイルカ先生にお相手してもらおうかな」
「駄目!!!」
サクラは言下にいのの言葉を退ける。
「いの、怒るわよ」
「はいはい。冗談だって」
自分を睨み付けてくるサクラを、いのは苦笑気味に見詰めた。


あとがき??
イルカ先生が開き直ってるってばよ。
何か、えらい下品な話になってしまった気がする・・・・。
密かにアス紅とシカいのが入っていたり。ハヤサクもか。
私の趣味です。
続き、どうなるんだろう。カカシ先生、満を持しての登場か??
っていうか、カカシ先生が出てくると本当シャレにならなくなりそうだ。(悩)

サクラ達は14〜5歳のつもりで書いている。(余談)


暗い部屋に戻る