禁じられた遊び A


下忍にはなれたものの、任務内容といえば迷い猫探しや庭の雑草むしりだ。
今日も7班は山菜取りの任務のために山を訪れている。
「やってられねーよ」
しゃがみ込んで作業をしていたナルトは、立ち上がりながら一人愚痴をこぼす。
そのまま今日の収獲の山菜を籠に入れ、決められた時間に間に合うよう集合場所へと向かう。

たどり着くと、サスケはいたがサクラの姿はなかった。
「あれ、サクラちゃんはまだ?」
「お前が最期だドベ。サクラは待ちくたびれて散歩に行った」
足元にあるサクラの分の籠を指し示したあと、サスケはふいと顔を背ける。
サスケの言葉にカチンときたナルトだったが、時間に遅刻したのは事実だから言い返すことができない。

「・・・・サクラちゃん、どっちに行ったよ」
ナルトは渋々というように訊ねる。
振り返ることなく、サスケは林の向こうを指差した。

 

「嫌味な奴だ。ぜってー友達いねーな、あいつ」
怒り覚めやらぬ様子で、ナルトはぶつぶつとこぼしながら林を分け入った。
サクラを連れて戻れば今日の任務は終了だ。
ナルトは早くこの場を離れ、サスケともおさらばしたいと思っていた。

暫らくは足を踏み鳴らしながら歩いていたナルトだが、周りの景色を見るうちに、あることに気付く。
いつか夢に見た風景。
それに、この場所は酷似している。
ナルトはごくりと唾を飲み込みながら林の先を見詰めた。

もしかしたら、この先には池があるのかも。

淡い期待を抱いたナルトだったが、物事はそう都合よくはいかなかった。
道の先は、ただの行き止まりの崖。
池などどこにも見当たらない。
結局、夢の場所はどこだったのか、そして夢の続きも、分からないままだ。

がっくりと肩を落としたナルトだが、すぐに人の話し声らしきものが耳についた。
そのときになって、サクラを探すという当初の目的をナルトはようやく思い出す。

 

声を頼りに歩くと、木立の下にサクラとカカシの姿を発見した。

「サクラちゃん」

呼びかけてみたが、サクラはナルトの呼び声に気付かないようでカカシと談笑を続けている。
何をそんなに夢中になって話しているのかと、ナルトは表情を曇らせた。
そもそも、上忍のカカシはナルトの気配に気付かないはずがない。
カカシはわざとナルトを無視しているのだ。
頭にきたナルトは二人に割って入ろうと足を踏み出す。

だが、数歩もしないうちに、ナルトは立ち止まった。
急な眩暈。
驚いて額に手を当てたナルトだが、耳鳴りまで聞こえ始めた気がする。
同時に、吐き気も。
その間もナルトの目線はサクラから外されていない。

ぐらつく視界に映る光景。

 

木陰の下、楽しげに笑うサクラ。
それに応えるように微笑むカカシ。
そして・・・・。

 

 

「サクラちゃん!!」

先ほどよりも大きな声で呼びかけると、サクラはようやくナルトのいる方角へ顔を向けた。
距離をつめるナルトに、サクラは眉を寄せる。
「何よ、やっと来たの」
サクラはナルトの遅刻を怒っているようで、腰に手を当てて口を尖らせた。
それに対しサクラは何か返事がある思ったのだが、ナルトは無言だ。
「ナルト?」
不思議そうに顔を傾けるサクラの手を、ナルトは強く引く。
驚くサクラに、ナルトは真顔で言った。
「・・・早く行こう」

ナルトはサクラの腕を掴んだまま歩き出す。
その剣幕にのまれ、サクラは素直にナルトの後ろをついて歩く。
サクラに対し、ナルトがこのように強引な行動に出たことは今までない。
そして、ナルトが一度もカカシと目を合わせないことに、サクラは気付いていなかった。

一部始終を傍観していたカカシは、口端を緩め、含み笑いをする。

 

小走りで二人に追いつくと、カカシはナルトの肩に手を置いた。

「思い出した?」

ナルトに顔を近づけ、カカシはそっと耳打ちする。
からかうようなその声音に、ナルトはひどく不快な気持ちになった。


あとがき??
・・・まだ分かりませんでしょうか?
いや、たぶんご想像のとおりです。
健全至上主義者の方は続きを読まないで下さい。
倫理的に問題有り。


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