男の子 女の子
朝、カカシが目覚めると時刻は朝の10時だった。
今日の7班の待ち合わせの時間は9時。
このぶんだと、3時間くらいの遅刻で済むかなぁと思いながら、カカシは半身を起こす。欠伸まじりにぺたぺたと音を鳴らしてフローリングの床を歩く。
カカシがその変化に気付いたのは、鈍いことに洗面台の鏡で自分を見てからだ。鏡には、一人の妙齢の女性が映っていた。
白い髪に、片目が写輪眼。
どこかで見た特徴。
いや、こんな様相の人間は木ノ葉隠れの里に一人しかいない。「なんじゃこりゃーーーー!!!!」
カカシの絶叫が家中に響いた。
「えーと、落ち着け。落ち着くんだ」
言い聞かせながらも、カカシは鼓動の早まった胸に手をやる。
ぐにゃりとした、柔らかい感触。
本来ないはずのものが、胸についている。
同様に、下半身に手をやるとあるはずのものがなかった。
完全に女体だ。変化の術を使った覚えもなく、前日に何か変なものも食した記憶もない。
全く原因不明の出来事だった。「・・・そうだ。任務」
首を傾げて考え込んでいたカカシは、鏡に映った時計の針を目にしていそいそと用意を始める。
取り合えず外傷はなく、体も普通に動く。
本来なら恐慌状態に陥っても良い事件だったが、暗部として様々な経験をしてきたカカシに驚きは長いこと持続しなかった。
ま、何とかなるだろう。
それがカカシの信条だ。
外へ出ると、世界は一変していた。
いや、街並みはそれまでと変わらない。
変わっていたのは、目にする人々の性別だ。
男は女に。
女は男に。
完全に性別が逆転している。「カカシちゃん、今日も綺麗だねぇ」
「ハハ。どうも」
商店街を歩くカカシは八百屋の店主に声をかけられ、愛想笑いをする。
昨日まで女性だった彼とはよく談笑する仲だ。
面立ちがそのままのおかげで、性別が入れ替わっても誰だか分かるところがなかなか楽しい。
橋へと続く道を横切ろうとして、カカシはぽんと肩を叩かれる。
振り向くと、黒髪の女性がカカシに向かって微笑んでいた。
装束からくの一と分かるが、見覚えが無い。
豊満なボディーは衣装の上からもはっきりと分かり、かなり迫力にある美女だ。「カカシ、あなたの生徒達が公園で待ちくたびれてたわよ」
「・・・・・誰?」
思わずといった風にカカシは訊く。
誰だか、本当に全く分からなかった。
美女は不満気に眉を寄せる。
「寝ぼけてる?」
「いや・・・」
どう返答したらいいのか悩むカカシに、さらにもう一人の忍びが駆け寄った。
「カカシ、アスマ!」
カカシはその声に仰天して振り返る。
明らかに、自分と目の前にいる彼女に向けられた言葉。
自分がカカシということは、彼女は・・・。
「ア、アスマーーー!!!?」
カカシは素っ頓狂な声をあげて、眼前のショートカットの美女をまじまじと眺めた。
当然だが、線の細い彼女に髭面の面影は全くない。「紅、カカシが変なんだけど」
女版アスマは困惑気味に傍らの男を見る。
どうやら、二人に声をかけたのは男版の紅だったらしい。
こちらも、長髪の優男でなかなか女にもてそうな外見だった。
「カカシが変なのはいつもじゃないか」
笑いながら言う紅に、一片の悪意も感じられない。
「それより、おまえ昨日任務の依頼書間違えて持っていっただろ。火影さまに届けるように言われたんだよ」
「あ、本当だ」
カカシは手元の巻物を見る。
本来7班の「七」と数字の入っている場所に「八」と書かれている。
「今度から注意して持っていけよ」さわやかな笑顔を浮かべて、紅は去っていった。
いまだ訝しげな顔をしたアスマと共に。
集合場所の公園には、カカシの予想通り3時間ほど遅刻してついた。
もちろん、下忍達は怒り心頭といった顔でカカシを睨んでいる。「遅いってばよー!」
髪をツインテールにしたナルトは頬を膨らませて主張する。
これがなかなかの美少女ぶりだ。
傍らのサスケは、男でも女でも変わらずに異性の興味を引く秀麗な顔をしている。
そして紅一点ならぬ、少年サクラ。
短い髪の彼は広いおでこも、知的な眼差しも、珊瑚色の柔らかそうな唇も、そのままの印象だ。一目見るなり、カカシは無意識に彼を抱きしめていた。
「可愛いーーーvvv」
「ギャーー!!」
サクラは青ざめた顔で悲鳴をあげる。
「ちょ、はなし・・・て」
カカシの豊かな胸が顔にあたり、サクラは呼吸困難になっている。「女の子でも男の子でも、サクラは可愛いなぁv」
「何わけの分からないこと言ってるんだってばよ!」
ナルトは必死な様子でカカシとサクラを引き剥がそうとする。
カカシがサクラを放したのは、ナルトの力が影響したのではない。
「・・・窒息死するぞ」
という、サスケの声が耳に入ったからだ。
見ると、サクラは確かに意識を失ってぐったりとしていた。
仰け反ったサクラの白い喉元と鎖骨がカカシの目に飛び込んでくる。
心配するよりも先ににやりと笑ったカカシに、ナルトは嫌な予感がした。「サクラの体調が悪いみたいだから、今日の任務は明日に延期ね」
「え、ちょっと、先生!!!」
ナルトの訴えに耳を貸さず、カカシはサクラを肩に担いで姿を消した。
「サスケ、カカシ先生の家、知ってる?」
愛するサクラの危機を察し、ナルトはすかさずサスケに訊ねる。「知ってるけど・・・」
サスケはゆっくりとした口調で首を傾ける。
「間に合う、か?」
「あああーーーー!!!」
頭を抱えたナルトは大きな声で嘆いた。
「カカシ先生、落ち着いて・・・」
「大丈夫。落ち着いてるよ」
カカシの家につく頃にはサクラもすっかり目を覚ましていた。
そして、瞳を開けるなり半裸にされている状況に頭は混乱状態だ。「先生に任せておいて。サクラは何もしなくていいから」
「そ、そういう問題じゃなくて」
後退りしたサクラだが、ベッドの上では逃げられる範囲は限られている。
「撲には他に好きな人が」
「分かってるよ。サスケでしょ」
会話の合間にも、カカシがサクラを追い詰めていく。
「最初は慣れてる大人に手ほどきしてもらった方がいいって」
最初も何も、サクラを他の人間に渡すつもりはなかったが、カカシはしゃあしゃあと言い放つ。
「あっ」
下着をはがしたカカシがその場所に触れると、サクラはたまらずに声をあげる。
「ねぇ、気持ちいい?」
「・・・・んん」
カカシの丹念な愛撫に、サクラは答えることも出来ずに上気した顔でカカシを見上げる。「参ったなぁ。男相手に欲情したのなんて初めてだよ」
カカシは涙目になっているサクラに優しくキスをする。
「サクラは凄いね」
目覚めると時計は朝の10時を示していた。
頭上には、見慣れた寝室の天井。
布団の中で確認すると、胸はなく、完全な男の体だ。全て夢だったのかとカカシが起き上がると、傍らにピンク色の髪があった。
無言のまま、数分が経過する。
自分に背を向けている顔を恐る恐る確認すると、すやすやと眠る少女のサクラ。どこから夢で、どこまでが夢か。
全く分からない。
「ん・・・」
身じろぎしたサクラが眩しそうに目元を押さえた。
伸びをしたサクラはその状態のままぴたりと動きを止めた。
自分の部屋ではない場所に、昨日のことを思い出そうとしているのだろう。「おはよう」
横から声をかけると、サクラは飛び起きる。
にっこりと笑うカカシと目が合うなり、サクラは顔を真っ赤にした。
「先生、昨日みたいのは強姦っていうのよ、強姦!!」
「でも、サクラ気持ち良さそうにしてたじゃん」
にやにや笑いのカカシに、サクラの顔はさらに赤くなる。
カカシが言ったのは少年の方のサクラのことだったが、こちらも同様だったらしい。「ま、いっか」
「え、ちょ、ちょっと!先生」
再び組み伏せられたサクラは慌てて抗議の声をあげる。
「今日は女の子の方の体を堪能するとしよう」
「何、意味不明なこと言ってるのよー!私、もう駄目だって」
サクラの必死の抵抗は、全く功を奏さなかった。
あとがき??
男女入れ替えをやりたかったんです。
何で、こんなにエロエロになったんだろう・・・・。(悩)
カカシ先生はサクラなら男でも女でもOKみたいです。ゲフッ。(吐血)