忍びのオンナ 2
「私、頑張るからね、サスケくん!」
里にいる意中の相手の写真を見つめ、サクラは呟く。
城でサクラを出迎えてくれた人物、イルカは誠実な感じのする、優しそうな男だった。
その他、紹介された城勤めの人々は、皆、いい雰囲気の人達ばかりだ。
そんな中、主人となるカカシだけが、どうもとらえどころのない印象が残る。
顔は笑っているのに、何か、本音は違うところにあるような。一人部屋を与えられ、布団の上に横になっているサクラはごろりと寝返りをうつ。
とにかく、カカシの護衛の任務は明日から始まる。
気が合うか合わないかの問題ではなく、主人に合わせなければならないのだ。
里を出ての任務が初めてということもあり、サクラは不安げにサスケの写真を眺める。
「・・・ちょっと心配、かな」
「大丈夫だよ。俺がついてるから」
ふいに聞こえたその声に、サクラは急いで半身を起こす。
いつの間に部屋に入り込んだのか、ついたての向こうから覗いているのは、サクラがこの日会ったばかりの若様だ。「な、な、何でここに」
「初めての場所で緊張して眠れないと可哀想かなと思って、様子を見に来たんだよ」
人当たりの良い笑顔を浮かべると、カカシは何のためらいもなくサクラに近づく。
単に着替え、すっかり眠る準備をしていたサクラは慌てて襟元を正した。
正座をする前にサスケの写真を布団の下に隠したのだが、しっかりと見られていたらしい。「何、それ」
「あ!」
サクラを押しのけたカカシは、写真を無理やり取り上げる。
そうして、そこに映っていたのはサクラと同じ年頃の黒髪の少年。
写真を見つめながら、カカシの口元が、意地悪く歪んだ。「恋人?」
「ち、違います。幼馴染で」」
「それだけ?後生大事に持ってきて、夜中に見つめていたのに」
厳しく問う眼差しに、サクラは唇を噛締める。
「・・・好きな、人です。片思いですけど」
歯切れ悪く答えるサクラに、カカシの笑みはさらに深くなった。「それは良かった」
呟かれた言葉の意味を、サクラが訊ねる隙すらない。
カカシに腕を掴まれたかと思うと、サクラはそのまま布団の上に押し倒される。
何が起きたか分からず、サクラは頭の中が真っ白になった気がした。「恋人がいるのに、無理に引き離したら可哀想だからね」
言い終えるのと同時に、カカシはサクラの唇を奪う。
目を見開いたサクラはそれでも、まだ状況を把握できず呆然としていた。口内に柔らかなものが入り込み、体のいたるところを冷たく、大きな掌が這っている。
やがて唇は首筋へと移動し、単は帯ごと剥ぎ取られた。
12の子供とはいえ、こうした行為の意味することは分かる。
だけれど、何故自分が主人によってこのような仕打ちを受けているのか、理解できない。
自分達は好きあった者同士ではなく、今日初めて会った間柄なのだ。
「あ、や、嫌・・・止めて・・」
瞳から自然と涙がこぼれだし、サクラは悲痛な声で訴える。
初めて感じる恐怖に竦んでしまって、体に力が入らない。
何とかカカシの愛撫から逃れようとするが、僅かに身じろぎするのが精一杯だ。「抵抗したら、隠れ里に兵を差し向けるよ」
未成熟な乳房を舐めたカカシは、サクラの顔を見ることなく声を出す。
感情のこもらない声音に、サクラは背筋が凍る気持ちがした。
視線をそらした先にあったのは、カカシが放り出した一枚の写真。
「サクラの好きな男の子も仲間も、全員死んじゃうね」
「この、バカカシッ!!!自分の護衛、足腰立たなくなるまで痛めつけてどうするんですかーーーー!!!」
朝からイルカの怒声が城中に響き渡った。
当のカカシは、両手の人差し指で耳に栓をしている。
サクラが寝込んでしまって布団から出ることができないとの知らせを女中から受けたイルカは、すぐに事態を察知した。
その理由がカカシにあるのは明白だ。
昨日の態度を見る限り、カカシがサクラにちょっかいを出さないはずがない。
急ぎ足で廊下を歩いていたイルカは、カカシの後ろ姿を見つけるなり、周囲の視線を気にすることなく大声を発したのだった。
「ああ、もう、あんな子供にまで・・・。サクラ、きっと里に帰るって言い出すよ」
「バカカシって、お前、長い付き合いとはいえ言い過ぎだろう」
頭をかかえるイルカに、カカシは淡々と言う。
自分の嘆きがまるで聞こえていないカカシを、イルカは睨みつけた。
だがカカシはイルカの厳しい視線をまるで意に介さず、廊下の後方を指差す。「来たみたいよ」
「え」
言われるままに振り向いたイルカは、その人物を見るなり、目を丸くした。
寝込んでいるはずの少女が、そこに立っている。「サクラ!た、体調が悪いなら無理しなくてもいいんだぞ」
「・・・平気です」
駆け寄ったイルカが心配そうに声をかけると、サクラは小さく首を振った。
多少顔色が悪いが、サクラはしっかりと正面にいるカカシを見据えている。「里のために、頑張るって決めたんです。正式に任務を請け負ったのに、寝ているわけにいきません」
決意みなぎる瞳で言うサクラに、カカシはにんまりと笑う。
昨夜言った言葉が、効いているらしい。
大名家が攻守の要たる隠れ里を滅ぼすことはありえないが、サクラには十分の脅し文句だったようだ。
「まだ元気そうだし、もうちょっと無理させても大丈夫みたいね・・・」
顎を擦りながら呟くカカシは、イルカの目に悪魔そのもののように見えた。
あとがき??
エロはたぶん2だけ。過激な描写はこれで満足しました。
次から健全というか、超ほのぼの路線。
これから話、考えます。(また)