彼氏彼女の事情
「はたけサクラです。よろしくお願いします」
名前の書かれた黒板の前で、にっこりと微笑んだ彼女にクラス中が魅了される。
木ノ葉高校、1年1組に転入してきたサクラは、その日のうちにクラスの人気者になっていた。
4月の後半という半端な時期の転入生だが、訝る者はいない。
美人で頭も良く、性格も明るい女子がやってきたというのに、文句を言うはずがなかった。
「サクラって呼んでもいい?」
「うん」
休み時間になるなり、集まってきた女子達にサクラは笑顔で受け応える。
転校は家庭の事情で、今は家族と二人暮らし、家は学校と目と鼻の先の距離と、クラスメートは彼女についていろいろと聞き出した。
なかでもクラス委員をしているいのとは気があったらしく、放課後、校内を案内した彼女をサクラは自宅へと招待した。「本当に、いいの!?」
「散らかってるけど、それでもよければ」
「わーーい!!」
サクラ達の会話に無理矢理入り込んだナルトは、大袈裟に万歳三唱をする。
クラスのトラブルメーカーである彼はすっかりサクラを気に入り、今日は一日彼女にくっついて歩いていた。
一緒にいるのに、まさか彼だけ追い返すわけにもいかない。
「どうぞ、どうぞ」
「お邪魔しますーー」
鍵を開けて中に入ったサクラだったが、何故かリビングからは灯りが漏れている。
不審に思いながら扉を開けると、そこにはサクラの同居人であるカカシがソファーに座ってくつろいでいた。
「あれ、先に帰ってたんだ」
「うーん。大事なサクラが初日からいじめられてないか心配でねぇ、早退」
「自分がさぼりたかっただけじゃないのー」
にこにこと笑いかけるカカシに、サクラは半ば呆れながら言う。
驚いたのは、サクラの後ろから部屋に入ってきたナルトといのだ。「カカシ先生!!何でここに」
「やぁ」
笑顔でナルト達に手を振っているのは、どうみても、彼らの通う学校で校医をしているはたけカカシだ。
「もう友達出来たのかー、サクラと仲良くしてやってね」
「そういえば・・・はたけって名字がサクラちゃんと一緒」
ナルトの呟きに、いのも頷いて同意を示す。
それならば、導き出せる結論は一つに決まっていた。
「あのね、この人は私の・・・」
「お兄さんなんだね!!!」
「似てない兄妹ねぇ」
カカシを紹介しようとするサクラの言葉を、ナルトといのは勝手に完結させる。
思いも寄らぬことを言われたサクラは、驚きに目を丸くしていた。「え、あの」
「先生、今度から“お兄さん”って呼んでもいいかな!」
身を乗り出したナルトは、右手を差し出してカカシに握手を促す。
「ハハハ、別に構わないぞ」
ナルトと掌を合わせながら、カカシは何か言いたげなサクラに目で合図していた。
口出しするなというサインだ。
不満で一杯の気持ちのサクラだったが、厳しい顔をしている彼に逆らうわけにはいかなかった。
「先生、何で!」
満足そうな顔で最初の訪問を終えたナルト達を見送ると、サクラは大きな声でカカシに詰め寄る。
「ちゃんと二人に、カカシ先生が私の旦那様だって言いたかったのに」
「あー、何だかね、職員会議で決まっちゃったんだよ。俺達の関係は生徒達に内緒って」
「何よ、それ!!私達、夫婦でしょ、入籍だってすませたのに」
「サクラがまだ未成年で、しかも同じ学校にいるってのが問題みたい」
カカシはサクラをなだめるようにして、体を抱き寄せた。「俺としては、秘密があった方がドキドキしていいと思うけどねぇ」
「もー」
ふくれながらも、サクラは顔を寄せてきたカカシと唇を合わせる。
随分と濃厚なキスをすると思ったサクラだが、案の定、カカシは彼女の服のファスナーを下げ始めていた。
「えへへー、お風呂沸かしておいたからさ、一緒に入ろうv」
両手を上げたサクラは上着を脱がされ、体を抱え上げられる。
向かうのはもちろんバスルームだ。
こうなっては否の返事をしたところで、サクラにカカシを止められない。
「・・・先生、何だか甘えてない?」
「新婚さんだからね〜」
あとがき??
サクラは16歳の誕生日に結婚致しました。それで、先生の家に引っ越してきた。
二人の出会いはサクラが小学生のときで、カカシ先生がそこの校医をしていたんですね。
・・・・保健室で何があったかは、ご想像にお任せします。長い話のプロローグの気もするし、このまま終わってもいい気もするし。いつも通りいい加減です。
ケイ太さんのサイトでパラレルカカサク達を読んで、書きたくなっただけなので。
何も知らないナルトが哀れな気がする・・・・。サスケなんて、登場すらしてないっての。
ちなみに、元ネタは『赤い屋根のポプラ荘』ですが、片鱗も残っておりません。誰が知ってるんだろう、この漫画。
元ネタ漫画の通りだと、サクラはじきにおっきいお腹で学校に通ったりするんだろうか。
正式に結婚しているんだから構わないんだけれど、世間の目が怖い気が・・・。
そんなことより、校内でいちゃつく校医(白衣と眼鏡のカカシ先生!!)と生徒(セーラー服のサクラ!!)が見たいと思ったカカサク好きーでした。
周りは二人を仲の良い兄妹だと思っているわけだし・・・・・。(も、萌―――!!!!)
頭冷やして出直してきます。