続・あなたの知らない世界・・・


「生き返るなぁ〜」
サクラの手料理を食べたカカシは至福の表情で天井を見上げる。
そうしていないと目から涙が零れそうだ。
「大袈裟なんだってば」
「そんなことないよ。家に帰ったら待っている人がいて、ご飯も出来ている。これ以上幸せなことはないよ」
「そう?」
一人暮らしの経験などないサクラは、よく分からずに首を傾げた。

“心の癒し”としてカカシの家に連れてこられて一週間が経過している。
ペット+メイドの役割を果たし、この家にいるだけで良いのだと火影に言われた。
そして、十日間という期間限定だからこそサクラも承知したのだ。

 

「先生、古紙の回収は金曜日だからね。私がいなくてもちゃんと捨てるのよ」
「はーい」
明日、回収場所へと持っていく雑誌の束を見ながら言うと、カカシは実に良い返事をした。
だからこそ不安になる。
本当にちゃんと聞いているのだろうか。
「・・・先生、私、あと三日で実家に帰るんだからね。これからは自分で掃除するのよ」
「うん、うん、分かってる」

サクラの用意したデザートのヨーグルトを食べながら、カカシはカタログをテーブルに広げてみせた。
「サクラの好みで家具を買い換えようと思うんだけどさ、この椅子とかどうかなぁー」
「・・・・・三日で帰るんだってば」
額に手を置いたサクラは深々とため息をつく。
今のところ入浴と就寝時のベッドは別々だが、何か間違いがあったらと気が気ではなかった。
そうこうしているうちに風呂のお湯が沸いたことを告げる音声が鳴り、サクラは椅子から立ち上がる。

 

「先生、昨日みたいにお風呂覗いたら、今度こそ出ていくからね!」
「もうしないってー、ほら、反省文も書いたし」
カカシは激怒したサクラによって書かされたノート一冊分の反省文を見せながら言う。
疑り深い眼差しのサクラだったが、カカシを一睨みしたあとは大人しく脱衣場へと向かった。
「うーん、天井の隠しカメラに気付かれたらまたどやされそうだなぁ・・・」
ぶつぶつと呟きながら万が一の対処法を考えていたカカシは、壁際に設置した電話を見るなりポンッと手を叩く。
「そうだ、連絡しておかなきゃ」

長い間リクエストしていたサクラを届けてもらった礼はした。
今回はその延長のための電話だ。

 

 

 

 

「火影様」
「んー?」
「カカシさんがサクラのレンタルあと半年延長したいって言っているんですけどー」
電話を受けた秘書は、身を乗り出して綱手のいる机の方へと顔を向ける。
書類の山に囲まれた綱手は、暫しの間思案してから、秘書に返事をした。
「・・・料金3割増で言っておきな。きっとそれでも払うだろうから」
「分かりました」
受話器を持つ秘書は、料金表を眺め、いくらか上乗せした料金をカカシに伝えている。
レンタルくの一、金額は馬鹿高いが利用者は後を絶たない。
とくに、サクラは予約者が殺到し人気が高いのだ。

「これであいつもさぼらず必死に働くだろう。レンタル料が払えなければ、サクラは他に行っちゃうからね」
「・・・・でも、こんな商売していていいんでしょうか」
「仕事の活性化のためさ。金の周りも良くなるし、売り上げは里の復興に役立っているんだから万々歳だ」
話しながら、綱手はにっこりと笑う。
「くの一を傷物にしたら私の拳をお見舞いするって契約書に書いてあるからね。滅多なことはないだろう」
「・・・・・」

火影である綱手の怪力を知らないものはこの里にはいない。
こうして、綱手とカカシの勝手な取り決めにより、サクラの気苦労は延々と続くことになるのだった。


あとがき??
サクラ・・・レンタル出来るのなら頑張って働いちゃいますね。きっと。
この辺の仕組みはプランツドールと一緒か。
サクラの貞操は風前の灯火なんですが、何かあっても先生は「責任取るから大丈夫v」ですませると思います。


暗い部屋に戻る