アンジェリーク


珍しくカカシが時間通りに現れ、ナルトが遅刻をした日のことだった。
集合場所にやってきたナルトの片足に、何かが張り付いている。
見かけは5、6歳の少女だが、その背中に白い羽がついていた。
その頭上に輪っかがあれば、古い絵画で見かける“天使”そのままだ。

「それ、作り物!?」
驚いたカカシがしゃがみ込むと、天使の少女はすぐにナルトの後ろに隠れた。
桃色の髪に緑の瞳、怯えたように自分を見つめるその姿に胸がキュンとなる。
「・・・ねぇ、この子誰かに似てない?」
首を傾げるサクラは、彼女が自分に瓜二つだということに気付いていないらしい。

 

「ナルト、これ、俺にくれ!!」
「やーー!!」
「え、ちょ、ちょっと先生、やめてよ!」
カカシが無理矢理天使の少女の腕を掴むと、彼女は抵抗して泣き喚き、ナルトも非難の声をあげた。
「売ってるところ教えてあげるからさ。自分の買ってよね!」
奪い返した少女を腕に抱くと、ナルトは口をとがらせながらカカシを見上げる。
「一週間かけてここまで育てたんだから。大変だったんだよ。今日は駄目だっていうのに、ここまでくっついてきちゃって」
「え、これ売り物なの!!?」
「そうだよ。『アンジェリーク・サクラ』、うまく育てると一ヶ月くらいで赤ちゃんから成人になるの。成長を止めたければ、栄養の飴玉をあげなければいいし。あ、この店で売ってるんだけど・・・」
「分かった!!有難うーー」

ナルトの説明はまだ半分だったが、店の名前が書かれたメモを受け取ると、カカシは一目散に駆け出していった。
今日の任務のことは、すっかり頭から消えているようだ。
「ねぇねぇ、この子、どんなもの食べるの?」
「蜂蜜とか、ガス入りの水とか。甘いお菓子もわりと好きかな。言葉も単語くらいなら喋るようになるし、慣れると本当に可愛いんだよー」
天使の少女の頭を撫でると、サクラはナルトとの会話に花を咲かせる。
羽をぱたぱたと動かす天使の少女を見つめ、サスケは大いに悩んでいた。
ナルトから店の住所を聞き出すべきか、どうか。

 

 

「お前だったのか・・・・」
『アンジェリーク・サクラ』の売り屋へと直行したカカシは、彼を見るなり思わず納得して頷いた。
店といっても看板を出しているわけではなく、そこは普通の住宅地だ。
「ナルトくんから聞いたんですか?」
いずれ来ると思っていたのか、ハヤテは突然の訪問にも驚くことなく、カカシを家の中に招き入れる。
人工的に天使を作る実験に成功した彼は、人づてに尋ねてくる者のみにそれを販売していた。
顔をサクラに似せたのは、彼の個人的な趣味だ。

「あの、天使を悪用する人にはお譲りしたくないんですけど・・・・」
「俺がそんなことをすると思っているのか」
カカシの瞳をまじまじと見つめたハヤテは、彼のサクラに対する溺愛ぶりを思い出す。
「・・・大丈夫ですね」

 

 

 

度重なるセクハラに悩んでいたサクラは、近頃真面目に仕事に励むようになったカカシに、すっかり満足していた。
休みの日に家に呼ばれたときも、サクラは軽い気持ちでOKの返事をする。
大方、彼女でも出来て、自分にかまう暇がなくなったのだろうと簡単に考えていた。

 

「・・・・何だか、落ち着かなくない?」
「そう?」
お茶を飲むサクラは、傍らに座っている天使へと視線を移す。
にっこりと笑う彼女は確かに可愛い。
だが、同じ顔がうじゃうじゃといくつも並んでいると、どうも頭が混乱してくる。
カカシの部屋には幼児から10代後半まで、幅広い年齢層の天使が揃っていた。
「先生、この天使ちゃん、何人いるの?」
「10人。毎晩、一人ずつ代わり番こで可愛がってるんだv」
「・・・・・へぇ」

深く追求することを止めたサクラは、無表情のまま茶をすすった。
自分への被害が少なくなった理由が何となく分かった気がする。
彼の性格が公正したわけではなく、むしろ、悪化していた。

「じゃ、私はそろそろ・・・・」
「まだ来たばっかりじゃないの」
身の危険を感じたサクラはソファーから腰を浮かせたが、逆に腕を強く引かれて倒れ込んだ。
「ギャーー!!は、離してよーー!!!」
「そうそう、やっぱりこれなんだよね」
手足をばたつかせるサクラの体を押さえ込むと、カカシはさも嬉しそうに微笑む。
「じっくり可愛がって育てたから、天使ちゃん達は何をしても黙って受け入れちゃうんだよ。楽だけどちょっと張り合いがないっていうか・・・」
「馬鹿なこと言ってないで、どいてよ!!嫌ーー!」

 

半裸にされたサクラのピンチを横目に、天使達はお菓子を食べたり本を読んだりと、思い思いの行動をしている。
カカシに絶対服従というのは本当のようだ。
または、すでに見慣れた光景に、反応する必要はないと思っているのかもしれない。


あとがき??
天使なサクラを沢山育てる可愛いカカシ先生を書きたかっただけなのに、何故こんなにエロく・・・・。
ちなみに、サクラはこれが初めてではなく何度かセクハラされているようですよ。(フォロー(なってない))
ああ、私も一匹欲しいよぅ。天使ナルトもセットで!!
アンジェリーク・サクラは、観用少女っぽいですね。


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