サクラ先生とカカシくん 2


(注)カカシ12歳、サクラ17歳のパラレルです。
立場も逆転して、サクラが先生でカカシが生徒。でも、恋人設定。
他のキャラはみんないつも通りです。

 

 

「サクラ先生」
任務の報告書を提出した帰り、廊下で呼び止められたサクラは後ろを振り返る。
駆け寄った中忍のイルカに、サクラはにっこりと笑いかけた。
「こんにちは」
「あ、ど、どうも、こんにちは」
密かに彼女に想いを寄せるイルカは頬を染めたが、鈍いサクラには伝わっていないようだ。
「どうしました?」
「いえ、もうお昼ですし、一緒にご飯でも・・・」
「一楽ですか?」
イルカが場所を言う前に、くすくすと笑うサクラは店を当ててみせた。
イルカの好物なのか、それともナルトの意思なのか、二人はよく一楽に寄っている。
ナルトの担任として、彼を可愛がってくれているイルカをサクラは好ましく思っていた。

「ナルトがお世話になっています。ナルト、いつもイルカ先生の話をしていますよ」
「いえ、それはこっちの台詞ですよ。ナルト、迷惑かけてないですか?」
新旧のナルトの担任は、にこにこ笑顔で言葉を交わす。
これならば、十分食事に誘いやすい雰囲気だ。
肯定の返事をしようとしたとき、廊下の隅から飛び出してきた子供に体当たりをされ、サクラは壁にぶつかりそうになる。

 

 

「び、びっくりしたー、何?」
「サクラ、待っていたんだよ!早く帰ろう!!」
二人の様子をずっと見ていたらしく、カカシはふてくされた顔でサクラを見上げた。
もちろんカカシは大事だが、サクラはイルカの目を気にして彼の体を引き離す。
それがまた、カカシの機嫌を悪化させたようだ。
「ごめんね、カカシくん。今日はイルカ先生と食事をしていくから・・・・」
「別に、カカシが一緒でもいいですよ」
人の良いイルカは、多少がっかりしながらも、カカシにも笑顔を向けた。
だが、自分の恋人であるサクラに近づく彼に、カカシは敵対心を露わにした表情でその顔を見据えている。

「イルカ先生、サクラはもう俺のものだから、駄目ですよ」
「えっ」
「ちょ、ちょっとカカシくん、何言って・・・」
「昨日の夜は楽しかったよね。サクラってば、ベッドの中だと急に甘えてくるから、俺もつい」
なおも続きそうなカカシの言葉を、サクラは彼の口を塞いで止める。
好き合っているとはいえ教師と生徒、カカシが成人するまで二人の関係は周囲には秘密なのだ。
目を丸くするイルカに、サクラはカカシの口に手を当てたまま引きつった笑顔を浮かべてみせた。

「な、何だかちょっと頭が混乱しているみたいです。彼を家まで送っていくので、失礼します!」
「え、ああ」
「また今度、食事に行きましょう!!」
言うが早いか、カカシの腕を引っ張って一目散に駆け出したサクラを、イルカは呆然と見送った。
子供の嘘。
そう思うにはサクラの慌てぶりが非常にリアルで、どうにも首を傾げてしまうイルカだった。

 

 

 

「バカバカ!!何でイルカ先生の前であんなこと言うのよ!」
「事実じゃん。昨日のサクラ、凄く可愛かったよv今日もサクラの家に泊まっていいんでしょう」
「・・・・」
悪びれもせず言うカカシに、額に手を置いたサクラは深々とため息を付く。
自分の生徒に手を出したのが間違いだった。
いや、手を出されたという方が正しいのか。
出会ったその日から口説かれ続け、毎日一人暮らし中の家に押しかけられ、気付けば強引に押し倒されて今にいたっている。
もてるわりに鈍感で、異性と付き合うきっかけを逃していたサクラにとって、初めての恋人だ。
全てが初心者のサクラに対し、カカシは妙に慣れているように思えたが、まだ12の子供なのだから気のせいだと自分に言い聞かせていた。

「ね、手を繋いで、いい?」
往来の人々の目を気にしたのか、伏し目がちに訊ねるカカシに、サクラはドキリとする。
普段は横柄な態度でも、たまに自分を気遣う素振りを見せると、やっぱり可愛いと思ってしまうのだ。
「それぐらいなら、平気よ。たぶん」
「んっ」
掌を差し出すと、カカシは嬉しそうに捕まってくる。
サクラは小柄な方だが、それでもまだカカシの方が若干背が小さい。
12歳と17歳。
道行く人を眺めながら、彼らの目に自分達はどう映っているのかと、サクラはぼんやり考える。
姉と弟、にしては似ていない。
恋人同士に見てもらえるのは、いつになるだろうか。

 

 

「サクラ」
俯いて歩いていたサクラは、その声に我に返った。
傍らに顔を向けると、カカシが不安げな表情でサクラを見つめている。
「イルカ先生のこと、考えていたの?」
「え」
「イルカ先生と、食事に行った方が良かった?やっぱり、子供の俺なんかじゃ・・・・」

言い淀み、口をつぐんだカカシにサクラは驚いて声が出ない。
イルカの存在など、今の今まで忘れきっていた。
サクラの頭を占めているのは、いつでもカカシのことだ。
自分以上に二人の年齢差を考えているらしいカカシに、サクラは胸が一杯になってしまった。

 

「好きよ」
サクラの口から出た言葉に、カカシはゆっくり顔を上げる。
「カカシくんのことが大好き」
どうやっても年齢は縮められないのだ。
だから、こうして言葉で互いの気持ちを確かめ合う。
サクラには、それしか解決法を考えられなかった。
その想いが伝わったのか、笑顔を見せたカカシに、サクラも顔を綻ばせる。

「俺もサクラが一番好きだよ」
「うん」
好きという一言だけで、こんなにも幸せな気持ちになれる。
お互いに、出会うまで知らなかったことだ。

 

「離さないでね」


あとがき??
拍手のおまけ用に書いたサクラ先生とカカシくんの続編です。
拍手にて「続きが見たい」とのコメントを下さった方、有難うございました。
本当はこれもおまけSS用だったのですが、ちょいとヤバイ内容だったので移動。

しかし・・・・普段もヘタレなのに、年齢をさげたらカカシ先生がもっと可愛い感じになってしまいました。
強引にサクラを手に入れるあたりは普段と一緒ですが。
逆年齢差が駄目という方にはすみません。
私はこの二人がベタベタしてくれれば、それで良いようです。
再来年には二人のベビーが誕生し、幸せの絶頂になる予定。・・・・中学生日記のような展開だ。
最後の台詞は二人の気持ち。


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