[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
Island 2
「ねえ、カカシ先生、知らない?」
海で魚を捕って小屋に戻ってきたナルトに、サクラはきょろきょろと周囲を見回して訊ねる。
彼は朝から姿が見えず、ナルトと一緒に海に潜りに行ったのかと思っていたのだ。
「サクラちゃんが知らないのに、俺が知ってるわけないじゃんー」
「そう・・・・」
肩を落としたサクラは、さも不満げに口を尖らせた。
「大事なリボンも無くなっちゃうし、先生はいないし、嫌な感じ」
「お腹がすけば帰ってくるって。ご飯、作っちゃおう。リボンはあとで俺も一緒に捜してあげるから」
「うん」燃えそうな木を集め、ナルトが火を付ける間にサクラは魚をさばいて鍋の用意をする。
生活に必要な物は前の住人がそろえたらしく、サクラ達は何の違和感もなくそれを使っていた。
食事の時間になれば、誰か手のあいている者が用意し、完成する頃に自然と皆が集まる。
こうした平和な生活が、永遠に続くとサクラは信じていたのだ。
「そういえば、カカシ先生ってナルト達と同じ“男の子”なんですってね」
「えっ?」
「私は“女の子”なんでしょう。“男の子”ってみんなナルトやサスケくんみたいに大きくならないと思っていたから驚いたのよ。同じ人間でもいろんな種類があるのかしら」
話しながら後ろを見たサクラは、珍しく真顔になったナルトに、眉をひそめた。
「・・・・ナルト?」
沈黙が続き、貝を煮た鍋が彼らの横で沸騰している。
蓋を取ろうと手を伸ばしたサクラは、手首を掴まれて顔を上げた。「サクラちゃん」
「何よ」
「俺達、ずっと一緒だよね」
「はあ?」
甲高い声で聞き返したものの、ナルトの眼差しは悲しげで、サクラは思わず息を呑む。
ナルトも、サスケも、赤ん坊の頃からそばにいる大事な人だ。
何がナルトにそのような表情をさせるのかは不明だが、彼のそんな顔は見たくなかった。
「何わけの分からないこと言ってるのよ、馬鹿ね。私もナルトもサスケくんも、ずっとずっと一緒よ。当たり前じゃない」
「・・・・うん」頷いたもののナルトの表情は晴れることなく、サクラは何故だか無性に不安になった。
見上げると、空はいつの間にか灰色の雲に覆われている。
心に湧き出したもやもやとした感情を暗示しているようで、天気を恨めしく思えてしまうサクラだった。
同じ頃、自分なりに島を回って作った地図を眺めるカカシは、森の中を散策していた。
サクラの行動範囲は寝泊まりをしている小屋の周辺のみで、島の奥には行ったことがないらしい。
木の生い茂る先に足を踏み入れたことは一度あったが、迷子になったサクラはそこで一夜を過ごすという非常に怖い体験をしたため、近づかないようにしている。
だが、舟の材料となるものを捜すカカシは、どうしてもその場所に入る必要があった。
護身用のナイフを携帯し、目印となる布きれを枝に結びつけて歩いているのだから、よほどのことがない限り小屋まで戻れるはずだ。
それらしい木に目星を付けながら、鳥の鳴き声に耳をすまし、小動物に目やったカカシは、ふと、焦げ臭い匂いを感じて振り返る。
白い靄のようなものは、間違いなく、誰かが何かを燃やしている証だ。
サクラとナルトとサスケ、その三人しか島にはいないと聞いていたが、彼らの知らない別の人間が住んでいたのだろうか。音を立てずに慎重に近づくと、黒髪の少年がカカシのいる方角を背にして立っているのが見え、思わずホッと息を付いた。
とりあえず、未開の地に住む荒っぽい人種に襲われるといったことはない。
何をしているのかと注視すると、サスケは赤い布きれに火を付けて燃えるのを静かに眺めていた。
赤い布・・・・、いや違う、それはカカシの見覚えがのある物だ。
初めて会ったときにサクラに渡し、桃色の彼女の髪に巻かれているはずの赤いリボン。
「あっ・・・・」
とっさにと声をあげると、当然それはサスケの耳にも届いたらしく、彼はゆっくりとした動作で振り向いた。
さして驚いた風もなく自分を見据えるサスケに、カカシは声を失う。
燃えて炭となったリボンの残骸、そして、微かな笑みを浮かべたサスケ。
ナルトとサクラのような無邪気な笑いとはほど遠い、子供らしからぬ、頬を引きつらせた暗い笑みだった。「早くここから出ていけ」
「・・・・えっと」
「この島にいるのは、今までも、これからも、俺達3人だけでいいんだ」
戸惑うカカシは、返答に窮して黙り込む。
好かれているとは思っていなかったが、徹底的に嫌われていたらしい。
困ったように頭をかいたカカシは、その理由を訊ねようと口を開きかけて、そのままの姿勢で固まった。
「さもないと、お前を殺す」
大都会で小学校教諭として働くカカシが面と向かって「殺す」などと言われたことは今まで一度もない。
しかも、相手は子供だ。
「全然優しくないんですけど・・・・・」
思わず呟いてしまったのは、サクラのサスケに対する評価が自分と真逆だったからだ。
彼の瞳は怖いほど真剣だった。
「サクラを連れて行くなんて言ったら、本当に殺されるかなぁ」
自分の言葉に身震いしたカカシは、自らの考えを振り払うように首を横に動かす。
リボンの燃えかすを踏みつけたサスケは、カカシの存在など忘れたかのように足早に姿を消した。
そして、カカシは舟の材料探しを再開したわけだが、どうにもサスケのことが頭から離れない。「あれっ?」
悶々と考え込むカカシは、足下にある石に何か文字のようなものを見つけ、その場にしゃがみ込んだ。
土を払って確認すると確かに人工的に彫られたものに違いない。
「・・・・・読めないな」
所々欠けてしまったため判別出来ないが、アルファベットらしいというのは分かる。
唯一判別出来たのは矢印のマークと、その方角に何かがあるということだ。
「そういえば、サクラ達の前に住んでいた人がここにいたんだよな」
サクラ達とは喋る言語が同じで、さらに文字が重なるということは、元々彼らの親はカカシと同様の国からやってきたのだ。
しかし、文明のある国からこの島に移住するのは、かなり不便に思える。
自分と同じように船の遭難でここに定住するようになったのか、それても何か理由があって島を訪れたのか・・・・・・。
「・・・・雨」
空を見上げたカカシは、掌をかざして思考を中断させる。
ぽつりぽつりと頬に雨粒が当たったかと思うと、それはみるみるうちに本降りになり、カカシは慌てて避難する場所を求めて駆け出した。
あとがき??
終わらなかった・・・・。
もはやカカサクだか、サスサクだか、ナルサクだか、よく分からない。
常夏の楽園ならば開放的な気分でところかまわずイチャイチャできると思ったのに何だかシリアスな方向へ。
ちなみに元ネタのつもりだった『オラトリオ・スケープ』はファンタジーなのでこんなサバイバルな話じゃないですよ。
犬や猫といった動物から進化した亜人達が住む世界で、ヒト族の少女螺旋が自分と同じ人間が暮らすという都、神聖神殿に憧れるところから始まるストーリー。
元ネタから大幅に脱線した話になっております。と、以上までは何ヶ月か前に書いた文章なんですが、当時何でこんな話を書こうと思ったのか全く分からないですね。
結末も。なんでしょう、これはファンタジー?SF??
・・・・・・・・・・これから考えたいと思います。