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心の鏡


朝の日差しの中、ベッドの中でまどろむ。
一番の、心地いい時間。

 

目は開けているものの、サクラの頭はまだ霞が掛かっている。
横になったままぼんやりと天井を見ていると、傍らの人物の目覚めた気配を感じた。
半身を起こして、彼の顔を見下ろす。

「おはよー」
「・・・ん」

僅かに目を細めていた彼は、サクラの姿を認めると、ゆっくりと微笑んだ。
サクラも、つられたように頬を緩ませる。
目を開いているときと、瞑っているときでは、彼の雰囲気がまるで違う。
印象深い瞳のせいだろうか。

「私ね、あんたの眼が好きだわ」

サクラは彼の瞼に口づけながら言う。
青空の色。
間近で見ていると、引き込まれそうになるほどの、澄んだ青。
彼の心根を、そのまま映したような。

「・・・眼、だけ?」
不満げな声。
サクラは意地悪な笑みを浮かべて彼を見る。
「どうかな」
呟きがもれるのと、ほぼ同時に組み敷かれた。
強気な行為とは反対に、彼の瞳には悲しげな光がある。

くすりと笑うと、サクラは上方にある彼の頬を軽く叩いた。
「相変わらず、すぐ顔にでるわね。そんなんで、ちゃんと上忍になれるの?」
触れた手で促して顔を近づけ、その唇についばむようなキスをする。
彼はまだ何か言いたげな表情をしていたが、サクラとのキスが深くなると、やがてその行為に没頭し始めた。

 

 

「サクラちゃん、忘れもの」

放り投げられた額当てを、うまくキャッチする。
玄関で靴の紐を結んでいたサクラは、立ち上がって髪を手櫛でときながら額当てをつけた。
「次、いつ来れる?」
「うーん。・・・三日後、かな」
サクラは頭の中で今後の任務スケジュールを思い描く。
「浮気しないで待っててね」
意味ありげに笑うサクラに、ナルトも笑顔で応える。
「こっちの台詞だよ」

 

「違うわよー。私の台詞なのよ」

ナルトの家をあとにして、サクラは一人呟きながら街を歩く。
ナルトは知らない。
若いくのいちの間で、自分が話題になっていることを。
忍者としての実力をつけてきたこともあるが、騒がれている理由はそれだけではないだろう。

「あーんないい男になるなんて、思わなかったわ」

黙っていれば、文句なしの顔立ち。
サクラより小さかった身長は、いつからか伸び、はたから見ると、金色の髪の精悍な顔つきの青年。
加えて、底抜けにお人よしな性格。
口を開けば、子供っぽさの目立つ言動があるが、顔がよければ、それはそれで可愛らしいという評価になる。

すっかり成長したナルトの姿に、サクラは頼もしく感じると同時に、寂しくもなった。
ナルトが、どこか遠くの存在に思えて。
だけれど、自分を視界に入れたとたん嬉しそうに顔を綻ばせて駆け寄ってくるナルトを見ると、サクラは心の底からホッとできるのだ。
ナルトがサクラに向ける笑顔は、下忍の時分とちっとも変わらない。

意地っ張りなサクラには、素直な気持ちはなかなか口にできないけれど。

 

 

三日後、サクラは約束どおりナルトの家を訪れる。

いつになく緊張した面持ちのナルトに、サクラは当初気付かなかった。
ただ、いつもより口数が少ないとは思っていた。
夕食の時間になって、あまり食の進まない様子のナルトに、サクラは初めて問い掛ける。

「何、ナルト。どっか具合でも悪いの?」
「・・・・そうじゃないよ」
神妙な顔つきで答える。
箸を机に置いたナルトは、おもむろにサクラに向き直った。

「サクラちゃんさ、待っててくれないかな」
「え?」
首を傾げたサクラは、訝しげにナルトを見る。
「どういう意味?」
「だからさ、俺が帰ってくるまで、この家で待ってて欲しいんだ。これから、ずっと」
「・・・・」

ナルトなりのプロポーズの言葉。

あまりに遠まわしな表現に、サクラはしばらくそれと気付けなかった。
ナルトは静かにサクラの答えを待っている。
サクラは少しも考えることなく、返事をかえした。

「私ね、あんたが好きよ」
「眼じゃなくて?」
すかさず訊いてくるナルトに、サクラは苦笑いする。
どうやら先日の会話を根に持っているらしい。

サクラがナルトの身体の中で、瞳がお気に入りなのは、本当だ。
その純粋で、ひたむきな瞳で見詰められるたびに、どきどきする。
綺麗な、綺麗な青。
でも、自分好みだと思える、本当の理由は。

 

「あんたの優しい眼だから、好きなのよ」

サクラは可笑しそうに笑って言った。


あとがき??
タイトルは、『目は心の鏡』(=目はその人の心のありさまをそのままに映し出す鏡のようなもの)という言葉から。
ナルトのどこが好きって、カラー絵で一番目を引く綺麗なおめめ。(笑)
そのまんま、話にしちゃったよ。
何だか、最近カカサク&ナルサクサイトと銘打っちゃおうかと思うくらい、ナルサク(ナルト)好きーだわ。あら。

「『K』の事情」の反動で出来た話なんですけど、極端すぎだろう、私。(笑)
すんごく、めちゃめちゃ、とっても楽しかったです!!ハッピーvv
私、ナルサクで両思いでアダルティーな話って読んだことないんですけど、存在しているのでしょうかねぇ??
全然暗い話じゃないんですけど、あんまりパラレルなんでこの部屋に置きました。
誰だよ、あんた達。(笑)
初めて書いたナルサク両思いがこれか・・・。

えーと、ナルト達の年齢は二十歳前後です。
別の部署にいるみたいですね。
カカサク夫婦には女の子が生まれると決まってるのですが(my設定)、ナルサク夫婦だと男の子のような気がする。やんちゃっ子。
でも、いつまでたっても、サクラの名前のあとには「ちゃん」が付くのですよ~。
本当に幸せでした。有難う!
さー、頭をカカサクに切り替えるぞー!!


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