ゆうべの秘密 1
朝の6時、けたたましく鳴る目覚まし時計にサクラは手を伸ばした。
タイマーをリセットしようと試みるが、寝ぼけ眼ではなかなか上手くいかない。
「もー、うるさいーー」
うなるように言ったあと、時計の音はぴたりと止まり、部屋に静寂が戻ってくる。
ホッとした気持ちで寝返りを打ったサクラだったが、彼女は時計にまるで触れていなかった。「・・・あれ?」
「おはよーー」
明るい声音を耳にしたサクラは、一気に頭を覚醒させた。
「サクラちゃん、今日8時から任務って言ってたよね。ちょっと早すぎた?」
がばりと半身を起こしたサクラは、傍らで時計を見つめているナルトに目を丸くする。
「な、何であんたが私のベッドにいるのよ!」
「サクラちゃんが明け方まで放してくれなかったから。俺も朝から仕事入ってるし、家に帰ると寝る時間なかったんだもん」
時計をサイドテーブルに戻し、ナルトは脱ぎ捨ててあって上着を羽織る。
「サクラちゃんって意外と大胆なんだね。俺さ、実は初めてだったんだ」
頬を染めながら照れ笑いをするナルトを横目に、サクラの思考は完全に停止していた。
「え、何、ナルトとやっちゃったってこと!!?」
「そういう言い方やめてよね!」
事情を全て聞いたいのは好奇心に目をきらきらと輝かせている。
額を抑えたサクラは、深々とため息を付いた。
「体が変に痛いし、ナルトと飲み始めた頃からの記憶は飛んでるし、二日酔いで頭痛はするし、最悪。それにやったかどうか分からないわよ」
「でも、同じベッドで一緒に寝てたんでしょ」
「・・・・ちゃんとパジャマは着ていたもの」
「ナルトが勝手にクローゼット開けて選んだから、パジャマの柄が上下違っていたって話じゃない。サクラが起きたとき恥ずかしくないように着せてくれるなんて、良い奴ねぇ」
「・・・・」
「「大胆」なんて言われるってことは、サクラからせまったのよ。初心者のくせに、やるわねー」
「うるさい、うるさい、うるさいーー!!」
顔を赤くしたサクラはいのの言葉を遮るように声を張り上げる。
いのの花屋は丁度客足が途絶えていたが、その声は往来まで届く勢いだった。「ナルトには、絶対責任を取ってもらわないと!」
「今時いないわよー、操を捧げた相手と結婚するなんて言ってる人間は」
「私は昔から決めてたの!じゃあね!!」
息巻いて言うと、サクラは足を踏みならしながら店から出ていく。
数分後、サクラと入れ違いに店に入ってきたのは話の中心人物だったナルトだ。
きょろきょろと店内を見回したあと、ナルトはレジに立ついのに歩み寄る。
「サクラちゃんは?花屋に行ったって聞いたけど」
「あんたを探しに行くって出ていったわよ」
「そうなんだ。家にいた方が良かったかな。二日酔いの薬持ってきたのに」
困り顔で頭をかくナルトに、いのはにやりと笑ってみせる。
「聞いたわよー。あんた、昨日サクラと楽しい夜を過ごしたんだってね」
「え、ああ、うん。サクラちゃん、凄かったんだよ」
えへへっと笑うナルトは屈託がなく、言葉に含まれる裏要素にはまるで気づいていないようだ。「凄かったって、何が?」
「脱衣麻雀。サクラちゃんがどーしてもやりたいって言って始めたんだけどかなり泥酔状態で、負けのこんだサクラちゃんが下着姿になったところで倒れちゃったんだ。俺、麻雀なんて初めてだったから、勝ったか負けたかもよく分からなかったよ」
「・・・はぁ」
「サクラちゃんが風邪ひくと可哀相だからパジャマ着せておいたけど、勝手なことして悪かったかなぁ。部屋は片づけておいたのに、何だか怒っていたみたいだし」
「・・・サクラ、体が痛いって言ってたけど」
「ああ、そういえば、一人用のベッドなのに二人で寝てたから、サクラちゃんってば床に転がって寝てたな。途中から戻しておいたけど、怒った原因はそれか?」
腕組みをしながら考え込むナルトの肩を、いのはぽんっと叩く。
「ん?」
「あんた、昨夜のことはサクラに黙っていなさい。絶対」
あとがき??
有難う、いの!
ナルト達は十代後半。中忍として別々に行動し、サクラは一人暮らし中。
この話に限らず、うちの下忍は未成年でも酒飲んでますが、気にしないで下さい。(^_^;)。
中忍になると大人と認められるのです。(嘘)
麻雀も本当は四人でやるものです。酒が入っているからゲームになっていなかったと思いますが。
しかし、サクラの部屋、麻雀の道具なんて置いてあるのか・・・。ありがちネタですし、以前カカサクでも同じような話を書きましたが、続くので見逃してください。
ナルトが幸せならそれで良しという駄文です。
しかし、パラレルすぎて「暗い部屋」行きになりました。