君の色に染まっていく

 

 

クウヤの押しに負けたカカシが火影の執務室までやってくると、運がいいのか悪いのか、丁度サクラが扉を開けて出てくるところだった。
カカシの推薦で綱手に弟子入りして以来、頭脳明晰で気の利くサクラは彼女のお気に入りだ。
その日も午後からシズネと共に仕事の手伝いをしていたサクラは、カカシの姿を見つけると笑顔で近寄って来る。
「カカシ先生、待っていてくれたの?」
「ああ・・・うん。えーと」
「こんにちはーー。俺、カカシの古い友人で、クウヤ。よろしくね、サクラちゃん」
頬をかくカカシを押しのけたクウヤは、サクラの手を取って勝手に握手をしている。
驚いたようだったサクラも彼に調子を合わせ、にっこりと微笑んだ。
「こんにちは。カカシ先生にも友達なんていたのね」
無邪気な笑顔と共に発せられた言葉に、クウヤは相好を崩し、カカシは苦虫を噛みつぶしたような表情になった。

 

 

「クウヤさんって楽しい人ねーv」
カカシと肩を並べて歩くサクラは、弾んだ声音で言う。
初めて会ったというのに妙に馬が合ったらしく、間に立つカカシの居心地が悪くなったほどだ。
「煩いだけだよ・・・」
「でも、先生と随分うち解けてる感じだったわよ。今度一緒に食事に行く約束もしたし」
「あいつ明日から任務でまた里を離れるから当分無理だよ。菜の国だってさ」
「そう・・・」
気落ちした様子のサクラは「残念」と呟きを漏らし、往来に行き交う人々へと目を向けた。
両脇に様々な店が建ち並んでいるため、夕食の買い物をする主婦が多く、たまにカップルや子供達がすれ違う。
何を考えているのか、突然無言になったサクラにカカシは何故か不安になった。

「あの・・・・サクラの好みのタイプだったの?」
「えっ」
ぼんやりとしていたサクラは、カカシの顔を見上げて首を傾げる。
「何が?」
「クウヤだよ。何だか俺といるときより楽しそうだったし」
妙に歯切れが悪かったが、カカシの言いたいことに気づいたサクラは、困ったように笑った。
「カカシ先生の友達として、いい人だと思っただけよ。それに、私の大切な人はもう決まってるもの」

話す合間に、サクラに空いている片手を握られたカカシは、胸が痛いほど高鳴ったのを感じる。
心なしサクラの頬が赤いように見えるのは気のせいだろうか。
このまま、時が止まればいい。
誰かがそばにいてそう思えたのは、カカシにとって初めての体験だった。

 

 

あとがき??
書いているこっちが胸痛い。
やっぱりカカサクが一番好きです。

 

 

戻る