血途 0.5
ナルトの夢を見た。
何故だかよく分からないがナルトと風呂に入っている。
あり得ないことなのだから、サクラもそれを夢だと認識していた。
晴天の空の下の露天風呂。
途中までは温泉に浸かる気持ちの良い夢だったのだが、サクラが目覚めたのは鈍痛が原因だった。
「イタタッ!!痛い!」
ひどい頭痛と吐き気を伴う二日酔い、これはつい一昨日の朝に経験したのと同じだ。
がばっと半身を起こしたサクラは、急いで傍らの膨らみを叩く。
「ナ、ナルト、洗面器、洗面器持ってきて!」
寝ぼけ眼のサクラは隣りで寝ているはずの人物に呼び掛けた。
だが、あるはずの返事がなく、部屋にはいつまでも沈黙だけが広がっている。
「あれ・・・・、ナルト?」
夢に出てきたせいか、傍らにある体温の主をナルトだと思い込んでいたサクラは、その顔を見るなり心臓が口から飛び出しそうになった。「さ、さ、サスケく・・・」
「おはよう」
気が動転するサクラに、彼はいかにも不機嫌な挨拶をしてくれる。
ようやく頭が正常に働きだしたサクラは、頭痛を堪えて自分の体を見た。
何も身につけていない。
ぼんやりとだが昨夜のことを思い出し、痛いのは頭より体の方だと気付いたサクラはそのまま転がるようにベッドから滑り落ちた。
「ご、ごめんなさい!!!」
「え・・・・」
突然床に額をつけて土下座をしたサクラに、サスケは唖然とする。
「あの、もうここに来ないから許して!じゃあ、元気でね!!」
「おい、ちょっと」
「バイバイ!!!本当にごめんね!もうしないからね!」
最初から最後までひたすら謝り続けると、サクラはいそいそと服を着て外に飛び出していった。
動きがぎこちなかったのは、体調が優れないせいだろう。
だが、サクラの謝罪の意味は、彼女がいなくなった後いくら考えても全く分からなかった。
「あいつがいけないんだ。あの状況でナルトの名前なんか出すから。ずっとナルトナルト連呼していたし」
「ああー、分かる、分かる。大事にしていたのに、他の男に奪われたと思ったらむかつくよな」
「・・・・」
「でも、誤解だったんだろ?」
シカマルの言葉に、サスケは首を縦に動かす。
あの夜確かめてはっきりとしたが、サクラの体はまだ男を知らなかった。
ナルトと何もなかったというのは真実だったようだ。「で、何でサクラはお前に頭を下げて帰っていったんだ?」
「さぁ・・・・」
それはいまもって謎だった。
本来ならば、サクラの意識があやふやなうちに手を出したサスケが謝罪するべきことだ。
サクラがぱったりと姿を見せなくなったことが、また不安をあおった。「じゃあ、俺は帰るな」
事情を聞き終えるなり、シカマルは昼休み中のサスケのもとから去ろうとする。
「何しに来たんだ、お前」
「いや、いのが面白がって話を聞きたがるんだよ。サクラのことが分かったら、また報告に来るから」
「・・・・」
いのはアカデミーの頃からのサクラの親友で、何でも話す間柄だ。
普段は詮索されることが大嫌いなサスケだが、今回ばかりはシカマル&いののコンビが頼もしい存在に見えていた。
「え、サスケくんを強姦した!!?」
「そうなのよ。もう、朝起きてびっくり」
「・・・・へぇ」
サクラの仰天告白に、いのは花屋の店番を忘れてすっかり話に聞き入っている。
「何だかサスケくん機嫌が悪かったし、きっと酔っぱらった私が、嫌がる彼を無理矢理押し倒したのよ」
「・・・・普通は逆じゃないの?」
「そんなわけないでしょう!サスケくんは超が付くほど奥手で童貞っぽいところが魅力なんだから。それに、私みたいな貧弱な体を見てムラムラするはずないわ」
「はぁ・・・」
Aカップの胸を張って断言されては、さすがにいのも口を挟めない。「もう、最悪よ。酔っぱらって強姦魔になるなんて、私は犯罪者だわ。サスケくんだってもう、私のこと嫌いになったに決まってる」
「そうかもね」
ワッと泣き崩れるサクラの頭を、いのはポンポンと叩く。
傷心のサクラをよそに、使いに出したシカマルがどんな情報を持って帰るか、実に楽しみないのだった。
あとがき??
この何回か後に出来たのがサチくんです。
・・・・ギャグ!!?
うちのサスサクは、酒の力がないと進展しない。
濡れ場がなくて申し訳ない。私が書きたいのはそうしたことより、行為の前後なので。
焦るサクラとか、二人のショートコントな会話とか。
続き、書きたくなってきた。え、0.75?(^_^;)限りなく1に近い数字。
書いたとしたら、ナルトが超男前な話になってしまうよ。