転校生 2(サスケ編)
任務中の事故で、サスケとサクラの人格が入れ替わった。
治せるのは医療術の達人、綱手だけなのだが、彼女は今里を留守にしている。
よって、二人はそのままの姿で半日を過ごすこととなった。
期限は明日のAM9:00までだ。
入れ替わりの事実は、どのみち信じてもらえないという理由で、ナルトとカカシ以外には伏せてあった。
「・・・・気が重い」
とぼとぼと帰路に就くサスケは暗い面持ちで歩を進めている。
変化の術で他人になりすますことは今までもたびたびあった。
だが、半日もの間過ごしたことは一度もない。
しかも相手は女、そして年中テンションの高いサクラなのだ。
演じきれるかが問題だった。「サクラさーん」
「・・・ん?」
聞き覚えのある声に立ち止まると、道の向こうからリーが手を振りながら駆けてくるのが見える。
彼がサクラに想いを寄せていたことを思い出しながら、サスケは愛想笑いを浮かべた。
「こんにちは」
サスケが気合いと根性を入れた微笑みは上出来だったようで、リーは頬を赤らめて紙袋を差し出す。
「こんにちは!これ、この前サクラさんが食べたいって言っていた桃饅頭。どうぞ」
「・・・有難うございます」
自分が受け取っていいのだろうかと躊躇したが、今はサスケがサクラだ。
戸惑った表情で紙袋を見つめるサスケに、リーは笑顔で話しかける。「先週は楽しかったです。また、一緒にご飯を食べに行きましょうね」
「・・・・えっ」
「僕、これからガイ先生との体術の特訓があるので、失礼します」
「あ、ちょっと」
元々瞬発力に優れたリーはサスケの呼び掛けに応えることなく姿を消してしまう。
あとに残されたサスケは、呆然とその場に立ちつくしていた。
「一緒に食事?いつの間に・・・・」
悶々とした気持ちで歩くサスケはしっかりと桃饅頭の紙袋を抱えている。
考えごとをしているせいで、周りをよく見ていなかった。
「ああいうのがサクラの好みなのか」
呟いてから、サスケはその考えを頭から打ち消す。
好みのタイプはキムタクだと、サクラが力強く主張していたのを思い出した。
あの濃い顔のリーとキムタクでは、あまりに落差が激しい。「サクラさん」
肩を叩かれたサスケはハッとして振り返る。
そこに立っていたのは、相変わらず顔色の悪い特別上忍のハヤテだ。
「これ、あなたが食べたがっていたチーズケーキ」
「・・・・あの」
「遠慮はしないでくださいよ。私達の仲なんですから」
「・・・・」
「また映画、見に行きましょうね」ごほごほと不健康な咳を繰り返すと、ハヤテはにやりと笑って去っていた。
その笑顔は、やはりキムタクにはほど遠い。
「私達の仲って・・・・」
また謎が増えてしまった。
それからも、サスケは家に帰るまでに何度も呼び止められた。
相手は下忍中忍上忍と様々で、そのたびに、彼らはサクラに何らかのプレゼントをしていくのだ。
物は、食べ物が圧倒的に多い。
いろいろ言及したい気持ちだが、サスケがサクラに訊きたかったのは、一つのことだった。「・・・・本当にダイエットしているのか、あいつは」
あとがき??
おかしい。何でこんな話に。
サクラが意外と男子に人気で、サスケが焦る話(?)だったはずなのに。
これはこれで良しとしましょう。
ああ、うちの駄文ではハヤテさんは生きていますので。パラレル、パラレル。