ねらわれた学園 6


「カカシ先生。本当に春野君と付き合ってるんですか!」
生徒達の間で密かな人気のあったカカシだが、サクラとの噂が広まって以来何かと保健室は賑わっている。
今日も詰めかけた何人かの生徒に、カカシはにこにこ顔で相対していた。
「いやぁ。付き合ってるっていうか、片思いというか・・・」
「さっさと否定しろ!」
意味深な笑いではぐらかすカカシに、サスケはスリッパで頭をはたくというオーソドックスな突っ込みを入れる。
あまりの行動に暫し唖然とした生徒達からは、サスケに非難めいた視線が集中した。

「お前ら、用がないなら早く出ていけ!」
自分のことは棚に上げ、サスケはさっさとカカシの取り巻きを外へと追い出す。
その間、定位置の椅子に座ったカカシはただ面白そうに様子を傍観しているだけだ。

 

「何か、先生もてもてーって感じだなぁ〜」
あはは、と楽しげに笑うカカシにサスケは不快げに眉を寄せる。
「男にもてて嬉しいのか」
「俺、基本的に来る者は拒まずよ。そりゃ、可愛い女の子の方が好きだけどねぇ。とくにサクラとか」
したり顔のカカシに、サスケは額に手を当ててため息をついた。

「それよりさ、サクラの方は大丈夫なの」
真顔に戻ると、とたんにカカシは本題に入る。
「この間派手なパフォーマンスしてくれたみたいだけど」
「素人が相手なら後れを取るようなことはないだろう。一応、ナルトが張り付いてるけどな」
「・・・ふーん」
呟くと、カカシは傍らに立つサスケを上目使いに見る。
「いいなぁ。サクラのボディーガード役、俺じゃ駄目なの」
「お前がこれ以上生徒に騒がれてどうする!!ここでちゃんと仕事してろ!」
「・・・はい」
サスケに一喝され、カカシは渋々返事をする。
全く、どちらが上司か分からない状況だった。

 

 

クシュン、クシュン、クシュン。

「あれ、まだ風邪ひいてたの?」
クシャミを連発したサクラに、ナルトは心配そうに声をかける。
「ううん。微熱と咳がちょっと出る程度よ。肌寒いせいかしら」
首を傾げると、サクラは自分の腕をさするような動作をした。
二人のいる場所は、寮と教室を繋ぐ渡り廊下だ。
屋根はあるが壁はなく、どんよりと曇った天気は確かに風が吹くといささか涼しい感がある。
「何か、羽織る物持ってこようか」
「大丈夫よ。今日の授業は全部終わったし、もう寮に帰るだけだから」
言いながら、サクラは何やら鞄の中を探る。
「それに、これもあるしね」

サクラが取り出しのは、錠剤の入った小瓶だ。
「何それ」
「また風邪薬ツグミさんからもらったの。これ飲むと眠くなっちゃうから、部屋に戻ってから飲もうと思って」
「ふーん」
小瓶に顔を近づけじろじろと眺めるナルトに、サクラはもう片方の手で小さく手を振る。
「あんた部活あるんでしょ。ここまでで良いわよ。あと部屋に帰るだけだし」
「でも、一緒に・・・」

ナルトが言葉を紡ぐ前に、二人の会話を遮るように校内放送のチャイムがけたたましく響いた。
放送内容は、生徒を緊急に呼び出すもの。
名前はうちはサスケとうずまきナルトの二名だ。

「・・・・何だろう」
ナルトは怪訝な顔で放送を流すスピーカーを見上げる。
ナルトには呼び出しを受けるような失態をした覚えがなかった。
しかも、集まるように言われた先は、理事長室。
ただごととは思えない。

「じゃあね」
気の逸れたナルトを残し、サクラは寮に向かう道を駆け出す。
その足取りは軽やかなもので、風邪のなごりを感じさせない。
寮の部屋までは多少距離があるが、前回サクラが上級生を叩きのめした話はすでに皆が知るところで、彼女に危害を加えようという者も滅多にいないだろう。
サクラの後ろ姿を眺めていたナルトは、彼女が角を曲がり見えなくなるのと同時に、逆方向へ向かって歩き出した。

 

 

「不法入国?」
理事長室、部屋の中央に置かれた椅子に腰掛けながら、ナルトは素っ頓狂な声をあげる。
「ああ。そういう密告が理事のもとに送られたらしくてね。他の職員達も騒ぎ出したんだ。それで、君たちの身分証明書と入国許可書が必要になって」
「・・・・はぁ」
「とにかく、彼らを黙らせるために書類を用意して欲しいんだ」
困り顔で見詰めてくる理事長に、ナルトとサスケも訳が分からず首を傾ける。
もちろん、それらの書類は事前に偽造してあり、抜かりはない。
だが、問題は、何者がどういった意図でそうした密告をしたかだ。

「変な話―」
理事長室を出るなり、ナルトは頭の後ろで手を組みながらぼやいた。
「理由は何だ?それに、何故サクラは呼ばれなかったんだ」
「さあねぇ。でも、物は寮の部屋に置いてあるんだし、早く取りに行こうぜー」
深刻な顔つきで考えるサスケとは反対に、ナルトはどこまでもあっけらかんとしている。

 

のんきに構えていたナルトだが、寮の部屋に足を踏み入れるなり顔を引きつらせた。
「げっ!」
足の踏み場もないほど荒らされた部屋に、ナルトは口を尖らせて振り返る。
「お前、ちゃんと片付けておけよ。またサクラちゃんが怒るぞ」
「俺じゃない。それに、いつも怒られてるのはお前だ」

何とか物を避けながら部屋に入ると、サスケはナルトに訊ねる。
「当の本人はどうした」
「え、先に帰って寝てるって言ってたけど」
だが、衝立に隠れたサクラのベッドはもぬけの殻だ。
ベッドの周りはサクラらしくなく、やはり散らかっている。
「・・・・カカシ先生が連れだしたのかな」
「カカシには、保健室から出るなと言ってある」

どうにも事態を飲み込めていない二人に、開けっ放しになっていた扉の陰から一人の生徒が顔を覗かせる。

「あの、僕見てました・・・」
おずおずと声を出す彼を、サスケはじろりと睨め付ける。
「誰だお前」
「・・・同じクラスの雁金です」
すっかり萎縮している雁金に、ナルトは優しい口調で話しかけた。
「ねぇ、君。見たって何を?」
「春野君がメジロさんのグループの人達に連れて行かれるところ、です」


あとがき??
冗談で7と数字を書いたのに、本当に7まで続いてしまった。(びっくり)
次で終わりかな。でも当分、先。

終わりは決まってるとはいえ、どうやってそこに持っていくか。(悩)元ネタのパタリロを読んでる人にはもろバレ。
とはいえ、分かりやすい話展開だ。
書きたかったのはストーリーそのものよりも、シチュエーションだったので。(男子校でイチャパラ)
もともと、私の話なんて、サクラ以外のおなごが登場するのは稀だしね。
総合的に、サクラ総受け馬鹿話。身も蓋もない・・・。
最期の辺りはホモも入りそうな予感が。予感だけかも。
サクラは7班共有の財産なので、抜け駆けは禁止の模様。他の男が近づくのも厳禁。

それにしても、ナルト可愛いなぁ。好きだ。


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