1.モーニンググロウリー

 

例えば、朝が来る。

友人の墓参りをしていることもあるが、遅刻の原因はやはり寝坊だ。
7班としての任務以外も仕事が入るのだから、その辺は察して欲しい。
多忙な毎日の中で、睡眠を取らないと倒れてしまう。
7班が結成されたとき、丁度仕事の忙しさがピークのときだった。
何時間も集合場所に現れなければ、同じ班の仲間、中でも一番律儀な性格の彼女が迎えに来ることは当然の成り行きかもしれない。

 

 

「おはよう」

カーテンを開ける彼女の言葉に、瞬きを繰り返した。
窓のそばに立つ彼女の顔は逆光だったけれど、その表情は分かる。
最初は、ジャンケンに負けたか何かで、仕方なく彼女が起こしに来ているのだと思っていた。
だけれど、朝見るのはいつも同じ顔だ。

「俺さ、本当は目覚まし時計がなくても起きられるんだ」

目元を擦りながら言ってみる。
7班の担任になる前は、時間厳守な忍者だった。
これは本当。
顔を上げると、彼女は口元を押さえてくすくす笑いをしている。

「知ってる」

 

 

例えば、朝が来る。

一日の最初に見るのが、朝の日差しと共に笑う桃色の髪の少女。
今日も頑張ろうという気力が自然と湧いてくる。
彼女が来てくれているかぎり、寝坊をやめろと言われても無理な話だった。