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10.ワールズエンドガーデン

 

「小桜には特大リラックマぬいぐるみ、快には機関車トーマスのおもちゃ・・・」
クリスマス前夜、子供達の欲しい物を事前にチェックしていたサクラは、プレゼントを前にして頷いている。
居間にはツリーが置かれ、何日か前から煌びやかな飾り付けがされていた。
娘と息子が自分達の部屋に入ってから随分と経ち、そろそろ頃合いだろうか。

「そういえば・・・・」
壁にかけられた時計を見つめたサクラは、ふと思い出す。
昔、サクラがまだサンタクロースの存在を信じていた頃、彼女は一度彼に手紙を書いたことがあった。
その中で、何か、大事な願い事を頼んだのだ。
「・・・何て書いたんだっけ」

 

「サクラー、もう大丈夫かなぁ」
サクラが額に手を当てて思案していると、ドアを開けてカカシが入ってくる。
子供達にせがまれて毎年クリスマスの時期は仕事を休むようにしているカカシは、赤と白の衣装を身につけていた。
定番の、サンタクロースの衣装だ。
「・・・カカシ先生、その格好」
「念のためにねー。これなら、子供達が起きちゃっても平気だろ」

真っ白の付けひげの位置を直すカカシを眺めていたサクラは、突然掌で顔を覆って俯いた。
泣いているのかと思って驚いたカカシだが、逆だ。
肩を震わせて、サクラは笑い続けている。
「・・・・・何よ、俺がサンタになったら、そんなに可笑しい?」
「違うの。思い出したのよ、サンタさんに書いた手紙の内容」

 

『わたしをサンタさんのおよめさんにしてください!』

 

サンタクロースを暮らせば、いつまででも好きなときに欲しいプレゼントがもらえると思った。
子供にとっては夢のような話だ。
しかし、このような願い事をされた両親は、どれほど困ったことだろう。
困惑して首を傾げているサンタ姿のカカシに、サクラは満面の笑顔で飛びつく。

「夢、叶っちゃったわ」

 

愛する夫と可愛い子供達。
夢見たとおりの、一生分のプレゼントだった。