17. 掴んだその手を放して(BORDERLINE)
「・・・いくつになった?」
「16」
問われてから、気付く。
サクラはナルトと同じ年齢だ。
「自分の年、忘れちゃったの?」
「・・・・」
笑いながら訊ねるナルトに、サクラは口を引き結ぶ。
思わず訊ねてしまったのは、ナルトが自分の身長を超し、見上げる位置に顔があるからだ。「昔はこれくらいの背丈だったのにねぇ」
サクラが自分の胸の辺りに掌を添えて言うと、ナルトは苦笑を返す。
彼の笑顔を見ても、サクラの表情は沈んだままだった。
「ちっちゃいままで・・・、良かったのに」
成長するにつれ、その実力を周囲に認められるようになったナルト。
今では、彼のことを悪く言う人間もいない。
周囲の人に気を配り、いつでも前向きな思考で頑張るナルトだ。
サクラには分かっていた。
近い将来に、ナルトが皆に頼られ、輪の中心にいるような人物になることは。
自分と過ごす時間が少なくなっていことも、仕方がない。
未来の火影候補として活躍することは、同じ班の仲間として、嬉しいことのはずだ。「ナルト、また任務でどこか遠くに行っちゃうんでしょう」
「うん。でも、サクラちゃんが呼べばいつでも戻って来るよ」
「・・・・嘘つき」
サクラが突き放すような口調で言っても、ナルトは優しく微笑むだけだ。
「俺が今までサクラちゃんに嘘ついたことあった?」柔らかい彼の微笑を、サクラは泣きそうな気持ちで見つめる。
どうしようもない独占欲。
彼の成功を喜ぶ反面、全く相反する感情が芽生えていった。
日に日に強くなる思いを、サクラにはどうすることも出来ない。
「ごめんね・・・」
望めば本当にずっとそばにいてくれると分かっているから、言えなかった。