19. やっと気付いたの(螺旋)

 

包帯でぐるぐる巻きにされた腕を眺め、サクラは改めて大袈裟だと思った。
ほんのかすり傷のはずが、いのに無理矢理病院へ連れてこられたのだ。
保険証まで持ってこられては、診察を受けないわけにいかなかった。

「お風呂、どうやって入ろう・・・・」
独り言を呟くサクラは、窓口で金を払うと出入り口へと向かう。
そして扉に手を掛けようとして、入ってきた人物に目を丸くした。
「カカシ先生!」
瞳を隠すように付ける額当てと、怪しい覆面、どう見てもカカシだ。
だが、彼が病で通院しているという話は聞いたことがない。

「先生もどこか怪我したの?」
「・・・俺じゃないよ」
カカシはサクラの体を上から下まで眺めて言う。
「サクラが重傷を負って病院にいるって、いのちゃんから連絡をもらったから」
「ええ!!?」
驚きの声をあげたサクラは、カカシの足元を見るなりふき出しそうになった。
彼は左右、全く別の靴を履いている。
自宅で電話をもらい、よほど慌てて飛び出してきたのだろう。
上忍とは思えない失態だが、サクラのことを気に掛けている証拠だ。
教師と生徒という間柄だったせいか、遠い存在だと思っていた彼が急に身近に感じられる。

 

「先生って、意外とおっちょこちょいなのね」
「・・・格好悪いよねぇ」
人目はあったが、サクラは構わずカカシに抱きついた。
「格好良いよ!」