20. 貴方が触れない私なら 無いのと同じだから(流星群)

 

女の子の体は柔らかくて気持ちが良い。

サクラは背が小さくてやせぎすだから、一見してその範疇にないように思えた。
でも、それは大きな間違いだったらしい。
知らない間に成長していたらしく、服の上からでもふわふわとした感触が手のひらに残る。
「先生、くすぐったいってば!」
サクラはいつものじゃれ合いの延長だと思ってくすくす笑っていた。
あまやかな香りはサクラから発せられるもの。
体をくすぐられて、笑って、最後にキスをすると、サクラはようやく真顔になった。

 

 

「触っていい?」
訊ねると、サクラは困惑した表情で自分を見上げた。
「何で?」
「何でだろう」
サクラは生徒の一人で、今日はたまたま家に遊びに来ていて、最初は本当にふざけてくすぐり合いをしていたのだ。
でも、彼女が女の子だったことを思い出した瞬間、もっと感じてみたくなった。
その肌を、他の人間が触れたことがない場所まで。

「嫌だって言ったらやめてくれるの」
「どうだろう」
「・・・先生って、分からないことばかりね」
呆れて呟くサクラは最後にもう一つ質問をする。
「先生、私のこと好き?」
「うん」
初めて明確な返答を聞き、サクラはすぐに顔を綻ばせた。
手を伸ばしたサクラの指先が頬に触れて、促されるままに唇を合わせる。

 

女の子の体ならばいくらでも触りたいが、その逆は昔から苦手だった。
でも、サクラなら、触ってみたいという欲求だけでなく、自分の体も触って欲しいと思う。
今まで芽生えたことのない感情。
こうした気持ちが、サクラの言う「好き」というものかもしれない。