■殺した火曜日

 

「殺してしまった・・・・」

項垂れた彼の懺悔の言葉。
私達の住む世界で、仲間を殺した者は死刑と決まっている。
彼が死ぬのは嫌だった。

彼を連れて、逃げて逃げて逃げよう。
取るものもとりあえず、持ち出したのは小さなトランク一つ。
繋いだ掌から互いの熱が伝わった。
ただ、それだけで十分だったのに。