■甘すぎる木曜日

 

「いかないでくれ、どこにも」

置いて行かれるのは私の方だというのに。
彼は切なげな表情で私を見つめている。
そのまま体を引き寄せて、彼は強く強く私を抱きしめた。

彼の唇は優しくて甘い。
記憶はないのに、覚えている。
胸の奥がちりちりと痛んだ。