■飛び降りた金曜日

 

離れ離れになるのなら、いっそ共に死を選ぼう。
先に提案したのはどちらだったか。
不安定な足場と、風に揺れる体。
見下ろすと、屋上からは下を歩く人々は米粒のようだ。

「好きだ」

分かっている。
彼の眼差し一つで、愛されていると実感できた。
赤い糸の伝説のように、二人の手はしっかりと赤いハンカチで繋がれている。
視界から、全てが消えた。