水のやり忘れ

 

傷があらかた治ったカカシの元には、ひっきりなしに任務の依頼がやってきた。
一応、さくらの食事は用意して家を出ているが、彼女はカカシがついていないと何も出来ない。
カカシが帰宅した際には、食事を載せた盆はいつも手つかずで放ってある。
腹は減っているだろうに、さくらはただ従順にカカシの帰りを待っているのだ。

その日は、カカシが仕事を終えて帰ろうとした直前に、別件の任務が入ってしまった。
家にたどり着いたときには、すでに深夜になっている。
不安を抱きつつ扉を開けると、さくらの啜り泣く声が聞こえてきた。
そして、振り向いてカカシの姿を確認すると、一目散にカカシに飛びついてくる。
泣きはらした瞼に、頬に、唇に、順番に口づけをしたが、サクラは抵抗する素振りを見せない。
少しばかり乱暴に衣服を剥がされても、潤んだ瞳でカカシを見上げているだけだった。