■警告デイドリーム

 

兄を殺すためだけに生きてきた。
だが、それは大きな間違いだった。
大切な者を目の前で殺されたというのに、何の力も湧いて来ない。
両親の死を見たときの絶望、怒り、憎しみ。
それすらも、今は感じなかった。

生まれ育った故郷を裏切ることになっても。
心の中で否定し続けてきても。
本当は支えにしていた。
どんな自分でも受け入れてくれるであろう、優しい場所。

「いつか・・・・帰れると思っていたんだ」
一度も触れたことのなかったサクラの頬はまだ温かい。
瞳から溢れた涙に、硬く目を瞑るサクラは応えてはくれなかった。