■恋心コントロール
いつの間にか、彼女の歩調に合わせるようになっていたことに、気づいたのか、そうでないのか。
強引に肩を引き寄せても、サクラは逃げなかった。
唇を合わせて、体を重ねる。
初めてのことに怯えていたようだが、最後まで抵抗する素振りがなかったのは、同行の代償だとでも思っていたのだろう。
サクラの肌は今までに抱いたどの女よりも柔らかく、温かかった。「あなたが羨ましい・・・」
睦言を交わすようになって何度目かに、サクラは呟いた。
サスケに追い回されるイタチは羨望の対象だ。
それが、たとえ憎しみに端を発していても。
サクラの瞳を見つめ返しながら、取るに足りない哀れな弟を初めて羨ましいと思えた。
サクラに愛されている、ただそれだけの理由で。