■拷問パラノイア

 

「俺の最高傑作、完璧だっただろう」
「ああ」
くくっと笑うサソリにイタチは冷たく応える。
「人口の皮膚を貼り付けて、人と同じ血液を体の中に流して、つなぎ目だってパッと見じゃ分からない」
イタチに注文を受けて作った傀儡は会心の出来栄えだった。
人手に渡さず残しておきたくなったほどだ。
イタチにしても、本当に彼女を斬って殺したようで、分かっていても体が震えてしまった。

「あんたがあの小娘を手放すとは、思わなかった」
「・・・・・」
冷やかすように笑うサソリに、イタチは無言の返事をする。
命を救ってもらった借りを返しただけだ。
失う恐怖を思い知った弟も、次からは彼女を大切に扱うことだろう。
「その心臓に描かれた呪印、やっぱりでたらめみたいだな・・・。どの文献にも載っていない」
「知ってる」

傍らに目をやっても桃色の髪が見えることはもうない。
心臓の呪印が痛むように思うのは、彼女の呪いの影響かもしれなかった。