くまさんパンツ
カーテン越しに差し込む柔らかな光を浴び、カカシは満たされた気持ちで目を覚ます。
腕の中の愛しいサクラの寝顔に目を細め、肌に伝わる熱に、感じる鼓動に、幸せを感じる。
長期任務から帰ってきたカカシはようやく『帰ってこれた』と実感することができた。
昨日、約2ヶ月ぶりにサクラに再会した時も、やっと帰ってこれたと、やっと会えたと、実感したはずだが、今のこの気持ちはその時のそれとはまた違うものがあった。
今この時間は「木ノ葉の上忍はたけカカシ」ではなく「只の一人の男はたけカカシ」でいられる幸せ。
普通の男としての幸せな一時を与えてくれるサクラが愛しくてしかたがない。
彼女はそんなことはまるで気付いていないだろうが・・・。
無邪気な顔で眠るサクラ。
こうして眠るサクラは子供にしか見えない。
実際、子供なのだから仕方がない。
それをわかっていて、自分のものにしたあの日。
彼女はまだ13歳。
なんて罪なことをしているのだろうと、一人考え始めると止まらない。
そんなオレにいつも答えをくれるのもサクラ
愛しくて、サクラを抱く手に思わず力が入る。
より温かさを、確かな鼓動を感じる。
そして、なぜか胸に感じる力・・・・・・力?
カカシは瞑っていた目を開け、目線をサクラに移す。
サクラはカカシの腕の中でまるでカカシを嫌がっているかのようにもがいている。
サクラ?
徐々にその力が大きくなり、明らかにカカシから離れたがっているのがわかる。
そんなにオレのギュッが嫌か!サクラ!!
カカシは目を見開き、ショックのあまり震えがくる。
だが、サクラを抱く力は緩まず逆に力が入る。
このままサクラを逃したくないから・・・。
どれだけの時間が経ったのか悲しみに支配されていたカカシにはわからない。
そのぼんくらなカカシはやっと気付いた。
サクラはまだ眠っているのだ。
目を開けることもなくカカシを押しのけようとサクラは必死でもがいているのだ。
薄らと汗ばんできているのが時間の経過を物語っている。
まるで悪い夢でも見ているかのようだ。
やっと状況を理解したカカシの身体は自然に動いていた。
サクラを抱くのをやめ、その両肩を掴んでガクガクと揺さぶりながら彼女の名前を叫んでいた。
「サクラッ!サクラッ!サクラッ!サクラッ!サクラッ!!」
カカシの声にか、揺さぶりにか、どちらかわからないがサクラは突然パチリと目を見開く。
その瞳がカカシの瞳と合わさり、サクラの強張った顔が段々と緩んでいく。
「カカシせんせぇ・・・」
サクラはカカシの名を呼びながらカカシの首に腕をまわしてギュッと抱きついた。
ようやく自分の元に帰ってきたサクラをカカシもしっかりと抱きしめる。
「どうした?恐い夢でも見た?」
「・・・うん。やらしい熊に襲われてたの」
「熊?」
「森の中を歩いていたら熊が出てきて『オレと結婚しろー』っていきなり押し倒されて・・・」
「なんて悪い熊なんだ」
「熊なのに、凄くリアルで恐かった」
サクラはさらにギュッとカカシに抱きつく。
余程恐い夢だったのだろう、抱きつくサクラの身体が僅かに震えている。
よしよしとカカシはサクラをあやすようにゆっくりと撫でる。
サクラはまだカカシ以外の男を知らない。
熊とはいえ、夢とはいえ、リアルな感じがしたのならばとても恐かったに違いない。
「はぁ・・・。でも、ちょっとショックだな」
「?」
「サクラのことギュッて抱きしめたらサクラが嫌がったんだぞ」
「?」
「オレが熊ってこと?」
優しい笑顔でカカシはサクラを見つめる。
疑問系の顔をしていたサクラの顔が瞬時にして難しい顔になってしまった。
「サクラ、ここ、笑うとこだろ」
「だって、よく考えたら先生だったらやりそうなんだもん」
「オレってそんな風に思われてるワケ?」
ガックリとカカシはベッドに突っ伏す。
そんなカカシにサクラはフフッと笑う。やっと笑顔が戻ってきた。
「先生にだったら・・・同じことされてもうれしいよ」
サクラはカカシの上からぴたりと重なるのだった。
カーテン越しの光がさらに強みを増している。
「もうお昼かなぁ?」
「んー、そだね。シャワー浴びてからご飯食べに行こっか」
「先生が食べに行こうだなんて珍しい〜」
「帰ってきたばっかりで何もないんだからしょーがないでしょ」
カカシはベッドから起き上がりまだ横になっているサクラの額を軽く撫でる。
「とりあえず、何か飲む?」
「うん・・・・・・あ、お水でいいよ」
「お茶ぐらいあるぞ」
サクラの気遣いに思わずカカシは苦笑する。
「お湯を沸かすのに時間かかるじゃない」
「あー、そっか。じゃ、姫様。お水をお持ちしますのでしばしお待ちを」
カカシは王子様的ににっこりとサクラに笑いかけてからベッドから立ち上がり台所へ向おうとした。
「ぶっっっ!せっ、せっ、せんせっっっ、な、なによっ、それっ」
カカシが振り返るとベッドの上でサクラがキャハハハハと盛大に笑い転げていた。
なぜ腹を抱えて大笑いしているのかカカシには皆目わからない。
「サクラ、なに?」
ヒーヒー苦しげに笑うサクラはカカシの下半身を指差す。
それに合わせて目線を自分の下半身に降ろすカカシが目にしたのは自分の思っていた物とは違う光景であった。
確か自分が履いていたのは黒のパンツだったはずだ。
なのに自分が今履いているのは白いパンツ。
しかも真ん中に小さいリボンまで付いている。
何か思うところがあったカカシは勢いよく後ろを振り返った。
自分の尻、パンツのバックプリントを見てカカシは愕然とする。
カカシが履いていたのはサクラにプレゼントしたクマのパンツだったのだ。
「せ、せんせー、それ、もう、クマじゃなくてブタ!ブタになってる!!!」
サクラのパンツをカカシを履くということはイコール『伸びる』ということだ。
クマのバックプリントは見事に伸びてしまってブタのようだった。
「・・・こ、こんなプレイ、したっけ?」
「してない!してない!してないって!!」
完璧に笑いのツボに入っているサクラの笑いはまだ止まらずベッドの上で笑い転げている。
『どうりでいつもよりキツかったわけだ』とカカシ自身も履いた感じがいつもよりもキツいなとは気付いていたが自分がまさかそんな失態を演じているとは考えもしていなかった。
「あ、そっか!夢に出てきた熊ってホントに先生だったんだ!!!」
「あぁっっっ!!!」
妙な符合にカカシも驚く。
確かにクマつながりだ。
なおも笑い転げるサクラは枕元辺りにおいてあった物に手を伸ばしてカカシの方に向けた。
ピカッ
突然光った物がカメラのフラッシュであることにカカシはすぐに気が付いた。
「これ、私の宝物ー♪」
ウィンと出てきたポラロイド写真をサクラはうれしそうに掲げながらも笑い転げている。
カカシはしまったと思ったが時すでに遅し、カカシの情けない姿は写真に収められてしまった。
「サクラ、それを渡しなさい」
「嫌っ。先生だって宝物にするって言って私のHな写真いっぱい撮ったじゃなーい」
枕元にはカカシとサクラの愛の営みが写されたポラロイド写真の山が出来ていた。
カカシがどうしてもと言って影分身まで使って撮影したものだ。
サクラは嫌がったのにビデオまで撮影していたのだから始末に終えない。
「この写真とビデオをぜーんぶ燃やしてくれるなら、この写真、渡してもいいわよ?」
「うっ、そ、それは・・・」
あんなに頑張って撮影したお宝の数々をカカシには手放すことなんて出来ない。
「これに比べたらこの1枚なんてかわいいものよ」
「・・・ま、そうだけどな」
カカシは薄く笑うしかない。
「それ、誰にも見せない?」
「先生こそ見せない?」
「見せるわけないだろ」
「ホント?」
小首を傾げて尋ねるサクラは犯罪的にかわいい。
「大事な女のHな写真を他人に見せるような趣味はないよ。それよりサクラの方が心配だよ」
「私も見せないって。こんな情けない写真見せられるわけないじゃない」
サクラの『情けない』発言にカカシはがっくり肩を落とす。
「これは私の宝物。これも大事な思い出よ。ね、先生?」
「はいはい」
そして、カカシはようやく『くまさんパンツ』を脱ぐのだった。
「あー、でも、ショックー」
「なにが?」
「だって、私のパンツを先生が履けちゃうんだよ?ダイエットしなきゃーーー」
サクラはバッタリとベッドに倒れる。
「サクラにダイエットの必要なし。ダイエットしたら怒るよ?」
「でもぉ」
ぶーたれるサクラの上にカカシは伸びきったくまのパンツを乗せる。
「オレが履いたらこんなに伸び伸びになったんだぞ。もう、サクラにはダブダブで履けないだろ」
確かにサクラの身体の横幅をパンツは大きく上回っている。
「ブカブカ感がかわいいからサクラよりも大きめのサイズを選んでゴムで調整してたの。だから、オレが履けても不思議はないわけ。わかった?」
「う、うん」
まだ納得がいかないサクラではあったが、ここはおとなしく肯定することにした。
痩せたいと駄々をこね続けるのが恐いことをサクラは知っている。
以前に駄々をこねたら効果的に痩せられるからと一日中セックスをするはめに陥ったことは思い出したくない疲労感いっぱいの思い出だ。
あ、でも、カカシ先生とするのは嫌じゃないのよっ
ただ、一日中は・・・いくらカカシ先生でも私疲れちゃうんだもん
カカシ先生ってばずっと元気だし・・・きゃっv
「サクラ、誰と何をしゃべってるの?」
訝しげに尋ねるカカシにサクラはハッと我にかえる。
「え?あっ、なんでもないのっ」
えへへと真っ赤になって照れたばかりにサクラはカカシに「かわいい〜かわいい〜v」と、ぎゅうっと抱きしめられるのだった。
シャワーだけのつもりが、結局、湯船にトプンと浸かってのんびりしてしまった二人。
もう世界はすっかり午後になっていた。
「今からじゃランチタイムには間に合わないねぇ」
サクラはカカシからバスタオルを手渡される。
「ランチタイムは混むからパス」
カカシもわしゃわしゃと髪を拭く。
「えー、私、木の実屋の日替わり定食食べたかった」
「あ、それはオレも好き」
木の実屋とは二人が好きなおばんざい屋である。
たぶんいまから行っても準備中の札が出ているであろう。
身体を拭き終わったサクラはあることに気付いた。
「先生・・・・・・。もしかして私のパンツってあれ以外にないの?」
「あぁあ!うちに替えの服を置くのをサクラは嫌がってたからねぇ」
替えの服や下着を置いておいたらカカシに何をされるかわからないからサクラは断固として置かないようにしていた。
「どうしよう・・・」
サクラの顔がサーーーッと青くなる。
「オレ、ノーパン大好きだけどv」
「バカ!人に見られたらどうするのよ!バカバカバカ!!!」
「だって仕方ないでしょ。ないんだから」
「先生っ、私の家に行って下着とってきてよ。先生がだめにしたんだからそれぐらいしてよ!」
サクラはぷーっと頬を膨らませて抗議する。
「あ!サクラ!タイツがあるよっ、タイツ!」
「はぁ?!」
「タイツを履けばいいんじゃない?」
「よくない!透けるでしょ!」
「いやいや〜、履いてみないとわからないでしょ〜」
ニヤリと笑うカカシにサクラはお姫様抱っこで無理矢理ベッドの方に連れていかれるのであった。
引き出しからカカシは新しいタイツを出してくる。
「なんで新しいタイツはあるのにパンツはないのよ?」
フッと笑うカカシは妙に無気味だ。
「そんなことよりさ、とりあえず、タイツを履こうか」
この男の目には目先の変態行為しか見えていない。
うれしそうにサクラに白いタイツを履かせるカカシ。
生まれたままの姿の13歳の少女にタイツのみを履かせる27歳の男はたけカカシ。
完璧に犯罪絵図だ。
「やっぱり透けるじゃない」
「この透け具合がいいんじゃないか」
「透けたら外を歩けないの!」
サクラの抗議などカカシにはきっと聞こえていないだろう。
いまにも涎を流さんばかりにカカシはうっとりしている。
チラリズム万歳!そんなカカシの心の声が聞こえてきそうだ。
「はぁ・・・この僅かに透けるピンク色がたまんないね」
そう言いながらサクラの大事な部分をカカシの人さし指が撫でる。
「あぁ・・・んっ、やっ・・んっんんんっ、馬鹿っっっ!!」
ゲシッッッ!!!
サクラの色っぽい声に猛烈に興奮しかけたカカシの顔をサクラの足が蹴っ飛ばす。
「もう!こんなことばっかりしないのっ!先生の事、嫌いになるわよ!!」
本気で怒るサクラにカカシはおとなしくなるしかなかった。
「先生、私の部屋から下着を取ってきてよ」
「いや、あのさ、サクラ、実はサクラ用の下着があるんだよ」
「また変なものじゃないでしょうね?」
まだこの男は懲りないのかと思いつつもサクラはカカシに手招きされるまま引き出しの方へ行く。
サクラが引き出しの中に見た物は淡いピンクと淡いグリーンの布であった。
「なによ、これ?」
「褌」
「やっ、やーよ!褌なんて女の子が履くもんじゃないじゃない!!」
「大丈夫。これはサクラ用に買っておいたものだから」
カカシの笑顔はどこまでも爽やかだ。
褌の布の色がピンクとグリーンの2種類あるのはサクラ用だからだろうか。
「オレも褌を締めるからサクラも締めような。おそろいだv」
カカシの目はとても真剣だ。
「とりあえず、サクラ、九尺褌を締めたげるv」
「いーーーーーやーーーーーーー!!!」
実は『くまさんパンツ』と共に購入した『いちごのパンツ』があるなどということはサクラにはまだまだ内緒である。
最初に考えていた話とはかなり違ってしまいました。
ノーパン白タイツとか褌は当初の予定に全然ありませんでした。
どうやらまた変態の神が降りてきた模様です。ハハハ。
誤解されては困るのですが、うちは変態系カカサクサイトじゃありませんから!!
誰も信じない気はしているが(笑)
2004.10.30.
そのかさんフリーSSを頂いて参りました。
いやぁ、このエッチな雰囲気が何ともいえず良いですね〜〜。
私自身、いちゃいちゃラブラブを書くのがどうにも苦手で挫折しているので、その分いつもそのかさんのSSを楽しませて頂いています。本当に。
ああ、寝起きカカサク、幸せ・・・。もう、カカサクだったらどんなプレイもOKです!!(笑)
これからもそのかさんのSS、楽しみにしています!
そのかさん、有難うございました。
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