レプリカ 2


カカシが護衛する人物を狙った爆弾事件。
大規模な爆発にも関わらず、死傷者はいなかった。
カカシを除いて。

「人のいない場所に爆発物を運ぼうとして、そのままドカン。カカシ先生の身体は吹き飛んじゃって残らなかったっていう話よ」
「・・・その話はどこから聞いた」
「中忍の先生達が話しているのを聞いたの」
「確かな話なんだな」
「たぶん。爆発があったことはTVのニュースでも流れてるし。先生のことはまだ伝えてなかったけど」

サスケといのの会話が、サクラにはどこか遠くの方で話しているように聞こえる。
カカシが死んだ。
嘘のような現実に、サクラは目の前が真っ暗になった。
つい午前中まで、会話をしていたのだ。
死の陰など微塵も感じさせない、元気そうな姿で。

「サクラちゃん!」
ナルトが叫んだときには、サクラの意識は完全に途絶えていた。

 

 

目が覚めると、サクラは自室のベッドの上だった。
嫌な、夢を見た。
でも、目覚めることが出来て良かったと思った瞬間に、自分を心配そうに見詰めるその人と目が合う。

「サクラさん。大丈夫ですか」
彼は、サクラに確かな現実を知らしめる。
かかしは半身を起こそうとしたサクラを制した。
「まだ寝てた方がいいですよ」
「大丈夫よ。あなたが運んでくれたの?」
「そうです」
かかしは本物と寸分違わぬ顔に微笑を浮かべる。
立ち上がりかけたかかしを、サクラはとっさに掴まえた。

「どこに行くの」
「え、サクラさんの目が覚めたから、もう帰ろうかと」
「駄目!!行かないで!」
サクラは必死な様子でかかしにしがみつく。
「サクラさ・・・」
「やめてって言ったじゃない!サクラって呼んでよ」
「・・・・」
サクラは涙をためた瞳でかかしを見上げる。

かかしはサクラの頭に手を置くと、静かな口調で語りかけた。

「サクラさん。符術で作ったものは術者のチャクラの残り香のようなものです。1日で消えてしまうんですよ」
「そんなこと、知ってるわよ!」
サクラの手は震えている。
だけれど、カカシを掴まえている腕の力は全く弱まらない。
離してしまえば、二度とカカシの顔を見ることが出来なくなる。
事実を、サクラにはまだ受け止めることが出来なかった。

 

「サクラ」

優しい声音に、サクラの肩がびくりと震える。
サクラの身体から力が抜けたことを見計らって、かかしはサクラの額に口づけた。
サクラが目を見開くのと同時に、かかしの姿は忽然と消える。

「カカシ先生・・・」
名を呼んでも、返事はない。
空を切った手に、サクラはそのまま泣き崩れた。

 

 

かかしがサクラの家を出ると、すでに迎えの者はやってきていた。

「火影さま、かんかんだぞ」
「・・・分かってるよ」
真顔のアスマに対し、かかしはふてくされたような表情だ。
「でも・・・」
「でも?」
「火影さまよりサクラの方が怖い」
カカシの本音に、アスマは笑いをかみ殺す。
「エリート上忍も形無しだなぁ」

「大体、火影さまに何て言えばいいんだよ」
「大事な任務に符術で作ったレプリカを向かわせて、自分は下忍達と遊んでました、で良いんじゃないか」
アスマの率直な意見に、カカシはよけいに頭を抱える。
「・・・・もっと美辞麗句並べてくれ」


あとがき??
その後・・・。
サクラはカカシの予想通り、大激怒でしょう。
散々怒ったあと、やっぱり泣いちゃうだろうと思います。あらら。
FF7、クラウドの「ティファさん」発言に衝撃を受けたので、そのネタを使いたかったのですが。
・・・うーん。無理だったか。個人的にティファラブですv
話がそれた。

符術で作った物は紙だから火に弱いです。
一瞬で燃え尽きたレプリカカカシの話を聞いて、火影さまはたちまちに事態を看破したようです。
怪我人がいないだけマシだけど、カカシ先生はどやされることでしょう。(合掌)


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