小鳥 エピローグ


「あんだけ動き回って、報酬はこのボロい車と小鳥一羽ってありなの!」
「前、前」
がなり立てるナルトに、助手席に座るイルカは前方を示して注意する。
だが、あまりナルトの耳には入っていない様子だ。
「保管庫に無断で入ったことに目をつぶるから、さっさと出てけってひどすぎない?あのネコババ野郎」
「まぁまぁ。結局犯人は捕まえられなかったんだし」
「当たり前だよ!」

ナルトの運転する車はすでに屋敷を抜け、市街地へ入ろうとしている。
今日のうちに港から出る船に乗り、故郷へと帰る予定だ。
ちなみにナルトは無免許であり、ペダルを踏む足の長さが足りないために厚底の靴を履いていたが、その運転技術はかなりのものだった。
相当場数を踏んでいるとみられる。

 

「宝石の一つくらいちょろまかそうと思ったのにさ。それに、先生ってばサクラちゃんのこと黙ってるし、嘘もつくしー」
憤るナルトに、イルカは返す言葉がない。
カーブを曲がると車内は自然の法則で横に引っ張られ、その拍子にイルカの膝にあった鳥篭があやうく落ちそうになる。
「でも、先生もなんでそんな鳥が欲しいって言ったのさ」
ナルトはちらりと横目で見ながら訊ねる。
「この鳥だっていつまでも籠の中じゃ、可哀相だろ。もう飛べそうだから外に放してやろうと思って」
「ふーん。で、先生、いつになったらその変装を解くわけ」
「・・・ああ」

暫く付けたままだったせいで忘れていたそれを、イルカはベリベリと顔からはがす。
人工皮膚を使い精巧に作られたそれは、取るのも一苦労だ。
「先生、まだそこ接着剤が付いてるよ」
ナルトはハンドルを片手に彼の頬をこする。
面の下の顔は、まさしく怪盗カカシのものだ。

「本物のイルカ探偵は明日アメリカから帰国するらしいよ」
「当主様のあわてふためく顔が目に浮かぶねぇ。あー、楽しい」
素顔に戻ったカカシは声色を使うことを止め、口調まで砕けたものになる。

 

両手を頭の後ろで組んだカカシは、後ろを振り返った。
車の後部座席には、サクヤこと本物のサクラ嬢がすやすやと寝息を立てている。
次に目が覚めたとき、一度も敷地外に出たことがない彼女にとって未知の風景が広がっているはずだ。


あとがき??
一体どうしてこんなことに・・・。
プロローグを書いた時点では、まるで違う話だったんですけれど。(困惑)
アザイさんのリクエストは「サクラを盗みに来たカカシと探偵イルカ」さらには「カカサクラブラブ」だったんですけど、どれも裏切ってしまって申し訳ないです!
たぶん2あたりからあやしかったです。(汗)

43534HIT、アザイ様、有難うございました!


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