小鳥 プロローグ
「何してるの?」
振り向くと、一人の少女が立っていた。
屈みこんでいるその男を、不思議そうな顔をして見詰めている。
「ちょっと怪我をして・・・」
「あなたが?」
訊ねる少女に、彼は首を振る。
「いや、この小鳥が」男の掌には、羽に傷のある小鳥がいる。
その庭は私有地とは思えないほどの木に囲まれ、半ば野生化した動物達が多々見られる。
小鳥は傍らにある木の巣から落ちたのか、他の動物に襲われたのか。
片方の羽が痛々しく血に染まっていた。「あなたも怪我をするわよ」
男に近づくと、少女は彼を同じように屈んでその手を覗き込む。
男が小鳥を治療しようとしているのは明白だが、小鳥はそのようなことは分からない。
暴れる小鳥に突付かれ、彼の手には血が滲んでいる。
「・・・でも、放っておけなかったから」
「優しいのね」
「可哀相な小鳥を助けたいだけだよ」
振り向いて顔を綻ばせた男に、少女も笑顔を見せる。そのとき、二人の間に流れた和やかな空気を取り払うように、第三者の声が耳に入った。
「お嬢様」
「どこですかー!」誰かを捜している、複数の声。
男が目を見開いて傍らの少女を見ると、彼が何かを言う前に、少女は立ち上がる。
そのまま、植え込みをかき分けて、少女は小道へと駆け出した。「ああ、こちらにいらしたんですか」
少女の姿を見るなり、屋敷の使用人の二人が安堵の吐息をもらす。
植え込みの影で様子を窺う男は、緊張と共に息を潜めた。
「先ほどお屋敷に泥棒が入ったんですよ。部屋から出ないよう母上様に言われたでしょう」
「ごめんなさい。ちょっと外の空気がすいたくなって」
すぐに謝罪した少女に、使用人達は顔を見合わせた。「まだ見つかっていないの」
「ええ、この辺りにいることは分かっているんですが。怪しい人物を見かけませんでしたか?」
「見てないわ」
即答だった。
少女の声は少しも動揺していない。
少女がすぐに屋敷に戻ることを約束すると、使用人達は再び不審人物の探索のためにいなくなった。
「小鳥は私が預かるわ。ここは警備が厳しいから、あっちから出た方がいいわよ。それから、盗んだ宝石は私が返しておくから置いて行ってね」
男のもとへ戻ると、少女は西の門のある方角を指差して言う。
彼女は男の正体に気づいている。
それでも男を逃がそうとする少女に、彼はいよいよ怪訝な表情になる。
「・・・何で?」
「可哀相な小鳥を助けたいだけよ」にっこりと微笑んだ少女に、男は毒気を抜かれてしまった。
警備が厳しくなっていたとしても彼女を人質にすればたやすく逃げられるだろうし、西の門が手薄という情報も嘘かもしれない。
だけれど、男は彼女を巻き込むことも、疑うことも、嫌だと感じた。少女の手に移ると、小鳥はどうしてか大人しくなる。
踵を返そうとした少女を、男は思わず呼び止めていた。
「君の名前は?」
あとがき??
もう、何が何だか・・・。(誰が誰だか(涙))
このプロローグはあんまり意味ないです。付け足し。次は真打ちのイルカ先生とおまけのナルト、ヒロインサクラ嬢が登場します。(カカシ先生は・・・・)
主役はイルカっちの方なんですよ。実は。
彼は私が書くと急に特徴のないキャラになってしまうという。(だから書きやすい)