メッセージ U


サクラの遺骨が墓に納められて数日たった頃、ナルトがカカシの家に訪れた。
そして一通の手紙を手渡す。
「これ、サクラちゃんがカカシ先生に渡してくれって」
ナルトはその手紙をサクラが死ぬ少し前に渡されたらしい。
封筒を見ると、間違いなくサクラの字で「カカシ先生へ」と書かれている。
封はしていないから、すぐに中身を取り出すことができる。

「中、見た?」
「見てないよ」
カカシの質問に、ナルトは憤慨して答えた。
謝りながら、カカシは改めてナルトの顔を見た。
里を離れていたのは数日のはずだったのに、その表情は随分大人びたものに変わっているような気がする。
好きだった少女の死が、ナルトを変化させたのだろうか。
「有難うな」
カカシが頭を撫でると、ナルトは少しだけ泣きそうな顔になった。
サクラと一緒によくこうしてカカシに頭を撫でられたことを思い出したのかもしれない。

 

ナルトの持ってきた封筒は、開かれることはなかった。
その手紙を見てしまったら、サクラに対する気持ちが過去のものになってしまうようで、恐かった。
カカシの心の中のサクラは、変わることなく微笑んでいる。
カカシはサクラを思い出にはしたくなかった。

サクラがいなくなっただけ。
サクラに会う以前の生活に戻っただけなのに、カカシの中で何かが異なっている。

サクラといて初めて気付いた、自分の孤独。
心が満たされる幸せと、いつか失うことの恐怖を同時に知った。
どこにもサクラはいないというのに、日に日に募っていくサクラへの想い。
サクラは残酷だ。
あのような約束を残していくから、まだサクラの死を認められないカカシがいる。

 

「お前、大丈夫か」
「何が」
同僚の言葉に、カカシは首をかしげる。
「顔色悪いぞ」
カカシは鏡のある場所に行き、自分の顔を見た。
青い顔をしたカカシが鏡の中で薄ら笑いを浮かべている。
「変な顔」
そう呟いた後、カカシは唐突に倒れた。

 

拒食症。

サクラの骨を口にして以来、カカシの胃は食物を受け付けなくなっていた。
食欲はあるのだが、食べてもすぐに吐き出してしまう。

「このままでは、死んでしまいますよ」
医者の言葉を聞いたとき、カカシは声を出して笑った。
気でも触れたのかと自分を驚いた顔で見る医者を横目に、カカシは笑いつづけた。
嬉しくて。
サクラの存在しない世界。
この苦しみから解放されると思うと、最高な気分だった。

血まみれの自分の人生が、今ようやく終焉を迎えようとしている。
もともと望む者のいない命だった。
悔いなどあるはずがない。


あとがき??
Tが短かったから、Uも短くていいか、と思ったら、随分短くなってしまった。あわわ。
ラストは割とハッピーエンドとか言っても、誰が信じてくれるんだ。

さて、問題はサクラちゃんの手紙の中身。
果たしてなんて書いてあるのか?私も知らない。(駄目じゃん!(笑))
サクラちゃんの気持ちになって考えましょう。
懸命な読者なら分かってしまう。むしろバレバレ?

このままだと救いのない話。
だけど、カカシ先生を救うのはいつだってサクラちゃんなんです。

Vがなんだか妙に説教くさくなってわけ分からなくなったので、上手く手直しできなかったら全部削除するかも。
申し訳ない。


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