「サクラ、木ノ葉茶屋であんみつ半額キャンペーンやってたけど・・・」
「行く!!!!」
言い終わらないうちに、サクラは目を輝かせてカカシの手を掴んだ。

 

 

「あの、半額やってるとは言ったけど、俺がおごるなんてことは一言も・・・・」
「いいじゃない、別に」
サクラはスプーンにのせた寒天をせわしなく口に運ぶ。
半額中ということもあり、木ノ葉茶屋は若い娘でごった返していた。
男性客はカカシのみという中で、一人茶をすする彼はどうも居心地が悪い。

「せっかく半額なんだし、もう一杯」
「え、まだ食べるの!?」
店員に呼び掛けようとしたサクラに、カカシは目を丸くする。
甘いものの苦手なカカシにとって、この砂糖のかたまりのような物体を二つも食せるとは驚異的だった。
だが、サクラの瞳に穏やかでない空気を感じ取ったカカシは慌てて取り繕おうとする。

「ダ、ダイエットはどうしたのかと思って」
「・・・明日からやるわよ」

 

二杯目のあんみつに手を伸ばしたサクラは、ふと視線を感じて顔を上げた。

向かいに座るカカシが、サクラの顔をじっと見詰めている。
睨んでいるというのではなく、ただ、見ているといった様子。

「な、何よ・・・」
さすがに二杯目はまずかっただろうかと思ったサクラはスプーンを持ったままおずおずと訊ねた。
緊張気味のサクラとは逆に、カカシはゆっくりと表情を和らげる。
「ん。サクラ、可愛いなーって思って」

言葉と共に、カカシはにこにこっと笑った。
頬杖をついたカカシのその微笑に、サクラは一瞬言葉を失う。
ここまで面と向かって「可愛い」などと言われたのは、肉親を除くと初めてだ。
しかも、カカシは裏表のない優しい笑顔をサクラに向けている。

「どんどん食べていいよ。俺が払うから」
「そ、そんなにいくつも食べれるわけないじゃない!」
サクラは赤くなった顔を誤魔化すように、憎まれ口を叩く。
二杯目のあんみつは何とか喉を通ったものの、全くどこに入ったか分からない状況だった。

 

 

 

次の休日。

 

サクラは演習場へと向かう道の脇で、寝転がっているカカシを見付けた。
春の気候はきわめて温暖で、少し動けば汗ばむほどの陽気。
カカシはちょうど、木の葉が日差しを遮断するところで横になっている。
昼寝には丁度良い場所だ。
無駄と知りつつも、サクラは忍び足で近づく。

 

「何、見てるの」
当然のように、カカシはサクラの気配を察して目を開けていた。
面白くない気持ちで訊ねるサクラに、カカシは柔らかく微笑む。
「サクラ」
「・・・何で見るの」
「可愛いから」

サクラは、カカシが自分をからかって、反応を楽しんでいるのだと思った。
だから、動揺するのはカカシの思うつぼだ。
そう思うのに、サクラは顔に血が上っていくのをどうしても止められない。

「またあんみつ食べに行こうか」
隣りに腰掛けたサクラに、カカシが声をかける。
「この間で懲りたんじゃないの。ダイエットを勧めてたじゃない」
「うん。最初はさ、よくこんな甘いもの何杯も食べれると思ってビックリしてたんだけどね」
苦笑しつつ、カカシは傍らのサクラを見上げる。
「でも、運ばれてきたあんみつを見たサクラがあんまり嬉しそうに笑うから、何だか可愛いなぁって思ったんだ」

 

 

サクラはカカシの右目を自分の掌で覆い隠した。

「先生、もうちょっとの間、寝てて良いわよ・・・」
「えー??」

カカシの目に手を当てたまま、サクラは深呼吸を繰り返す。
カカシが額当てで目を隠していて、本当に良かった。
片方の目で見据えられただけで、こんなに心臓がどきどきするのだ。
両の目で見詰められたら、呼吸困難で死んでしまうかもしれないと、サクラは思った。


あとがき??
何か、私の書くカカシ先生はどうも頭のネジが一本外れていそうなのですよ。
意識しているのではなく、自然とそうなる。
いつか、格好良いカカシ先生を書いてみたい・・・・。(ドリーム)

リクエストは「サクラちゃんと相思相愛でちょっとお馬鹿な先生」。
両思いなのだけれど、まだよく分かっていないような。
ラブラブ、足りなかったでしょうか。すみません。(汗)

74747HIT、沙織さま、有難うございました。


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