忍ぶ道 1
「先生、だっこして」
サクラは7班の中で唯一の女の子。
そして、一番真面目な優等生。
甘えん坊のナルトならともかく、サクラがこうしたことを言うのは、珍しい。
見ると、サクラはすでに両手を広げてスタンバイしていた。子供といえど男を抱き上げるのは全く味気ないが、女の子なら別。
線の細いサクラは、驚くほど軽々と持ち上げられる。
やせぎすな体は、思ったよりもずっと柔らかかった。
数年すれば、もっともっとふくよかで女らしい体つきになるのだろう。
「何かあった?」
サクラは小さく首を振って俺の言葉を否定する。
こうして抱き上げている状態では、サクラの顔は全く見えない。
だけれど、サクラがいつもと違った雰囲気なのは歴然としている。
自分にしっかりと抱きついているのは、サクラの表情の陰りが、自分に係わっていることだからか。
「先生が優秀な忍びじゃなければ良かったのに」
「え?」
「カカシ先生が、私やナルトよりも出来が悪くて、術なんて何にも使えないような忍者だったら良かったのに」
「・・・それじゃ、アカデミーの卒業試験にも受からないよ」
もっとも答えに、サクラの体が少しだけ震える。
「そうだね」サクラは笑った。
笑ったのに、その声は全然楽しそうじゃなかった。
そうしたら、何故か自分の方まで苦しくなった。
サクラはよく喋る方で、身の回りのことを何でも話してくれる。
それなのに、本当に大事なことは、絶対に口には出さない。
胸の内にしまい込んで、どんどんどんどん、悩みを深くしていく。
それがひどくもどかしくて。サクラが願えば、自分はどんなことでも力になるのに。
今、何がサクラをそんなに不安にさせているのだろう。
「カカシ先生、私、今度治療術について勉強することにしたんだ」
「うん」
「腕や足の一本や二本無くなっても、絶対治してあげられるようになるから。だから、ちゃんとここに帰ってきて」細い体の、どこにそんな力があったのだろうかという力で抱きしめられる。
続くサクラの呟きは小さくて。
だけれど、かろうじて自分の耳に引っかかった。
「生きててね」
あとがき??
これだけだと、意味不明。
別のカカサク駄文の前ふりなのです。これと、もう一つ、サクラ版がある。
本編のカカサク駄文の方はおおまかなあらすじしか考えていないので、書くかどうか分かりません。
一応、準備号な感じでこれだけ書いてみたり。どうかな。たんに、意味もなくべたべたするカカサクを書きたかっただけの気もしますが。
物悲しい空気を感じ取って頂ければ、幸いです。