忍ぶ道 2


カカシ先生が死ぬ夢を見た。

それはとてもリアルな夢で。
目覚めたあとも、生暖かい血の感触と匂いが、体に残っているような気がした。
吐き気がして、トイレに駆け込んだあとも、胸の鼓動はおさまらない。
ただの夢とは、思えないから。

カカシ先生は木ノ葉隠れの里でも、指折りの優秀な忍び。
当然、その任務は難しいAランクのものばかり。
夢はいつ現実になっても、おかしくなかった。

 

 

 

「先生、だっこして」

カカシ先生の顔を見た瞬間に、口をついて出ていた。
泣くのを我慢している顔なんて、先生に見せたくなかった。
ふとした拍子に、悪夢はぶり返される。
今日はカカシ先生の顔をまともに見れそうにない。

「先生が優秀な忍びじゃなければ良かったのに」

先生に言った言葉は、本当の気持ち。
私達下忍のCランクの任務ならば、死ぬような大きな仕事は絶対にない。
でも、カカシ先生が上忍じゃなかったのなら、私たちはきっと出会わなかった。

「それじゃ、アカデミーの卒業試験にも受からないよ」

先生の言葉はもっともなことだったから。
何だか泣きたくなってしまった。

 

カカシ先生が大事。
ずっとこうしてくっついていられたら、何も気に病むことなんてないのに。

どうして、この世界にいるのは私たち二人だけじゃないんだろう。
周りのしがらみを全部取り払ったら、私の不安は全部消え去るだろうか。

 

 

「カカシ先生、私、今度医療術について勉強することにしたんだ」
「うん」
「腕や足の一本や二本無くなっても、絶対治してあげられるようになるから。だから、ちゃんとここに帰ってきて」

特別才能があるわけでもなく、私がいくら頑張っても、カカシ先生と同等の忍びにはなれない。
仕事で力になれないのならせめて、任務で負った傷を癒せるようになりたい。
頑張るから。
先生がどんな怪我をしても治せるよう、沢山勉強するから。

だから。

 

 

「生きててね」

 

他に、何もいらない。
それだけが、私の願い。


あとがき??
1とセットで読んでね。
続き(本編)はサクラの不安が的中してとんでもないことになるんですが、それはまた別の話。


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