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先生とペット
「サクラーーーvvv」
「ギャーーーー!!!」
突然後ろから抱きつかれたサクラは、当然のように絶叫した。
その正体が自分の担任だということはすぐに分かったが、だからといってビックリしないはずがない。「サクラ、久しぶりーvv」
「き、昨日も会ったでしょ!!」
「相変わらず、可愛いなぁv」
サクラの主張をまるで無視し、カカシはサクラに頬擦りをする。
サクラは何とか逃れようと必死に暴れているが、体格の差か、全く効果はなかった。「毎日毎日、よくやるよ・・・」
しみじみと呟くナルトに、傍らのサスケも大きく頷く。
二人にとって、すでに日常となっている光景だった。
「お前、小さい頃猫とか犬とか、ペット類を可愛がりすぎてノイローゼにしていなかったか?」
任務終了後、サスケは肩を怒らせながら帰路につくサクラを眺めながら訊ねる。
振り向いたカカシは、これ以上ないほど目を見開いていた。「な、何で知ってるんだ!!?」
驚愕のカカシを前に、サスケとナルトは全く同時にため息をつく。
「・・・・やっぱり」
「サクラの入院も間近かもな」
「静かねぇ・・・」
「そうだな」
「平和だってばよ」
春の穏やかな日差しを浴びながら、7班の下忍達はのんびりとした口調で言う。
「みなさーん、休憩時間はもう終わりですよー」
「はーい」
いつもなら、しぶしぶといった様子で立ち上がる彼らも、今日は晴れやかな笑顔で上司に従う。今日の7班の任務は、ある屋敷の草むしり任務だ。
下忍達の指導をしている上忍は、カカシではなかった。
特別上忍の、月光ハヤテ。
カカシは火影から下されたAランク任務で、里を離れている。
その間の、臨時講師だ。「ずっとハヤテさんが先生だったらいいのに」
サクラの呟きに、他の二人も同意した。
彼ならば、カカシにようにサクラにまとわりつくこともなく、始終いかがわしい本を見ることもなく、遅刻もせず、言葉遣いも丁寧で、下忍達を何かと気遣って雑用の手伝いもしてくれる。
まさに理想の上司だ。
3人がむしった草をゴミ袋に詰めていると、何か難しい顔をした中忍がハヤテを呼びにやってきた。
険しい表情で立ち話をする二人を横目に、ナルト達も不安げな顔になる。
「何かあったのかな」
「・・・悪いことじゃなきゃいいけど」
そう話していた矢先に、ハヤテはくるりと振り向いてサクラを手招きした。「サクラさん」
「はい?」
「今すぐ、カカシさんの家に行ってください」
「え!?カカシ先生、里に戻ってきてるんですか」
目を丸くしたサクラに、ハヤテの表情は曇った。
そして、サクラから僅かに視線をそらし、歯切れ悪く声を出す。
「ちょっと、任務続行が困難な状況になって、里に戻ってきたんです・・・・」
意表をつく言葉に、サクラの顔からは血の気が引いていった。
よほどの重傷を負ったのか、突然の病か。
どちらにせよ、任務を放棄して里に戻るとは、尋常ではない。
伏し目がちに語るハヤテの様子が、サクラの不安にさらに拍車を掛けた。「す、すぐ行きます!」
「俺達も・・・」
駆け出したサクラに続こうとしたナルト達を、ハヤテは腕を掴んで止めた。
「君達はいいです」
「え??」
「たぶん、邪魔ですから」
サクラはハヤテに手渡されたカカシの住所を頼りに、彼の家を探し当てた。
呼び鈴を押してみたが、人が出てくる気配はない。
思い切ってノブを握ると、それは易々と横に回った。
不用心にもほどがあるが、それほど家主に余裕がない状況ということか。「カカシ先生、生きてる!?」
ずかずかとあがりこんだサクラは、床に倒れ込むカカシを発見した。
「先生!!」
叫び声をあげたサクラは、すぐさまカカシに駆け寄る。
息はしているが、意識はない。
だが、見たところ目立った外傷はなかった。「し、寝室はどこかしら」
カカシを運ぶためにも、サクラは目に付く扉を開けて回る。
トイレ、バスルームに続き、一番奥まった場所にある扉を開いたサクラは、ノブに手を置いたままの格好で硬直した。
出迎えたのは、写真を引き伸ばして作ったと思われる、サクラの等身大パネル。
それ以外にも、サクラの写真がいろいろと額に入れて飾られている。
この部屋の存在にうすら寒いものを感じたサクラはとっさにユーターンをしようとしたが、何か大きなものに阻まれその場に尻餅を付いた。
まず見えたのは、人の足。
怖々と視線を上げていったサクラは、幽鬼のような顔で佇むカカシに引きつった声を出す。「か、か、か、カカシせんせ・・・・」
「サクラー!!!」
「ギャーー!!!」
抱きつかれたサクラは、いつものように甲高い悲鳴をあげる。
さらに一週間分の抱擁のせいか、腕の力も全く加減がない。「く、苦しい、先生。苦しいってば!!!」
「俺がいない間に怪我したり病気したり誘拐されたりしなかったかー」
「せ、先生」
「サクラの身に何かあったらと思って、気が気じゃなかったよ」
「ぐるしぃ・・・・」歓喜の声をあげるカカシとは反対に、サクラの声は段々と力を失っていく。
なおも喋りつづけるカカシが失神しているサクラに気づくのは、それから10分ほど後のことだった。
「何でも、目的地につくなり寝込んでしまって、任務どころじゃなかったらしいですよ。「サクラー、サクラー」と譫言を繰り返して」
「・・・世も末じゃ」
火影はその名を他の里まで轟かせた優秀な上忍の末路を心底嘆いた。
「まぁ、サクラさんを宛っておけば、彼ももう少し働きますよ」
「そうじゃのう」
「そうだ。次、カカシさんが里を離れる任務あったら、サクラさんもオプションで付けてもらいましょう」
「うむ」
ハヤテの案に、火影もしっかりと頷く。
そのころ、クシャミを繰り返したサクラは、自分の未来に暗雲が立ちこめていることにまだ気付いていなかった。
「サクラ、風邪かー??」
「分からないけど・・・先生、私もう帰りたい」
「まだまだ!せっかくサクラが来てくれたんだから。着て欲しい服、沢山用意してあったんだ!!」どこから入手したのか、メイドや看護婦のコスチュームを手に持ったカカシは熱く主張した。
背中に羽を付け、天使の格好をしたサクラは、もう二度とカカシの家に寄り付かないことを心に誓う。
デジカメを手にしたカカシによる撮影会は、まだまだ終わりそうになかった。
あとがき??
こんなカカシ先生嫌だなぁ。サクラはすっかりカカシ先生の愛玩動物。
全体的に、『ハチミツとクローバー』ですね。
カカシ先生は森田さん+花本先生、サクラははぐちゃん。
カカシ先生の家の間取りは忘れてください。(笑)
うちのサイトでは三代目もハヤテさんも生きています。
春に書いたらしいです。
妙な駄文ですみません・・・。