お花屋いのちゃん


「最近、全然ダイエットができなくて・・・・」

サクラはしくしくと涙しながらレジのいのに話しかける。
店内には何人かの買い物客がいたが、サクラの涙は止まらなかった。
「営業妨害よ」
花屋の店番をするいのは顔をしかめていたが、さすがにサクラを店の外に追い出すことはできない。

「何、ダイエットに失敗した話?」
「違うわよ!ダイエットができないの!!」
サクラは強くいのの言葉を否定する。
「カカシ先生の家に遊びに行くたびに物凄い量の手料理を食べさせられて、体重は増加の一途よ」
「・・・・食べなきゃいいじゃん」
「いのはカカシ先生の料理食べたことないからそんなこと言えるのよ。すごーーーーーーく、美味しいんだから」
「・・・・行かなきゃいいじゃん」
「だから、料理が美味しいんだってば!」
サクラは語調を荒げた。

「毎回毎回、凝った演出があるし。本物のイリオモテヤマネコやヤンバルクイナが現れたときは度肝を抜かれたわよ!」
「・・・・・」
カカシの家の食事会がどんなものなのか想像ができず、いのは無言になる。
だけれど、もともと得体の知れないカカシのやることだからと、妙に納得してしまう自分が嫌だった。

 

 

散々不平をもらしたあと、サクラは申し訳程度に安い花を買って帰っていった。
これからまたカカシの家に行く約束があるというのだから、行くのを嫌がっているのか喜んでいるのか全く分からない。
そして、サクラと入れ違いに店にやってきたのは、当のカカシだった。

 

「カカシ先生、最近お料理学校に通ってるって、本当―??」
「耳が早いね」
「サクラに食べさせるため?動物も、サクラを呼ぶために連れてくるの?」
しつこく訊ねるいのに、カカシはただ微笑を返す。
何も言わないのは、肯定したも同じだ。
花の入った水桶からいくつかピックアップしたカカシは、いののいるレジまでそれを運んでくる。

「天然記念物を持ち出したら火影さまにどやされたから、今度はお花でせめてみることにしました」
花を両手に抱えたカカシは、にこーっと笑う。
可憐な花が似合うのは、一般的に女子供だ。
だけれど、カカシのその仕草は不思議と可愛らしく見えて、いのはサクラがカカシの家に通う理由が少し分かった気がした。

 

「何でそんなに一生懸命なの」
「サクラ、いつも無理なダイエットばかりして心配だから。それに、沢山食べて早く大きくなってもらわないと困るんだ」
「成長が縦じゃなくて横方向にいったら、どうするつもり」
花を包みながら、いのは意地悪く質問する。
だが、カカシはまるでひるむことなく、笑顔のままだ。

「愛があるから、平気」


あとがき??
タイトルは『カレー屋けんちゃん』のノリなのだが、誰が分かるのか。
近頃、カカサク書くといのが登場するな。いろいろ助けてもらってます。
有難う、いのちゃん。『お花屋いのちゃん』シリーズ化か?

二人が両思いか先生の片思いかは微妙ですが、サクラは順調に餌付けされているようです。
うちのカカシ先生は、たぶんずっと可愛い路線。
天然記念物を持ち出しても、可愛いから許されるのです。(笑)大好きです。
お料理教室ではマダム達に大人気っぽいわ。
カカシ先生といのちゃんは仲良しな設定。昔は、サクラを取り合って一触即発な仲でしたが。


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