天上の恋 地上の愛 T


任務終了後、サクラは調べものをするために、図書館に向かっていた。
暦では初夏だが、日差しはすでに夏本番という感じだ。
額からは汗が流れ落ち、日の光が肌を刺すように照りつける。
その日にかぎって日焼け止め対策をしていなかったサクラは、気にするように腕をさすりながら歩く。

 

「エヴァ」

呼ばれて、サクラは振り返った。

サクラは首をめぐらせたあとになって、ようやく気付く。
それは確かに女性名だったけれど、自分の名前ではなかったことに。
だけれど、声は自分を呼んでいるのだと、はっきりと感じた。
見るとサクラと同じくらいの年齢の少年が、彼女に微笑みかけていた。

「やあ、上手く化けたもんだね。すっかり人間らしくなっちゃって」
親しげな様子で自分に話し掛ける少年に、サクラは眉をよせる。
人違いをしているのだろうか。
言っている言葉も意味不明だ。
「・・・・あんた誰?」

少年はサクラの言葉に仰天したようで、手を上げて大仰に“驚いた”というポーズをしてみせた。
「え、本気で言ってるの?」
「・・・・」
訊ねる少年に、サクラは無言の返事をかえす。
金髪碧眼の美少年。
全く見たことのない少年だった。

 

見たことのない少年。

見たことのない。

見たことの。

ない?

 

違う。

見たことくらいはある。

いや、彼のことをよく知っている。

 

段々と頭が混乱してきたサクラは呆けたように立ち尽くす。
「僕の姿が見えるってことは、間違いないはずだけど・・・」
ぶつぶつと呟いて考え込んでいた少年はサクラに向き直る。
「ちょっとごめんね」
言いながら、少年はサクラの額に軽く人差し指で触れた。
そのまま、とんっと軽く力を込める。

歪む、視界。
微笑みを浮かべる少年を見た瞬間、サクラは思い出した。
彼の名前を。

「アダム・・・」

呟きと同時に、サクラの意識が途切れた。

 

 

「あれ?」
任務の報告書を提出したあと、カカシは道端でうつぶせに倒れこんでいるサクラを発見した。
炎天下で通行人は極少だ。
幸いなことに、倒れたサクラの第一発見者はカカシだった。

「何であんなところで寝てるんだ。あいつは」
テクテクと歩み寄り、声をかける。
「おい、こんなところで寝てると誰かに踏まれるぞ」
だがサクラはぴくりとも動かない。
「日射病か?」
抱き起こすと、サクラの顔は青白く、天候に関係なく身体は氷のように冷たかった。
この時になって、カカシは初めて異常事態に気付く。

「息・・・してない」

カカシの身体からは一気に汗がひき、背筋の凍るような気持ちになる。
とっさに口から出た自分の言葉が信じられない。

 

サクラの心臓は停止していた。


あとがき??
変なところで切ってしまって申し訳ないですーー!!(>_<)
後編は「え、これ元はNARUTOなの?」ってくらいパラレル大爆発なので、覚悟しておいてくださいー!
オリキャラがー、オリキャラが出張ってるー。
リク作品は優先的に書いていますので、今週、無理なら来週に続きを!
お待たせして、済みません!!

非情に暑かったので、自然に季節を夏にしていた。暑い・・・。
きっと冬だったらサクラちゃんは雪の中で倒れてました。それって遭難??


駄文に戻る