パニック・ルーム


7班の任務はお休み。
理由は、担当教諭であるカカシが病で倒れたから。
とはいっても、病名は、風邪。
この何日か調子の悪い様子だったが、その日はついに起き上がることができなかったらしい。
伝令を伝えに来た中忍に、サクラは訊ねた。
カカシの病状と、彼の住所を。

 

これは、ビッグチャンスだわ。

サクラは不敵な笑みを浮かべながら道々を歩く。
いかにも、悪巧みをしているという顔で。
サクラの頭には、すでに何通りものシチュエーションが浮かんでいる。

病で弱っているであろうカカシ。
そこに付けこみ、今日こそものにするのだ。
彼のハートを。

 

呼び鈴を鳴らしても、中からの反応はない。
それほど悪いのだろうか。
サクラが顔を曇らせるのと同時に、開く扉。

「・・・はい」
弱々しい声音と共に現れた人物に、サクラは目を丸くして立ちすくむ。
スウェット姿のカカシ。
額当てもマスクも装備していない。
当たり前のことだが、普通の男の人だ。
普段の見かけが怪しいだけに、何だか新鮮な感じがする。

「先生、何で顔隠してるの。男前なのに」
ぼーっとした顔のまま言うサクラに、カカシは頬を緩ませた。
「お前、何しに来たんだよ」
「お見舞い」
「だったら、もっとそれらしいこと言え」
カカシはサクラの頭をはたくような動作をしたが、当然のことに全く痛くはなかった。

 

「えへへ。先生に私の特製おじやを食べてもらおうと思って、材料買ってきたんだ」
サクラは大量に買い込んできた食材の袋をカカシに見せる。
何とか追い返そうとしたカカシを押し切り、サクラは部屋に上がりこんでいた。
さりげなく、間取りをチェックする。
どこかに女の陰を感じさせるものはないかと。

サクラの心配は徒労だったようで、雑然とした部屋は全く女気がない。
おそらく、1週間以上はまともに掃除をしていないと思われる。
飾ってある写真にも、格別親しい様子の女はいなかった。
サクラは「よしよし」というように、一人満足げに頷く。
「何してるの。キッチンはあっちだよ」
カカシは不思議そうにキッチンの方角を指差した。

 

「完成だわ!」
1時間も格闘した末に、それは完成した。
家族が病を得た際にも何度か作ったことがあるのだが、他の家のキッチンだったせいかよけいに時間がかかってしまった。
カカシは椅子に座っているのも辛いようで、リビングのソファで横になっている。
「先生、お待たせー」
サクラはてくてくとリビングまでカカシを呼びに行く。

カカシはクッションを枕に眠りについているようだ。
サクラが近づいても、全く反応がない。
ただ、苦しげな息を繰り返している。
本当に病が重いのか、サクラの存在に安心しているかのどちらかだ。

「先生」
起こすのも悪いかと思ったが、食べてもらわないことには来た意味がないし、早く治らない。
サクラはソファの傍らに座り、カカシの肩をゆする。
「ん」
目覚めたカカシは、額に手をやり、眩しそうに目を細めた。
暫らく目をしばたたかせてサクラを見やる。

「・・・サクラ?」
ごく近い目線で、カカシは呟くようにして言った。
熱で頭が混乱しているのか、どうしてサクラがこの場所にいるのか、分からない様子で。
だが、サクラの方も負けずに、頭の中を混乱させていた。

高熱のせいか、潤んだ瞳で見詰めてくるカカシ。
上気した頬と甘い声。
力の無い、ぐったりとした身体。
平常時なら、絶対に見せないそれらの姿。
サクラはごくりと唾を飲み込む。

 

ビッグチャンス!!!

 

サクラはがっしりとカカシの肩を掴むと、上からカカシを見下ろす格好となった。
「先生。汗かいてるみたいだから、服、変えましょ」
「え、おい、ちょっと・・・」
言うが早いか、カカシの抵抗も何のそのでサクラは上着を脱がしていく。
目を輝かせたサクラは、カカシの制止の声も耳に入っていないようだ。
「大丈夫。私にまかせておいてよ」
意味不明の言葉と同時に、サクラはさっさと脱がした服を放り投げる。

意識が朦朧とする中、このときカカシはある言葉を思い浮かべたという。

 

貞操の危機。

 

 

「サクラちゃんのおじや、美味しかったってばよ」
「あんたのために作ったんじゃないわよ。あんたがばくばく食べるから、肝心のカカシ先生の分がなくなっちゃったでしょ」
サクラは頬を膨らませて文句を言っている。
しかし、ナルトは全く反省していない様子でにこにこと笑っていた。
「いや、ナルト、来てくれて有り難かったよ。本当に」
カカシは何故か語調を強くして汗をかいた。

あれから。

サクラがカカシのスウェットの下を脱がそうとした直前に、来訪者を知らせるチャイム音が鳴ったのだ。
一度は無視しようとしたが、それは連打された。
おかげでサクラは作業を中断せざるえなかった。
カカシの安堵がいかばかりのものだったか、ここで筆記することはできない。

 

病のカカシに長居をするのも迷惑と、サクラとナルトは玄関までやってくる。
靴を履いている二人に、見送りのカカシは声をかけた。
「また来いな、ナルト」
「先生、私は?」
サクラがすかさず食いつく。

微妙な間を空けてから、カカシは言葉を続けた。
「サクラも、な」
どこか視線をそらしたカカシに、それでもサクラはにっこりと微笑んだ。
天使のような微笑。
その裏には、悪魔の思考。

 

まだまだ、勝負はこれからだ。
チャンスはいくらでもあるのだから。


あとがき??
す、す、す、すみませんーーーーー!!!こんなアホな駄文をーーー!!おおー!
サク→カカが書きたかったのですわ。
あと、カカシ先生を押し倒すサクラちゃんが。(^_^;)
た、楽しかったです。とっっても。はい。(汗)
ラブラブより、こーゆーノリの方が好きかも。(駄目人間)

続き、書きたいな。まぁ、ご要望があれば。
カカシ先生総受けとかね。(笑)


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