それは何かと訊ねたら
「サークラv」
名前を呼ばれるのと同時に、唐突に後ろから抱きすくめられる。
しかし、サクラは全く動じなかった。
声の主は彼女がよく知る人物だったから。
何よりも、慣れていたからだ。
サクラではなく、彼女と並んで歩いていた友人の方が驚いている。「・・・先生、苦しい」
「先生はあったかいよ」
不機嫌そうに声を出すサクラに、彼女の担任のカカシはふてぶてしく言う。
「離れてって言ってるのよ!!」
サクラががなりたてながら腕を振ると、カカシは名残惜しそうに彼女から手を離した。
「・・・サクラ、冷たい」
「私は先生のカイロじゃないの!他をあたってよね」
冷たく言い放つと、サクラは友人の腕を引いて歩き出す。「いいの?」
友人はしょんぼりとしたカカシの後ろ姿を振り返りながら心配げに声を出した。
「平気よ。明日にはけろりとしてるんだから」
サクラは取り付くしまも無い。
こうしたことはサクラにとって日常茶飯事だ。
普段から、何かにつけカカシはサクラに触れてくる。
頭を撫でることだったり、手を引いて歩くことだったり。
今日も休日だというのに、街で友人を連れ立ったサクラを見かけてちょっかいを出しに来たのだろう。だがサクラの方は「いい迷惑だ」という感想しかない。
イライラの種だ。
サクラにも、下忍とはいえ、忍なのだという自負はある。
それを、まるで子ども扱いされているようで気分が悪いのだ。
「カカシ先生―。ラーメン食べに行かない?」
翌日の任務終了後、カカシに飛びつくナルトの姿がサクラの目端に入った。
サクラに振られたことで、カカシを誘うことにしたしい。
ナルトは昔から人にくっつくのが好きだ。
アカデミー時代から、担任のイルカによくひっついていたのをサクラは覚えている。
自分には関わりのないこととその場を離れようとしたサクラの耳に、カカシの声が届く。「おい、離れろ」
その言葉に、サクラはぴたりと足を止めた。
振り返ると、面倒くさそうにナルトを引き剥がすカカシと、すねるナルト。
眉を寄せたサクラはそのままUターンし、カカシに歩み寄る。「カカシ先生・・・」
「ん、何だ」
まとわりついてくるナルトを追い払っていたカカシは、自分を見上げてくるサクラに打って変わった笑顔を向ける。
間をおかず、サクラはカカシに抱きついて背に手を回した。
いつもカカシがするように、ぎゅうと力をこめる。
驚愕しているナルトが視界の隅に入ったが、あまり気にしなかった。「どうした?」
カカシは優しく言うとサクラの肩に手を置く。違和感。
瞬間、サクラはパッとカカシから手を離した。
「変!」
きっぱりと言い切る。
「先生、ナルトがくっつくと嫌なの?」
「ああ、人の体温って苦手なんだ。だから、他人に触られるのも触るのも嫌な方かな」
「私はいいの?どうして」
真剣に訊いてくるサクラに、カカシはにっこりと笑って一言。「サクラだから」
カカシの返答に、サクラはまだ納得いかないように首を傾げた。
子供扱い、というのとはまた違う。そういう“特別”って、何て呼ばれるモノだろう。
あとがき??
ナルトが飛びついたときカカシ先生が「よせ」って言っていたような覚えが。
サクラだったら、どんな対応かなぁと思いまして。ハハ。
ああ、タイトルの続きはきっと「“恋”と呼ばれるものです」と答えるのが正解ですよ。
サクラが女生徒だからってのも有りか。(笑)
途中から無視されまくってるナルトが憐れ。彼らの傍らにいるんですが。一応。
更新するブツがないので、急ごしらえ。全てが適当―な話。
ちなみに、触られるのが嫌なのは私。触るのは平気。(笑)くっつき魔。って、これ書き終えた直後にこんなトロメールが!
『カカシにギューっとだきしめてもらいたい?』 ((注)脚色してません)
なんてタイムリーなんだ!!!してもらいていですーーーー!!
というか、夢でならギューってしてもらいました。(笑)ちなみに、私はサクラ嬢になってました。(あつかましい)