baby beby ⅱ
早朝、サクラが７班の待ち合わせ場所に来ると、珍しくもカカシが姿を見せていた。
げっそりと、やつれた顔で橋の袂にあるベンチに腰掛けている。
赤ん坊を背負って。
それまでのカカシのイメージを覆すその姿に、サクラは思わず吹き出しそうなった。「おはようございます」
「・・・おはよう」
朝の挨拶を交わし、サクラはカカシの傍らに並んで座る。
「今日は早いんですね」
「赤の夜泣きが凄くてね。一睡も出来なかった。ようやく眠ってくれたと思ったら、この時間だよ」
「それは、大変でしたねぇ」
人ごとらしく、サクラは明るく言う。カカシが恨みがましい視線を向けたが、不平を口にするだけの体力がなかった。
何しろ、赤子の世話というのは非常に疲れるものなのだ。
普段身体を鍛えているとはいえ、使う体力の種類が全く違う。
「何で俺がこんな目に・・・」
さめざめと言うカカシに、サクラはちらりとだけ同情を含んだ顔をした。
「でも、任務に赤ん坊なんて連れてきて平気なの？」
「家に置いてくるわけにいかないし。今日は草むしり業務くらいだから、大丈夫だろ」
眠っている赤子を起こさないよう、二人は小声で会話をする。
自然、顔を近づけて話していると、ふと、前方に人の気配を感じた。
顔をあげると、サスケとナルトが揃って立っている。「おはよう。ナルト、今日は遅刻しなかったのね」
「・・・・」
サクラは朗らかに声をかけたが、ナルトは無言のままだ。
いつもならサクラの顔を見るなり満面の笑みを浮かべるというのに。
「ナルト？」
サクラが訝ると、ナルトは震える声で答える。
「いつかは、こんな日が来るんじゃないかと思ってたってばよ・・・」何だか、どこかで聞いたフレーズだなぁ、とカカシは思う。
「サクラちゃん、いつの間に子供なんか」
「は？」
言われた意味が分からず、サクラは眉をひそめる。
一方、サスケはカカシが背負う赤子からサクラに視線を移し、追い打ちを掛けるように呟いた。
「・・・お前、腹が目立たないタイプだったんだな」
二人に対し、サクラの張り手が飛んだのは３秒後のことである。
「これよ！！」
頬を腫らした二人に、サクラは例の手紙を突きつける。
『あなたの子です。大切に育ててください』
そして文面の片隅に、『マサカズさんへ』と記されていた。
「マサカズ？」
誰、という表情のナルトに、カカシはため息混じりに答える。
「前の住人らしいよ。俺はあの家に引っ越してきたばかりだったからな」つまり、人違いということ。
名前部分があまりに小さい文字で書かれているのと、本文のインパクトに最初はうっかり見落としていたらしい。
マサカズという名の人物は消息不明で、目下捜索中だ。
母親の所在も分からず、カカシは一人で子育てを余儀なくされている。「全く。どうして私が子持ちに見えるのよ！」
サクラは未だ肩を怒らせている。
失言を反省するサスケとナルトに、サクラはきっぱりと言い放つ。
「大体、カカシ先生に隠し子がいるはずないじゃない。私は最初から先生を信じていたわよ」腕組みをして頷くサクラを、カカシは半眼で眺めていた。
あとがき？？
おかしい。なかなかほのぼのにならない・・・・。というか、遠のいてる？？
私なりにほのぼのなんですが。予想外に長くなってるし。あれ？
ちなみに、カカシ先生は“赤子”を“赤”と呼んでます。名前分からないから。（単純）同じような赤子ネタは以前にも書きました。
未発表ですが、そのうちアップしたら似たようなシチュエーションだなぁと思っておいて下さい。