after school 1


「先生。今日も先生の家に行っていい?」
「いいよ」

任務終了後、私の申し出を、先生は快く承諾してくれた。
このところ、私は毎日カカシ先生の家に入り浸っている。
理由は、家にいると母が家の手伝いをしろと煩いから。
先生の家にいれば、何も言わなくてもお菓子やお茶が出てくるし、小言は言われないし、面白い本が沢山揃ってる。
先生はいっつもいやらしい本ばかり読んでいるから、そういった系統の本しかないのかと思ったら、意外なことに真面目な本が殆どだ。
術に関する蔵書はなまじ小さな図書館より揃ってるくらい。

それに、先生は私が何をしても、怒ったりしないから気が楽。

「ちょっと今日は寄るところあるから、先行ってて」
言いながら、カカシ先生は私に自宅の鍵を放ってよこす。
放物線をえがくそれを見事キャッチし、私はにっこりと笑った。
「ん。美味しいお茶入れて、先生帰ってくるの待ってるね」
半ば居候と化しているだけに、さすがにそれぐらいはするべきかもしれない。
私が初めて先生に貢献するようなことを言ったせいか、カカシ先生も笑顔を返してくれた。

 

 

スキップをしながら、いつもの道を軽やかな足取りで歩く。
そして、先生の家の前までやってきたとき、私は足を止めた。
ロングヘアの若い女性が一人。
カカシ先生の家の前に佇んでいる。

「・・・あの、この家に何か御用ですか」
私が訝しげにその女性に近づくと、俯いていた彼女は顔をあげた。
服のセンスもよく、なかなかの美人だ。
そして、ある可能性に、私はポンと手を叩いた。
「もしかして、カカシ先生の彼女さん?」

曖昧な表情をしている彼女に、私はそのまま笑って話し掛けた。
「今、先生帰ってくると思いますよ。私鍵預かっているんで、先に上がって待ってましょうか」
私は取り出した鍵を彼女に見せる。
彼女は何か驚いた顔をしていたけれど、私はかまわず扉に鍵を差し込んだ。

 

「サクラ」
ちょうど鍵が開いた瞬間に、名前を呼ばれる。
見ると、遅れてきたカカシ先生が立っていた。
「先生」
思わず笑みを浮かべた私だけれど、カカシ先生は何故か表情を強張らせている。
その視線をたどると、どうやらカカシ先生は彼女を見詰めている。
「先、入ってろ・・・」
私に近づいたカカシ先生は私の頭を押して中に入るよう促した。

カカシ先生の言葉に従い扉を開きながら、後ろの様子を窺い見る。
ちらっと見ただけだけど、二人は何かもめているように見えた。

喧嘩でもしたのかな。

 

 

そんなに時間をかけずに、カカシ先生は家に入ってきた。
どこか、疲れたような表情で。

「先生、いいの?あの人、先生の彼女でしょ。私が来たせいで追い返したんなら、私、今日は帰るけど・・・」
ソファに座って本を読んでいた私は心配げに話し掛ける。
「・・・それだけ?」
私の傍らに座った先生は、変に恨めしげな目線を私に向ける。
その意味が分からず、私は素直に彼女について思ったことを口にした。
「綺麗な人だったよね。どこで知り合ったの?」
カカシ先生がずっこけたように見えたのは気のせいだろうか。

「それにナイスバディだったよね!化粧品どこの使ってるのか知りたいんだけど!!聞いてくれる?」
興奮する私と反対に、カカシ先生の表情は妙に冷めている。
というより、怒ってる、ように見える。
「先生?」
その場の空気を察し、私は訝しげに訊ねる。

何か、変なことを言っただろうか。

 

「サクラ」
私に向き直ったカカシ先生は珍しく真剣な表情をしていた。
その顔は額当てを取り、マスクもしていない。
そうしていると、5つは若く見える。

先生って、意外に睫毛長い。
左右違う目の色も魅力的だし。
普段から素顔を出していたら、もっと女の人にきゃーきゃー言われるんだろうなぁ。
何でマスクなんてしてるんだろう。

 

などとよけいなことを考えていた私は、カカシ先生の顔が不自然に近づいているのに全く気付かなかった。
先生の唇が私の口をふさいでも、まだ私は何が起きたのかよく分かっていなかった。


あとがき??
・・・・裏行き?
いえ、いえ。少女漫画を目指しているらしいので、それはないかと。ご安心を。(?)
カカシ先生、片思いか。
なんか、こういったシチュエーションは初めてかも。意外に。
にぶにぶカカシ先生は山ほど書いたけど。

本当はルナミで書こうと思っていた話。
ルナミはルナミで書くかな。似た話になっちゃうけれど。
というか、ルナミの方がエッチくさい。


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