蛙と蛇と蝸牛


その日の7班は任務はなく、体術の特訓で午前中が終わった。

「サスケくん、約束どおりお弁当作ってきたから、一緒に食べよ」
各自持ってきた昼食をとるようにとカカシが指示を出した後、サクラがサスケに声をかける。
サスケはちらりとサクラに視線を向けると「ああ」と頷いた。
その様子をナルトはあんぐりと口を開けて見ている。

(二人ともいつの間にそんな仲になったんだってばよー!)

これは昨日サクラがサスケの分からない問題を教えた時に出した交換条件だったのだが、そうとは知らないナルトはあまりの衝撃に二人に声をかけることもできない。
そんなナルトとは対照的に、カカシは木陰に移動しようと並んで歩くサクラとサスケの間に体を割り込ませた。

「先生もまぜて」
「・・・」
「もー、先生、邪魔しないでよー」

(サクラ)カカシ先生ったら、私がサスケくんといる時にかぎっていっつも邪魔して!絶対先生もサスケくんを狙ってるのよーー!!負けないからね!!
(カカシ)うちの班の子は皆可愛いねぇ。特にサクラはからかいがいがあって非常に楽しい。好みの女の子がいる班を担当できて良かったなぁ。幸せ幸せ。
(サスケ)・・・うざい。

サクラの鋭い視線をカカシは全く意に介した様子はない。
三人と、哀れ取り残されたナルトはそれぞれの場所で弁当をひろげた。
サクラとカカシが冷戦を繰り広げるなか、サスケは一人もくもくと食事を続ける。

「ちょっと先生、さっきから断りもなしにぱくぱく食べてるけど、これはサスケくんのために作ってきたんだからね!」
「美味しいよ」
「当たり前じゃない。5時起きして頑張って作ったんだから」
カカシの誉め言葉に、サクラはまんざらでもなさそうな顔で胸を張る。
「だいたい先生のところには作りに行ってあげてるでしょ。少しは遠慮してよ」
サスケがその言葉にわずかに反応する。
急に視線を向けられたサクラは不安な表情をしてサスケに訊ねた。
「なに、不味かった?」
「いや、そうでなくて」

(サクラ)カカシ先生が美味しいって言ってくれるから安心してたけど、本当はそうでもなかったのかなぁ。ガッカリ。
(カカシ)おお。サスケの奴が動揺している。なんだかんだ言って、結構サクラのこと気に入ってるんだな。面白い。もっと反応見てみよう。
(サスケ)作りに行ってるってどういうことだ?

気まずい雰囲気の流れる中、カカシだけが笑顔だ。
「サクラ、口の端についてるぞ」
「え」
サクラが反応するよりも早く、カカシがサクラの顔をペロリと舐める。
「ごちそうさま」
カカシはいけしゃあしゃあと言ってのけた。
目の前で行われたその行為にサスケの動きは完全に止まってしまっている。
サクラはというと、顔を赤くして半泣き状態だ。
「先生、そういうことするのやめてっていつも言ってるのに」
「ごめんごめん。もうしないから」
カカシは全く反省の色なく、サクラの頭をなでる。

(サクラ)サスケくんの前で。酷いよぅ。
(カカシ)可愛い可愛い。
(サスケ)いつも!?

「あっちは楽しそうだなぁ」
それぞれの胸のうちも知らずに、ナルトは遠巻きに三人を眺めながら呟いた。


あとがき??
サクラちゃんは自分の言葉でどんどんどつぼにはまってます。(笑)
サスケくんの前じゃなきゃ良いってことでしょうか。ハハハ。
さりげなくカカサクチックだなぁ。サスサク??
蛙と蛇と蝸牛(カエルとヘビとカタツムリ)はいわゆる三竦みってやつですね。
続き書きたいかも。


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