Reserve 1


「ナルト、こっち」
手を振るサクラを見つけ、ナルトは急いで駆け寄る。
「待った?」
「ううん。今来ところよ」
にっこりと微笑むサクラの向かいの席に座り、ナルトの心は浮き立っていた。
まるで恋人同士の会話のようだ。
サクラはすでに人妻だったりするのだが、まだ10代のサクラは全く所帯じみていない。
彼女を見て、すでに結婚していると分かる者はいないだろう。

「何、話って?」
給仕にコーヒーを注文すると、ナルトは早速訊ねる。
平日の昼間、ナルトは突然サクラに呼び出された。
サクラの声を聞くなり、ナルトは任務の報告書作りを放り出して、彼女の待つ茶店へと向かった。
ナルトが勝手にカカシ宅を訪問することはあっても、彼女の方から連絡があるのは珍しい。

「うん。仕事忙しいのに、突然ごめんね」
「いいんだよ。サクラちゃんの呼び出しなら、どこにいても駆けつけるって」
真顔で言うナルトに、サクラはくすりと笑う。
「有難う」
照れて頭をかくナルトに、サクラはさっそく本題に入った。

 

 

「ショックだ・・・」
ナルトは落ち込んでしまって机に突っ伏している。
わざわざナルトを呼び寄せてのサクラの報告は、懐妊の知らせだった。
日頃何かとサクラの力になっているナルトには、いち早く教えようと思ったらしい。

「本当、ひどい話よねー。いくら夫婦でもやっていいことと悪いことがあるわよ」
「・・・・夫婦はやっていいんだよ」
不服そうないのに、シカマルがすかさず突っ込みをいれる。
「ちょっと、注文した料理はまだ!?」
チョウジはナルトのことなど気にせずウェイトレスをせっついている。
場所は木ノ葉酒屋、落ち込んだナルトを励ますためにアカデミーの同期である元10班が集まっていた。

いのがいくら進めても、ナルトは酒を口にしようとしない。
ただ、しくしくとだらしなく涙を流すナルトを、シカマルは半眼で見詰めている。

 

「お前な、いつまでもうじうじと、うっとおしいんだよ。いいかげん諦めろ。子供も出来たことだし、あの二人を祝福しようって気持ちにならないのか」
「ううっ」
肩を叩くシカマルに、ナルトは涙声をあげた。
「それが駄目なら・・・」
シカマルは一度間を空けて言葉をためる。
「サクラを奪っちまえ!」
傍らで二人の話を聞いていたいのは、思わず酒を吹き出した。

「大体、生徒のサクラに手を出すなんて、教師としてルール違反だろ。サクラだって、逆らうことが出来なかったのかもしれない。現にあいつは昔、サスケのことを好きだった」
「・・・・」
「サクラは、本当はお前の助けを待っているのかも・・・」

 

シカマルの言葉の途中で、ナルトはおもむろに立ち上がる。
酒も飲んでいないのに、ナルトの目は据わっていた。
いのは初めて見るナルトの険しい表情に、目を丸くする。
「行って来る」
決意みなぎる瞳で言うと、ナルトは強気な足取りで店を出ていった。

「・・・行くって、どこに」
「決まってるじゃねーか。まぁ、旦那も家にいるんだから大丈夫だろ」
シカマルは我関せずとばかりに酒をあおる。
いのは僅かに眉をひそめると不安げな眼差しをシカマルに向けた。
「・・・カカシ先生、任務で里にいないんだけど」
「・・・・・」
「お姉さん、唐揚げおかわりーー!」
チョウジはメニューを片手に大きく呼び掛けた。


あとがき??
楽しいです。楽しく書ける駄文はいいですねv
『あねさんは委員長』に出てくる、竜崎くんのお母さんの話をやりたかったんですよ。
何気に『ここはグリーンウッド』の蓮川くんも入ってるけど。
そういえば、10班の下忍が揃ったのって、初めて書いたかも。可愛いですね。チョウジが。

後半はちょっとだけドキドキな展開かもしれない・・・。(どんなだ)
どうでもいいけど、彼ら未成年だ。


駄文に戻る