幸せな結末
「サ、サ、サクラちゃん!!!」
看護婦に叱られながらも大急ぎで廊下を駆けてきたナルトは、扉を開くなり大きな声で呼び掛ける。
幸いサクラのいる病室は個室だったが、病院側にとってナルトが迷惑な見舞い人なことに変わりはない。「・・・ナルト、あんたは相変わらず騒々しいわね。もっと静かにできないの」
「それよりも、怪我したって、どんな感じなの!!!」
サクラの叱責は耳に入っていないようで、ナルトはベッドに走り寄る。
「別に。ちょっと油断して横腹刺されただけよ」
サクラはけろりとした顔で言ったが、ナルトの顔からは瞬時に血の気が引いた。「さ、刺された・・・」
「全然、かすり傷よ。みんなが大袈裟なこと言って入院ってことになっちゃったけど・・・って、ナルト。あんたどこに行くのよ」
途中、踵を返して病室を出ていこうとするナルトを、サクラは手を伸ばして掴まえた。
振り向いたナルトの顔には、普段の温和な表情は見る影も無い。「そいつ、俺がぶっ殺してやる!」
怒りに震える声で、ナルトはサクラのほぼ予想通りのことを言った。
ナルトの単純な思考は分かりやすくて好ましいが、時によって怖いこともある。「ナルト、私は本当に大丈夫だから。すぐに退院できるって先生も言ってるのよ」
サクラはナルトを見詰め、穏やかな口調で語りかける。
サクラの視線をまっすぐに受け止めると、ナルトは口を引き結んで傍らの椅子に座り込んだ。
「・・・・サクラちゃん」
「何よ」
「結婚しよう」唐突な申し出に、サクラはこれ以上ないほど目を見開く。
「返事は?」
とっさに声が出ず、口を大きく開けた状態のサクラに、ナルトは問い掛ける。
その眼差しは怖いほど真剣だ。
「そ、そういうのって、もっと考える時間をくれるもんじゃないの」
「そうなの?」
ナルトはきょとんとした顔で首を傾げる。
「っていうか、何で急に結婚なのよ!!驚くじゃないの」
「もっとそばにいて、サクラちゃんを守ってあげたいから。それに、忍びの仕事を続けたいのなら安全な部署に移動させてもらえるでしょ」ナルトの言うとおり、結婚すると独身者には認められなかった部署移動の届け出が本人の希望で出せるようになる。
結婚して忍びの仕事を続けるか、やめて家庭に入るか、どちらにしてもナルトはサクラの意思を尊重する考えのようだ。
「駄目?」
主人になつく子犬さながらの瞳で見詰めてくるナルトに、サクラは頭を抱える。
このようにねだられると、動物好きなサクラとしては、辛いところだ。「あんたー、私がそういう風に言われると弱いって分かっててやってるわね」
「・・・じゃあ」
「いいわよ。するわよ、結婚!」少々やけっぱちな感じだったが、ナルトは満面の笑みでサクラを抱きしめた。
「やったーーー!!嬉しい」
はしゃいだ声を出すナルトに、サクラは看護婦が怒鳴り込んで来ないかとひやひやして扉を見詰める。
サクラの怪我がなかったら、喜びのあまりそのまま役所に直行しそうな勢いだった。
「でも、私達に結婚はちょっと早くないかしら」
「そんなことないよ。子供ができたら、絶対若い両親がいいって。それに、俺早く孫の顔が見たいもん」
「・・・・孫」
あまりに気の早いナルトの発言に、サクラは唖然とする。
だが、嬉しそうなナルトを見ていると、不思議と口を挟む気が起きない。
「幸せになろうね」
ナルトはサクラの手を握ると、邪気のない笑みで告げる。
身長はとっくにサクラを追い越し、顔つきもだいぶ大人びたというのに、ナルトの笑顔は昔と全く同じだ。
今、サクラの目の前にいるのが若手忍者の中で一番の出世頭には、到底見えない。
またそうしたギャップが、サクラの目には何とも可愛く映る。退屈な入院中、孫を連れて歩くナルトを想像してみるのも、いいかもしれないと思った。
あとがき??
野原さんに私の書くナルサクは切ないと言われたので、ラブラブハッピーにしてみました。
元ネタは『TOOCA』の小雪ちゃんと奥さん。
二人の年齢は17,8歳なので、ナルトは上手くすれば40前に孫を抱けます。
私の「ナルチョ好き好きーvv可愛いーv」ってのがよく現れた話だと思います。どうもすみません。ちなみに第一子は、ナルトそっくりな男の子。
旦那もそのまんま子供な性格だし、サクラは手を焼くなぁ。(書かないけど)
カカサクだと子供は女の子。(マイ設定)
サスサクは想像不可。イノセントだから・・・・。
いや、サスケは絶対むっつりスケベーだけどね。今回、いつもより改行多くしてみました。
私、無意味に改行多いSSって嫌いなのですよ。読みにくいから。
しかし、うちの昔の駄文は行間狭すぎて読みにくかったり。(汗)
どうやって広くするか知らなかったのだ。ナルトは辛い思いを一杯したので、絶対幸せになってほしいのです。
それをいったら、サスケもだろうけど。
最初からいないのと、途中で失うのと、どっちが辛いのだろうか。