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PARTY 7 ⅰ
「おめでとうございます。今日からあなたは勇者です」
冒険はその一言から始まりました。
羊飼いの娘サクラが、城からやってきた伝令に言われた言葉です。
羊に牧草を食べさせながら昼寝を満喫していたサクラには、まさに青天の霹靂でした。
「・・・は?何のことですか」
「とりあえず、城まで来てください」
「え、ちょっ、ちょっと、羊が」
うろたえるサクラに構わず、伝令はサクラを馬車へと押し込みます。牧草地を遠く離れ、王都へと続く道のり。
変わり行く町並みを馬車から眺め、サクラはただ呆然とするしかありません。
伝令は、とにかく城に行けば事情が分かる、としか言わないのです。
たぶん、それ以外の言葉を話すことを禁じられているのでしょう。
「よく来たな。勇者サクラ」
「・・・はぁ」
王座につく火影を前に、サクラは気の抜けた返事をします。
彼女はまだ自分の身に何が起きたのか把握していません。「あの、どうして私が勇者なんでしょうか」
サクラはずっと疑問に思っていたことを訊ねます。
サクラの両親はごく普通の平民で、先祖の血筋にも勇者と名の付く人間はいませんでした。
その自分が何故勇者と呼ばれるのか、サクラは不思議でなりません。「これを引き抜いたのはおぬしじゃろ」
「あっ!」
火影の持っている剣を眼にして、サクラは仰天します。
先日、牧草地にごろついていた岩に突き刺さっていた剣、そのものです。
剣は邪魔な岩をどかしたあと、少しは金になるかとサクラが二束三文で道具屋に売ってしまったものでした。
どうしてそれが火影の手の内にあるのか。「これはエクスカリバーの剣といって勇者にしか抜けない剣なのじゃよ。まぁ、その値打ちに気付いていた道具屋が安値でお前から買い取り、高値で貴族に売って、流れ流れてここまできたのじゃ」
事情を説明され、サクラは剣の素性よりも道具屋への怒りで頭が一杯になってしまいました。
握り拳を震わせるサクラに、火影はなおも言葉を続けます。
「それで、お前を呼びつけた理由だが、魔王にさらわれた王子を助け出してきて欲しいのじゃ」
「ええ!?」
突然の大任に、サクラは耳を疑います。
勇者であると言われても、何か修行をしたわけでもなし、サクラはただの羊飼いの娘です。
ですが、火影他、大臣一同は勇者ならば何とかなると本当に信じているようです。「頼んだぞ、勇者!」
「王国の未来はお前にかかっている!!」
火影に寄り添う大臣達は口々に言います。
なんて無責任な、と思ったものの、サクラにはどうしようもありません。
剣一本と道中の路銀を持たされ、城から出されたサクラは途方に暮れてしまいました。
このままとんずらすれば、打ち首と決まっています。
彼女が生き残るためには、何としてもさらわれた王子を助け出さねばなりません。「よーやく追いついたぁー。サクラちゃんーーー・・・」
城門前で泣きそうになっていたサクラは、その声に驚いて振り返ります。
「・・・ナルト?」
サクラの眼前には杖を支えにようやく立っている少年がいました。
疲れ切った顔をしながらも、サクラと再会できたことで満面の笑顔です。
彼はサクラの幼なじみであり、賢者の家に居候している少年で名前をナルトといいます。
城に連れて行かれたサクラの噂を聞き、ヒッチハイクで王都までやってきた彼の根性は並のものではありません。
恋する力は偉大です。事情を全て聞き、ナルトは意気揚々と胸を叩きます。
「俺がついてるから大丈夫だよ」
気持ちは嬉しいですが、サクラは全く安心できませんでした。
賢者の教えを受け、ナルトは多少の術を使えます。
しかし、長い付き合いであるサクラはナルトの術がどれほど不安定なものか知っていたのです。
怪我人を治そうとして蛙の姿に変えてしまった出来損ない賢者を、どうして信用できましょう。とりあえず、今後の行き先について話し合っている二人に名乗りを上げる人間が一人現れました。
彼女はサクラ達と同じ年頃の少女です。「いのっていうのよ。勇者が来るって聞いて、ここで張っていたの。私も仲間にしてちょうだい!」
彼女はこの国の王子を知っているようで、夢見る眼差しで語ります。
「この国の王子ってもの凄い美形なのよ~。見初められて玉の輿を狙うわ」
よこしまな動機ながら、仲間が増えるのは良いことです。
サクラは自称武闘家の彼女の参入を快く承諾しました。
「あの、もし・・・・」
町はずれまでやってきた一行に、声を掛ける男がいます。
「王様から道案内を頼まれました。私も一応パーティーの一員ですので、よろしくお願いします」
ごほごほと咳き込みながら頭をさげる彼はハヤテと名乗ります。
「不慣れな土地では苦労もありますでしょう。王子をさらった魔王の城までの道のりは、私の頭の中に入っています」有り難い申し出でしたが、サクラは彼の顔を不安げに見ます。
彼の顔色は見るからに悪く、たいした戦力になるとは思えません。
いのもそう思ったのか、表情を曇らせています。
しかしただ一人、ナルトだけは興味深げにハヤテを眺めていました。
「・・・何だか、見たことのある顔」
しげしげとハヤテの顔を見ているうちに、ナルトは何やら思い出したようです。
「あ、世界魔法使い選手権で毎回準優勝になってる人だ!!サクラちゃん、ほら!これ見てよ」
どこから取り出したのか、ナルトは“魔法使い通信”7月号をサクラといのに見せます。
そこには、優勝者の陰になるような角度で、確かにハヤテが写っています。「“実力は確実に優勝できるものを持っているのに、何故か決勝で敗れる不遇の魔法使い”・・・」
「・・・まぁ、そんな風に言われていますね」
雑誌の記事をそのまま読むサクラに、ハヤテはさして感慨もなく答えます。
だけれど、サクラは輝く瞳で彼を見詰めました。
頼りないパーティーが俄然見栄えのするものになった気がします。
たとえ錯覚にせよ、喜ばしいことです。「出発しましょう!」
城から出てきたときの沈んだ様子はどこへやら、サクラの声音は俄然張り切ったものでした。
あとがき??
『PARTY 7』というのは、そのまんまパーティー(メンバー)が7人だから。(火影さま除く)
パーティーセブンと読んでね。ナナじゃないですよ。(笑)某映画のタイトル。
子供だけのパーティーは不安なので、ハヤテさんを入れてみました。好みvv
ハヤテさんは絶対絶対魔法使いと決めてましたv
あと、王子と魔王とその部下が加わる予定。キャストはもろバレ、かな?
カカシ先生はⅱで登場。ちょっと壊れてる人。
しかし、ナルチョが可愛いわぁぁv現時点の詳細。
勇者・サクラ (見習い)、レベル1
賢者・ナルト (ノーコン)、レベル1
武闘家・いの (王子マニア)、レベル1
魔法使い・ハヤテさん (病持ち)、レベル50対比
魔王・?(最強)、レベル100以上(測定不能(笑))