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PARTY 7 ⅱ
「大体さー、魔王なんて柄じゃないんだよね」
「ですが、父王の跡を継いだからには世界征服くらいやってもらわないと」
「うーん・・・。そうかなぁ」のんきな会話をしているのは、魔王カカシとその部下のカブトです。
滅多に表に姿を見せないカカシに手下の者は皆畏怖の念を抱いていますが、その実情はこのようなものでした。
この軽い性格を悟られないよう、カカシは重臣達にこの部屋に閉じこめられているのです。「でもさ、王子を捕まえたのはいいけど、木ノ葉の国はなかなか降伏してこないね。なんで」
「おそらく、勇者一行をこちらに差し向けたからだと思われます」
「勇者――!?」
淡々と語るカブトに、カカシは大きく驚きの声をあげます。
「聞いてないよ、そんなの。俺、成敗されちゃうわけ?」
「あなたは魔王なんですから、気弱なことを言わないでください。勇者といってもまだまだ成長過程。大きな力を持つ前につぶしてしまえばいいんです」
「ああ、そっか、そっか」
カカシは安心したように呟きます。
「・・・っていうか、それじゃ俺が悪者みたいじゃん」
「悪者なんですよ」
ふてくされるカカシに、カブトは冷静に切り返します。
父王のときからの重臣に支えられ、カカシには日頃あまりすることがありません。
暇をもてあますカカシは、自分を退治しにやってくるという勇者に興味を持ちました。「で、勇者ってどんな奴なの?」
「これです」
カブトは隠し撮りをした数枚の写真をカカシに渡します。
「・・・・随分小汚いチビだなぁ」
つまらなそうに言うカカシに、カブトは手元を覗き込みます。
そこには、鼻を垂らした金髪の少年が写っていました。
「ああ、これは勇者の仲間の一人ですよ。こっちが勇者」
カカシに威厳がないせいか、カブトも自然と友達口調です。「・・・・可愛いじゃないか」
暫く写真を凝視していたカカシは、ぽつりともらします。
「そうですね」
カカシの意見にカブトも素直に賛同しました。
ピンクの髪に緑の瞳の彼女は、客観的に見てかなりの美少女です。「前言撤回。お前、勇者をここまで案内してこい」
「・・・は?」
「俺、それまでに部屋片づけておくからさ。な、これ命令」
「はぁ」
魔王の命令とあらば、部下に逆らうことは出来ません。
旅支度を調えるために退室するカブトに、カカシは念を押すように言います。
「勇者に傷は付けるなよー。あと、手も出すんじゃないぞー」鼻歌まじりに片づけを始めたカカシに、緊張感のない声を誰にも聞かれずに良かったと、カブトは心から安堵しました。
クシュン
「やだ、風邪?」
クシャミをするサクラに、いのは顔色を変えて後退りします。
「・・・何よその反応は」
「俺はちゃんと心配してるよ。サクラちゃん」
眉を寄せるサクラに、ナルトはここぞとばかりにアピールします。
「はいはい。有難うね」
まとわりつくナルトを適当にあしらうと、サクラはハヤテの姿を探しました。
案内人であるハヤテは常に先行して道に危険がないかと探って歩いています。
そして、今サクラ達の前の道は森へと続いていました。
眼前にある広大な森が安全かどうかは、重用なことです。待つこと数分、ようやくハヤテはサクラ達の前に姿を現しました。
「近頃この森では盗賊が出るらしいです。迂回した方がいいかと・・・・」
「ええーー!?」
サクラへの報告を聞いていたいのは不満げに横やりを入れてきます。
都に住んでいたいのは多少なりとも近隣のことを知っていました。
「ここを迂回すると魔王の城まで一ヶ月かかるって話よ。森を進めば一週間なのに!」
「ですが安全を考えると・・・」
「大丈夫よ。今まで何度か敵に会ったけど何とかなったし、急いで通り抜ければきっと盗賊も現れないわ」
いのに迫られ、困ったハヤテは勇者のサクラに指示を仰ぎます。サクラは暫し考え込みましたが、最終的にいのの意見に従いました。
もともと望んで勇者になったわけではありません。
サクラは一刻も早くこの重責から逃れたいと思っていました。
だから、早く魔王の城へ付く道を選んだ方がいいと考えたのです。
もちろん、心の内ではいざとなったら実力のあるハヤテの魔法があるから大丈夫、という甘えもあります。
「魔王の城に付くことじゃなくて、倒すことが目的なんですけどねぇ・・・」
やれやれ、というように呟いたハヤテの声は、森へと歩くサクラ達には全く聞こえていませんでした。
あとがき??
これじゃあ、魔王カカシがすごく馬鹿みたいだ!!!!!(泣)えーと、一応作中一番強いのです。でないと、魔王になれないし。
ただ、実力を出す機会がないのですよ。