ＰＡＲＴＹ ７　�C

「たいして金目の物を持っていなかったし、次の市ででこいつらを売っぱらうしかねーな」
「こんながりがりに痩せた娘じゃ、高値にはならないぞ」
「男よりはいいだろう」

ぼそぼそと漏れ聞こえる見張りの盗賊の声に、牢に捕らえられているサクラといのは気が気ではありません。
「・・・あんなこと行ってるけど」
「だ、大丈夫よ。ナルトとハヤテさんが助けに来てくれるわよ」
強気な発言をしながら、サクラも内心不安で仕方がありません。
市場で人買いに買われてしまえば、もうその人間の消息をたどることはほぼ不可能です。
何としても明日開かれるという市の前にここから逃げなければなりません。
ですが、サクラ達がこの場所に連れてこられるまでに見た盗賊だけで顔を覚えられないほどの人数がいました。
もしナルト達が来なければ、その盗賊達に気付かれないよう密かに脱出するしかないのです。
はたして、そんなことができるでしょうか。

　

　

黙り込むサクラ達に、牢は静まりかえっています。
その沈黙を破ったのは、一匹の両生類の鳴き声でした。

ゲコッ

「きゃあ！」
思わず飛び上がったいのですが、サクラは目を丸くしてそれを見詰めます。
「おまえ、付いて来ちゃったの？」
声の正体はサクラが森で助けようとした灰色の蛙でした。
サクラの服のどこかに入り込んでいたのか、盗賊のアジトまで道連れにしてしまったようです。
「ごめんね。巻き込んじゃって」
「だから、触らないでよー。早くどっかにやって！」
掌にのせた蛙に謝罪するサクラに、いのは顔を青くしています。
わめき散らすいのにサクラが眉を寄せると、口を開いた蛙がサクラの手に何かを吐き出しました。

銀色の小さな金属。
それはどう見ても鍵の形をしてしました。

「・・・鍵？」
サクラは訝しげな顔でそれをつまみます。
「何でお前がこんなもの飲み込んでるの」
当然なことに蛙は返事をかえしてはきません。
「ちょっと、蛙と会話しないでよー」
いのは蛙と見つめ合うサクラを奇妙なものを見る目つきで眺めています。
この牢で鍵の差し込む口があるのは一つしかありません。

「もしかして、この牢を開ける鍵だったりしてね」
苦笑したサクラは冗談半分に手を伸ばし、その鍵を穴に差し込みます。
すると驚くほどあっさりとその鍵は横に回りました。

ガチャリ

同時に、軽く押しただけで開く鉄格子。
いのとサクラは無言で目線を合わせます。
眼前で起きた奇跡が信じられずに二人の目はまん丸でした。
蛙は二人が牢から出るために牢番から鍵を盗んできたのです。

「・・・何か、すごいちゃちな錠前ね」
ぽつりともらすいのに、サクラは同意して頷きます。
それだけサクラ達のことを馬鹿にしているわけですが、そのことに感謝しなければなりません。
幸い、見張りの盗賊達は錠の開く音に気付かなかったようで、まだ談笑しています。

　

　

「有難うねー！」
サクラは小声で蛙に礼を述べると、蛙に頬ずりをします。
いのはまだ気味悪そうな顔をしていましたが、止めることはしません。
そしてサクラの唇が蛙に触れたのは、本当に偶然のことでした。

サクラから離れ、床に飛んだ蛙は突然身体からまばゆい光を放ちます。
「えぇ！？何？」
驚くサクラの目の前で、サクラの手にのる大きさだった蛙は、見る見るうちに姿を変えていきました。
ただ巨大になるだけでなく、人の姿形に。
いのは腰を抜かし、サクラも座り込んだままその人を見詰めます。
蛙だった彼はサクラと同世代の少年のように見えました。

「・・・元に戻った。ということは、お前、勇者か」
据わった目で訊ねられ、サクラは首を何度も縦に振ります。
蛙が人になった。
いや、人が蛙だったのか。
事情が呑み込めず、サクラの頭はパニック状態です。

「よし、国に戻れたらお前を妃にしてやる。だから、魔王を倒すのに協力しろ」
高圧的に言い放たれ、サクラは唖然と彼を見上げます。
「お、お、王子、サスケ王子よ、サクラ！これ見て！！」
興奮したいのは、肌身離さず持っている王子のブロマイドを傍らのサクラに翳します。
そこに写っている豪奢な服を着た少年は、確かに服装は違えど元蛙の彼と同一人物でした。

あとがき？？
蛙、伏線だったのか・・・。知らなかった。

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