観用少女 −ライバル−


休日の午後。
アスマがいのを連れて散歩をしていると、向こうからサクラがやってきた。
彼女も当然一人ではない。
しかし、サクラと一緒にいる者は、本来の彼女の保護者であるカカシではなかった。

「いーのか。勝手に連れ出して」
「サクラが外に行きたいと言ったんだ」

さらりと答えたのは、カカシの部下のサスケだ。
サスケの傍らで、サクラもこくりと頷いている。
サスケと手を繋ぎ嬉しくて仕方がないという表情のサクラに、これではカカシが普段ぼやくのもしょうがないかとアスマは思う。

観用少女は、通常主人以外の人間になつくことはない。
だが、サスケは例外中の例外で、観用少女全般に好かれる体質の持ち主だった。
それはもちろん、アスマの所有している観用少女にも当てはまることで・・・・。

 

「ん?」
サスケは自分にべったりと張り付いたいのに怪訝な顔になる。
「あ、やっぱり」
アスマはにこにこ顔でサスケに抱きつくいのに頭をかかえた。
何とか引きはがそうとするが、いのは必死な様子でサスケの服を握り締めている。
「いの、手を離せ!お前の家はこっちなんだっての」

いのの体を引っ張るアスマ、食い下がるいの、困惑気味のサスケ。
そうした状況を眺めていたサクラは、段々表情を険しくしていく。
すたすたといのに近づくと、サクラはぽかりといのの頭を叩いた。
思いがけない行動に、その場にいた一同は、全員目を丸くする。

場が静かだったのはそこまでだ。
あとは、観用少女同士の取っ組み合いの喧嘩という、世にも珍しい光景を目の当たりにすることになった。

 

 

「いの、お願いだからやめてくれ!サクラに傷を付けたら俺がカカシに殺される!!!」

アスマの嘆願が功を奏したのか、サスケがサクラの体を持ち上げて二人を引き離したのが良かったのか、騒動はぴたりと治まった。
「大丈夫か」
サスケは抱えたサクラに顔を近づけ、心配そうに声をかけた。
サクラの状態は散々なもので、髪は乱れ、リボンは曲がり、顔には擦り傷が出来ている。
大きな瞳に涙をためているサクラを、サスケは優しく抱きしめた。

「いのー、これは勝ち目ないぞ」
かがみ込んでいのの頭を撫でたアスマは小さな声で囁く。
見つめ合う二人の間には、他の人間が入り込めそうにない。
いのは唇を噛みしめて嗚咽をこらえているようだった。

「お前が好きな花、何でも買ってやるから泣くなよ」
あんまり慰めにならないかと思ったが、いのはしっかと頷いて応えた。

 

これから先、この三人を一堂に会することだけは避けようと、アスマは心から誓った。


あとがき??
たまにはサスサクー。ラブラブvvパラレル以外では、あり得ないからね。(笑)
サスサクは好きですよ。書かないけど。
ちなみに、家に帰ったらサクラが不在で、カカシ先生は泣いてました。哀れな・・・。
楽しい。カカシいじめは楽しい。
一応、サクラはカカシ先生のものですので。(誤解されそうだから書いておく(笑))
実際サスケは片思いなんですが、そのあたりはまた別の話。

サスケやリーくんは16、7歳の設定って、もう言ってたかしら?
サクラ達、観用少女は12歳のままだけど。
悦な年齢差ですvv

観用少女シリーズは一先ず終了。
二人のサクラが出くわしたりと、ネタはあるけれど話がまとまっていないので。
機会があれば、また再開します。では。


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